- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022506177
感想・レビュー・書評
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田原総一朗が語る、戦後日本の政治史。
田中角栄のすごさは、以前別の本を読んだときにも思って、人たらしの部分は学ばねばと思った記憶があるが、特に何も変わっておらず(と自分では思っており)今回また同じようなことを思った。
「利益を配分する政治」から「負担を配分する政治」に移行しなければならないのに、なかなかそれができていない。という分析はそのとおりだと思う。ただ、そこに明確な解があるわけでもないので難しいところ。自由民主党の理念が「面倒をみること」というのも面白い。
客観的というか、内部事情の分析というのは、定期的に出してほしいところ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
政治は「人」が動かしており、国や組織を良くするのは「人」だということがよく分かった。
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その渦中の時には「面白おかしく」書くマスコミのフィルターに隠されていて、後から全体を俯瞰してみると見えてくるもの、それが政治…。
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戦後の日本政治を気鋭のジャーナリスト田原総一朗が語る。
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「政治の裏側」らしきものがドラマ仕立てになっている。
フィクションが多分に含まれているだろうが、
なんとなく実在の人物が描かれているから面白い。 -
政治学の世界には研究書とカウンターパートとなるようなジャーナリズムによる物語が存在する、北岡伸一『自民党』には戸川猪佐武の『小説吉田学校』と田原総一郎『頭の無い鯨』がそれにあたろうか。
これに加えるとしたら、一連のオーラル・ヒストリーとしての御厨貴先生の著作か。竹下・宮沢両氏へのインタビューは、日本の歴史に残る偉業であろう。
日本政治史は渡辺恒雄氏の言うように「臨床医としてのジャーナリスト」と「象牙の塔の医者」によって並行的に語られてきたのが現実ではないだろうか。
そう考えるとき、小泉時代の9年間をどう振り返るか、という問題にも、この二つの切り口から文献を探る必要があるように思う。前者は、言うまでもなく竹中『首相支配』であろう。民主党の作ろうとしている国家戦略局が、もしかしたらこの本で書かれている政治体制の変更による意思決定過程の変革の最終章かもしれない。その意味ではこの本は未だに途中経過かもしれないのだけれど。そして、ジャーナリズムの側で「途中経過かもしれないけれど」とりあえず出たのがこの本だ、と言えるだろう。田原氏自身の占める位置が93年のころ以上に大きくなっているためか、体験談の凄味が増している。まさか書き手がべ(自主規制)、とにかく、自民党政治、特にこの9年間の物語として読むに値する。
昨日(2009年8月28日)毎日新聞夕刊のコラムに「今までは前九年の役、これからは後三年の役」という論考が出ていた。民主党大勝となれば、政界再編が無い限り、解散は遠い。後三年を経た後、もう一度『奥州夜話』が語られる日が来るのだろうか。