女中譚

  • 朝日新聞出版 (2009年8月7日発売)
3.18
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Amazon.co.jp ・本 (172ページ) / ISBN・EAN: 9784022506276

みんなの感想まとめ

テーマは、昭和初期の女性たちの生き様を描いた作品で、主人公のすみが女中や女給、踊り子としての厳しい人生を辿る姿が印象的です。著者の教養や筆力が感じられる一方で、主人公の内面的な深掘りが不十分との意見も...

感想・レビュー・書評

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  • 意欲作だが、隔靴掻痒。
    中島京子さんはインテリだと思うし、彼女の教養はここでもフル回転されている。また筆力があるので、読ませるように書けている。
    それがいけないのだ。教養が先に立ってしまっている。何かが足りない。昭和の初期から女中や女給、踊り子と、女の底辺を舐めて生きてきた主人公のすみを、どこまでも突き詰めて描ききることができていないのだ。ラストもありきたりだ。トリビュートものなので限界があるのか、作品全体に品が良過ぎて、中途半端に終っている。それは中島京子さんの育ちのよさの反映ともいうべきものだろう。
    同じ題材を岩井志麻子氏に書かせたらどうだろうと思った。たぶん主人公は生き生きと動きだし、読むものの気持ちをわしづかみにして、吐き気を催すほどに、この嫌な女、すみの血肉あふれるほんとうの姿を描きだせるだろう。
    たぶん、中島さんはこの作品でそう挑戦したはずだ。でも、足りない。中島さんは他の作品を読んでいてもわかるが、底辺の人間を書かせると、どうしても靴の上から痒いところを掻いているようになる。
    作家には書きたくても書ききれないものがある。それは悪いことではない。個性というものがあるからだ。そのことに気づいたとき、作家はぐっと伸びる。中島さんは「さよなら、コタツ」に出てくるような育ちも品もそこそこいい女性の日常なんかを書かせるとグッとうまいのだから。
    中島さんの直木賞受賞作も女中の話という。きっと作者はそのあたりを解決できているのではないか。図書館に予約しているが、まだ順番がこない。どんな変化を遂げているのか、早く読んでみたい。

  • 林芙美子の女中の手紙から『ヒモの手紙』、吉屋信子のタマの話しから『すみの話し』、永井荷風の『女中の話』から文士の話を書き出した三話が雑誌に別れて連載されたものを連続性を持たせて一冊にまとめたものらしい。どれも元の作品は、主要作品にでていないですがー、別名の作品の一部なのかわかりませんが、作家にひらめきを与えたものの作品があったと各話の最後に注が付いています。

    さらっと短篇で書いてあるものの中身は、男女のドロドロ〜、過去の話しとしてでないと語るに躊躇するようなエロスの世界がセピア色のフィルターを通して描かれています。表現力あるなー、少々、今の気分には暗い話しが多かったかな。

  • 昭和の文学をよみたくなる

  • どことなくヒンヤリとした文章と、主人公の強かさと内にある諦観が上手く合わさった作品だと思います。元になった作品はいずれも未読ですが、読み比べてみても楽しそうですね。

  • 元ネタ?になっている小説は読んだことがないけれど、面白かった。

    ヒモ…とんでもない悪い男がいるものなんだなぁ。わがままなお嬢様も無知と傲慢さと、とんでもないな汗。

  • R4/12/24

  • 大正の末期生まれの貧しい女、すみ。
    その女性の逞しくも、生き抜くことにかけては、明暗併せ持ち何者も排除しない生き方。
    特に教養があるわけではない、誉められた生き方もしていない。
    だが一貫して自分の人生は誰にも渡さず生きてきた。
    最後に秋葉原のメイドカフェに勤める女の子、りほっちに語る形でその物語を語るお話。
    中島京子はこの時代のアンニュイな雰囲気をうまく仕立てる。

  • [private]昭和初期の林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説があの『FUTON』の気鋭作家によって現代に甦る。失業男とカフェメイドの悪だくみ、麹町の洋館で独逸帰りのお嬢様につかえる女中、麻布の変人文士先生をお世話しながら舞踏練習所に通った踊り子……。レトロでリアルな時代風俗を背景に、うらぶれた老婆が女中奉公のウラオモテを懐かしく物語る連作小説集。[/private]

  • 小さいおうちと比べるとちょっとビターな感じの女中話。多分元ネタを知ってる方が面白いと思う。でも妙に引きつけられてぐいぐい呼んでしまう話…

  • 相手のことを考えなければならない仕事はあたしには務まりそうにないね。
    この中なら文士さんのお宅ならなんとか行けそうか。ってほぼ用事がない、夜に出歩けそうってところがなんとかなりそうと思うだけだが。いやー、やはり他人の生活に介入するのはちょっとね〜。

  • 解説を読んで、底本?元本?の存在に気付きました。底本を読んでからの方が自分にはよかったかも。
    過去の混沌と現在の日本の混沌の融合なのかな?読んでいてかなり暗い気持ちに。悲しい。

  • 人の一生には歴史が詰まってるというけど、まさにそれを感じた。
    ただ、一つ一つのエピソードをもうちょっと掘り下げてほしかったというか……。

  • 秋葉原に住むおばあちゃん、スミさんが、昭和初期の女中やカフェーの女給をしていた時代を昔語りするという話。

    小さいおうちのタキさんよりは少し年上、かなりハスっぱな女性だった様子のスミさん。
    3つのお話も色っぽいものばかりですが、面白かったです。
    こんな話を聞かせてくれるおばあちゃんが近くにいたら楽しそう。

    最後のシーンは、秋葉原の事件と繋がるようで、驚かされました。

    オマージュとなる3作品は知りませんが、さらりと楽しく読了しました。

  • スミという名の女中
    おばあちゃんと呼ばれるほど年を重ね当時のことを語る
    昭和初期が舞台、あやしげな雰囲気で異次元の世界のような感覚で読みました

  • う~~~~ん、
    どうも乗り切れませんでした

  • 多分再読。昭和初期にメイド・女給として働いていたおばあさんの語りの形をとっている連作集。
     設定も語り口も昔風で、展開も昔風なので、現代小説とは少し違って思わぬ方向に進むなー、と思っていたら、林芙美子・吉屋信子・永井荷風を現代風にアレンジしたのだった。それが上手く連作にされていて面白かった。

  • 昭和の始めの頃の話。
    すれっからしのすみさんだけど嫌いじゃない。

  • 3人の作家の短編をトリビュートした作品。
    味わいあり。

  • 小さいお家とはちがって、もっとしたたかな女中さんの昔語り。
    かわいらしい女中さんを想像していたので、最初の話から驚く。でも、女中さんや女給さんはこのくらい、したたかだったろうと思うし、現在でもこの位の女性はいるだろうと思う。
    道ゆくお婆さんがもしかして、という気持ちにさせられる。
    軽く読める小説だった。

  • 老婆が語る昭和10年前後の思い出話、という体裁をとった小説。3つのエピソード。ライトに読める。

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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