出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 202
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022506931

感想・レビュー・書評

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  • イケダハヤト氏の上半期お勧め本だったか、見かけたので読んでみた。「本書をあらゆる子どもをもつ母親に読んでほしいと思う。」と著者は書いているが、むしろ読むべきは父親であり、まだ子どものいない夫ではないかと思う。父親たる私から見ても、こんな現実は読んでいて絵空事かと思うくらい悲惨だ。でも悲惨だからこそ現実を知らないといけない。綺麗事かもしれないが、まずはそこから始めるしかないのだと思う。

  • 子どもとの生活のため、そして行き場のない寂しさから出会い系サイトで売春するシングルマザーたちを追ったルポルタージュです。筆者の描く世界は恐らくどこかで繋がっている…。読みながらそんな印象を持ちました。

    おそらく、著者の書いているルポルタージュはそれぞれが独立しているようで、どこかでつながっているような気がしてなりません。ここでは出会い系サイトを利用して春を売るシングルマザーたちを取材したルポルタージュです。

    例によって内容のほうは本当に重く、衝撃的なものでした。ここに出てくる女性たちは皆、押しなべて寄る辺なき女性たちで、ただ、子どもを手放さないために、体を売るその生々しい証言を炙り出していて、本当に読んでいて気が重くなりました。

    国からの福祉や援助も受けずに、子どもを持っているというからほとんどの職場から忌避され、普通に生活出来るだけの仕事にすらつく事が出来ずに、目を覆いたくなるような最悪な状況下にいながらでも『子供と一緒にいたい』その愛情を唯一のよすがとして、それを実現するには出会い系サイトを通じて売春するしかないという現実…。

    そういうことがつづられていて、福祉から零れ落ちてしまう人々の生々しい『声』が記録されていて、本当に、まぁ…読んでほしいことはほしいのですが…。苦々しい読後感を残したことはここに記しておきます。もしかすると、自分の身の回りにもそういう女性はいるのかもしれませんが、ちょっと目には『見えない』事ですので、『ありうることだろうな…』ということで、自身の裡に留めておきたいことだと考えております。

  • ただただ絶望的な気分になってしまう。
    母親の知的問題、精神的問題が大きく関与していることが確かなんだろうけど。それをどう拾い上げて、セーフティーネットに載せるか?良い考えが自分も思いつかない。

  • 2010年刊行。孤独死が高齢者における社会との希薄な関係の象徴だとすれば、出会い系シングルマザーは、女性におけるそれだ。本書からはこう読み取れる。養育費不払いの現実(強制させる制度不備と失業・所在不明が多さ)、生活保護費不正受給に関する著者の問題意識は同感。が、本書はそれに止まらない。女性の中で関係を構築しづらい女、子供が他者との関係性の最後の砦であること、貧困・虐待の世代間連鎖、シングルマザー(特に生活保護受給者で非都市圏)への差別、セックスワーカーへの世間の批判的目線など痛い現実をレポートする。
    確かに、著者が「マイノリティ」と言うように、本書で描かれる女性が多数派だとはそのままでは言えまい。しかし、そこにある現実ですよ、と声を大にして言いたい。離婚や失業が引き金になる可能性がある以上、潜在的には多数の人が関係しているのだ。ひいては、著者の目線、つまり、「本書にある現実は、貧困・虐待家庭における子供の福利に反している」という問題意識につながっていく。この著者の目線は広く共有されるべきではないか。

  • 368

  • シングルマザーたちが「収入」を得るためというよりは「寂しさ」を紛らわすために出会い系を使う。

    また、彼女たちは世間で上手く立ち振る舞うことができないタイプであり、社会の中でも孤立しがち。

    「体売るくらいなら手当もらえばいいじゃん」という人が大半の世の中であり、私もこの本を読む以前はそう思っていたが、彼女たちにそのような要領は備わっていない。

    それでも必死に子育てをする彼女たちは、精神の病を抱えていようと、本当に強い女性だと思う。

  • 彼女たちの価値観「差別されないこと」を理解しないと適切な対応はできないのでは

    別の本と併せ読みした、その一冊目。

    読みたいと思っていた若年層の貧困に迫る話。

    著者の鈴木大介さん(ギタリストではない)が直接会って、メールして、取材を進めていきます。

    この本は次に紹介する本よりも、生々しいというか、もう一段階ダークサイドの、辛い世界。

    第2章である「売春婦にもなれず」で書かれた事実が、重く、辛い。

    ここで描かれている貧困は、

    「精神も、環境も、体力も知力も、なにもかもを喪失した、言語を絶するような「持たざる者」。」

    貧困から抜け出すメンタリティを養う環境が与えられず(それはその親も持たざる者だった可能性が高いから)、知力が無く、知的好奇心が無いと、自分の「思い」だけで物事を判断することとなり、その経験からくる頑なさが現状を打破することを拒む。

    そういった彼女たちの特徴が、誉田さんという存在によって浮き彫りになる。

    「民生のオバサン」とうまく付き合い、水商売をする女性たちと支え合い世の荒波を乗り越えている女性。

    そんな誉田さんの話を別の女性にすると

    「実はなにしてもあんまり差別されないタイプの人」

    と評される。

    「女には女社会のなかで、叩かれるタイプとそうでないタイプがあって、私を含めて出会い系サイトで鈴木さんの言う『隠れ破綻』をする女っていうのは、本能的に自分が叩かれやすいタイプだって知ってるんだよね。」

    と付け加えます。

    わかります。私はこれ幸いにも、「叩かれないタイプ」ですね。でも私がやっていたことを、叩かれるタイプの人がやった場合、その言い方、振舞い方によって叩かれ、いじめられる可能性がごく高いと思います。

    なぜそうなるのか?

    自分のことから考えてみると、その理由はこの本の中に出てくる「自己肯定感」の差なのか、と思いました。私も総数で考えると低い部類ではあると思うのですが、「これ!」という部分的なもので、これは自分凄いだろ、と思えることがあった。

    それを自分であっためて、磨いて行ける環境があった。また、好奇心を持ち、貧しいながらも浮かんだアイデアを行動に移せる環境があった。
    貧乏だけど、貧乏な中で自分がお金を得て、経済活動をしていく術を考え、調べ、実行し反省して繰り返すことが出来た。

    それが「持たざる者」にはできない。なにもかもを喪失しているから。その世界にない要素だから。

    彼女たちの価値観は「差別されない」こと。それを避けるのが第一義です。それを避けるために、合理的な判断ができないこともしばしば。このメカニズムを把握しないと、適切な対応はできないんじゃないかなあ。

    彼女たち、そして次世代の彼女たちになり得る子供たちに必要なのは本質的には金ではなく、自己肯定感を持ち、知的好奇心を持てる環境なのではないか、と思いますがそれを解決していくのは金銭的な問題よりよっぽど難しい。

    適切な対応、と書いたけど適切な対応とはどういうものなのか?その答えはとても1冊読んだだけでは出てくるものではない。

    なので、このテーマに関する著作を読み、理解を深めるところから始めたいと思う。

  • 読む前は、やっぱりシングルマザーは大変なんだろうなと思って読んだけど、

    「ヘルパーはしんどいからできない」
    「申請の窓口で屈辱を受けるから申請したくない」
    「生活保護も匿名で受けられればいいのに」
    「男の相談員がいい」

    などなど読んでいるうちに、彼女たちのわがままさにビックリした。
    彼女たちの境遇に同情する点もあるかもしれないが、もっとしっかりしなよーって思ってしまう。
    こんなシングルマザーばかりでないことを願う。

  • 何度も読み返している本。出会い系サイトで知り合ったシングルマザーたちのルポルタージュ。

    DVからの恐怖、地域からの生活保護家庭への差別(だから生活保護を受けたくない。民生委員はどこまで守秘義務を守っているのか?)、小さな子どもがいるが故に決まらない仕事、頼れる実家がないが故の貧困、鬱病、恋愛への依存・・・

    母子家庭の中でも、さらに女として女社会に馴染めない性格だった彼女らの不器用な生き方が見ていて苦しい。
    彼女らはお金の為だけでなく、寂しさを埋めるために、出会い系サイトを使う。

    社会で困難な状況にある人たちの根底にあるのは「寂しさ」だと改めて思う。それは著者が他の著作の中で描いた人達(「家のない少年たち」など)と、全く同じである。


    *また、覚えておきたいこととして、09年1月の読売によればヤクザ関連の生活保護の不正受給は判明分だけでも4億円だという。シングルマザーの不正受給に不満なら、より大きな悪をやってる組事務所にでも殴り込んでほしい、という著者の言葉に共感した。

  • 世間の目から逃れる為の隠れ破綻。女の敵は女。

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著者プロフィール

鈴木 大介
麗澤大学経済学部准教授

「2018年 『灯台の簿記 簿記初級テキスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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