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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784022506993
感想・レビュー・書評
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昭和40年代――。小学3年生の僕らは、身の回りに起こる不思議な事件を解決する「ウルトラマリン隊」を結成した。やがて僕らの小学校に不思議な力を持つ少年リンダが転校してきた……。ノスタルジックな雰囲気満載の連作長編小説。
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時代の雰囲気を、主人公の少年たちとほぼ同年代として体験しているだけに、その場に流れる空気がとてもよくわかり懐かしい。大人になったモッチがいまはもう会えないキミ=リンダに語りかけながら回想するという手法をとっているのでなおさらノスタルジックな趣になるのかもしれない。子どもたちを取り巻く大人の世界ではさまざまな出来事が起こり、その影響は、子どもたちの世界にも大人が思うよりも色濃く及ぶ。子どもなりに頭を悩ませ、自分たちで解決していることも意外に多いのである。流れ星が落ちた日に出会った少年リンダは、少し不思議な力を持ち、彼らの日常に小さな波紋を広げ、虹色の夢を見せたのかもしれない。読みながらときどき小路さんを読んでいるような心地になった。悪人の出てこない、切なく胸に沁みる一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
朱川さんには珍しいSF仕立ての物語。メインの時代はもちろん昭和で小学校3年生・4年生の男の子たちが主キャラなんだけど、いつもの温ホラーとはまた味わいが違っててね。 再読です。(*^_^*)
朱川作品の中で一番好きなもので、今回もとても楽しんで読むことができました。
仲良しの男の子たちで“ウルトラマリン隊”を結成し、いつもいつも一緒に時を過ごした主人公たち。時間はたっぷりあって、しかもそれは永遠に続くと思われたのに、いつの間にかそんな彼らもそれぞれの道を…、というあたりがまた、「スタンドバイミー」だなぁ、なんて。
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以下、前の時の感想です。
よかった!(#^.^#) (#^.^#)
スタンド・バイ・ミーの男の子たちを思わせる昭和の小学生4人組。ニシにエムイチ、ムー坊に語り手のモッチ。夏休みにプールに行った帰りに見た不思議な流れ星、そして公園に佇む男の子。彼・リンダが彼らのクラスに転校生としてやってきて、あっという間に彼ら・ウルトラマリン隊の仲間になるんだけど、リンダの落ち着いた様子がわけありで、かつとても好ましい。モッチは、現代の平成の世ではサラリーマンとして日本全国、転勤を繰り返しているのだけど、そんな大人になった彼が、当時の自分や仲間、特に不思議な能力を持っていたリンダに話しかける口調が優しくて。
いつも、ついつい速読してしまう私が、今回はゆっくりとした呼吸と共に落ち着いて読むことができたのも嬉しかったです。昭和の子どもってなんであんなに時間があったんだろう、と自分の子ども時代を振り返っても思うんだけど、そんなゆったりした時間の流れがお話にも反映されていたからかなぁ。
ウルトラマリン隊の活躍で、人助けをしたり、子どもの力ではどうにもならない限界に苦い思いをしたり。
また、後半出てくるミハルの存在感も素晴らしい。
学校や身近なところで起こる事件の謎解きと、リンダが持つ不思議な気配と、昭和の空気と、人生ってさ、という思いと。いい具合にミックスされていてとても楽しめた。
リンダもきっと、ウルトラマリン隊のみんなと友だちになれて楽しかったんだと思うよ。今はどこで何をしているんだろ・・・。 -
私も「ウルトラマリン隊」のメンバーになりたかった。
ミハルと違って、男の子として。
秘密基地や探偵ごっこ、友だちとのバカ話。読んでる間だけは、男の子になって一緒に遊んでいる気持ちになれた。
年代が朱川さんとほぼ同じ(朱川さんの方がちょっと下だけど)なので、出てくるアイテムはどれも懐かしくて涙が出そう。
小学生時代は、長い人生からみたら一瞬の煌きのような時間。中学。高校で道が別れていくとしても、この時間を共有できるのは羨ましい。転校生だった私にはこういう仲間はいないから。
立場としてはリンダと同じようなものだ。あるとき突然やってきて、ふいにいなくなる。
リンダの詳しい状況が説明されていないところが、ノスタルジックSFな手法だと思う。
「銀色の道」は私も大好きな歌である。 -
久しぶりに、読み終わって満足。
この作品はよかったな~。
子供の頃の話を、大人になってから
回想してる作品なんだけど
大人の視点からの考えや気持ちが
その話に加えられていて
「そうそう。。。」と同感できるところが
たくさんあった。
心温まるいい話ばかり。 -
今から数十年も前、一日が十分長かった少年時代。ムー坊、エムイチ、ニシ、モッチ。この四人がある夏の夕方、流れ星をみつけて、一人の少年と出遭ったことから話は始まっていく。彼の名は林田。あだ名をリンダ。この五人(のちにミハルが加わる)がウルトラマリン隊という子ども少年探偵団が依頼された事件を解決していく。短編集。ひとつひとつが、色にちなんだ題(のちに分かっていく)がつけられている。一昔前の下町を舞台にしたちょっとファンタジーチックなストーリーに郷愁を抱く。モッチの現代の思いや考察を交えながら、過去の出来事の話へと入っていく点はいい。不思議な少年リンダや少年たちのその後の出会いや別れにぐっとくる。おもしろかったし、目を潤ませてしまった。タイトルの銀河の口笛も話の最後に胸をアツくした。
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朱川さんは初読みでしたが、良かったぁ♪仲間で一緒に遊ぶ子供の頃のキラキラした時間も読んでいて楽しいですが、その数十年後の人生がさまざまであることが、せつなくて心を動かすのかも知れません。 また、遡って読んでいく好きな作家さんが見つかって喜んでます。
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★今、キミはどこにいるんだろう。(p.273)
「今日はなにして遊ぶ?」という子供のわくわくした世界にある日スルッと入り込んできた不思議な少年。ぼくらと異なる世界の者という感じを漂わせつつ日常的なできごとに遭遇するけど子供には限界というものがありスパッと解決といかないこともある。なつかしくまぶしくせつない日々にSF要素がすこし。
▼簡単なメモ
【一行目】あの頃のことを思い出すと、不思議な気分になるよ。
【青山】三年生当時の担任。
【ウルトラマリン隊】モッチたちがつくっていたグループ。エムイチ、ニシ、ムー坊。
【エムイチ】三浦康昭(みうら・やすあき)。小学生のときの友人のひとり。「ウルトラQ」に出てきた人工生命M1号そっくり。いつも食べ物の話をしている。今は某県の県会議員。
【空想】《コドモノ空想に、現実と非現実の境目なんかありはしないからね。》p.40
【小松麻美/こまつ・あさみ】モッチのクラスの女子学級委員。明るく優しいクラスの太陽のような存在。父は早くに亡くなり母親も最近亡くなったがけなげに生きている。
【小松美智也/こまつ・みちや】大雨の中をやってきた少年。小松麻美の弟で二歳下かな。
【ニシ】西川雄也(にしかわ・ゆうや)。小学生のときの友人のひとり。家は本屋。当人も知的好奇心旺盛。ささがわソロバン塾の黄色いカバンにいつも本と七つ道具を入れていた。カッパそっくり。後に書店経営しながら数冊のSF小説を書いた。
【林田智樹/はやしだ・ともき】→リンダ
【秘密基地】税務署裏手の塀に囲まれたデッドスペースにつくった。
【風鈴男】夜中に風鈴を鳴らしながら歩き回る。
【ベラ】光子。酒井酒店のおばさん。妖怪人間のベラに似ていたわけではないがなんとなく。チクリ屋で子供たちから嫌われていたがじつは理由があった。
【松原繁之/まつばら・しげゆき】画家。「屋根裏の散歩者」や「大暗室」のおどろおどろしいカラー口絵などを描いていた。
【ミーヤマ】新山。ちびのミーと名字にちなんで「ミーヤマ」。小学生の頃は坂本龍馬に似ていた。中学生になったときには別人のようにかわいくなっていた。家は「大鵬」という大衆食堂。
【ミハル】新井ミハル。慶明小学校の生徒。仲間になる。
【ムー坊】矢萩睦郎(やはぎ・むつお)。小学生のときの友人のひとり。女の子みたいにかわいい顔だがキレやすい。将棋が得意。幽霊は苦手。
【メメント】松原繁之が面倒を見ていた野良猫。
【モッチ】語り手の「僕」。望月直人(もちづき・なおと)。家はパン屋。商社に入り各地を転々とし今は千里で暮らす。
【リンダ】林田智樹。同じクラスに転校してきた不思議な少年。美少年。あだ名はとりあえず「リンダ」になった。本人も気に入ったようだ。
【ワタナベくん】皆が三年生だったとき五年生。「デメキング」と呼ばれていた。五年二組にいる誰も知らない四十三人目のクラスメイトを探してくれと依頼してきた。 -
ドラえもんだね
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いつも通りの不思議な話し。
子供の頃の不思議な話しの回想ってよくあるパターン。 -
★2015年5月23日読了『銀河に口笛』朱川湊人著 評価B+
昭和40年代前半の東京下町を舞台とする仲良し小学たちの3年生から4年生にかけての物語。
ちょうど筆者は、1963年生まれなので、当時の時代背景 文化 雰囲気は体感している。だからこそ、私のような同年代の読者には、昔懐かしく訴えるものがあるのでしょう。
ウルトラQ 仮面ライダー 怪人二十面相 少年探偵団 ドッジボール 魔法使いサリー その登場人物でお嬢様だったすみれちゃん などなど 他の年代の人聞いても、サッパリ分からない小道具がわんさか登場してなつかしい。
物語は、仲良し小学生達が、街中の秘密基地を基点に同級生たちの問題を解決していく。次第に中学生になり、高校生 社会人 オヤジとなって、その宝のような小学生時代を思い出し大切にしておくというお話。昭和40年代の空気を感じさせる物語を書かせたら、この朱川湊人が一番でしょうね。 -
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小学生の頃のお友達とのつながりって特別だった。濃かった。それが中学になると、本当それぞれの道が別方向へ伸びていくんだよね。リンダは今度はどこにいったんだろうなぁ。何を思って一緒に小学生やってたんだろうか。聞いてみたい。
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しみじみと、こころに染みる。読了後、結局明かされなかったリンダの正体にもやっとしつつも爽やかな風が一瞬、吹いた気がする。
朱川氏の作品は作者と等身大であろうこの時代のものが多いが、いつだってこどもへの目線が優しい。 こんなふうに「あの頃」を回想できる世代はいいなあと思う。 -
40代の主人公が、小学校3年4年のころを回想していく体で書かれています。
その頃、出会った不思議な友達。仲の良かった友達たちと、探偵団「ウルトラマリン隊」を結成して、過ごしていた日々がノスタルジックに描かれています。
子供たちの活躍もおもしろいし、感性もみずみずしいし、それを大人になって回想していく形で書いているので、子供目線だけではなく、切ない感じもあって、とても面白かったです。
もう1回読みたい、と思える童話のような1冊。 -
昭和の香り
昭和の子供たちが
ノスタルジックな雰囲気の中で
ていねいに語られていく
なんとも穏やかで優しい空気が
全編にただよう
読んでいるときも
読み終わったときも
ほわーっ
とした空気が包み込んでくれる -
-キミと初めて出会ったのは、夏のことだった-
すべてが鮮やかで何かにつけて騒々しく、一日が十分に長かった少年時代。眩く光る流れ星を見た後、不思議な少年と出会った。
四十も半ばの男の回顧録。SF要素もミステリー要素も少しあるけれど、全体を通して感じられるのはノスタルジー。穏やかだけど変わり映えのない毎日を過ごしている今、振り返ってみればあの頃のなんと輝いていたことか。あんな仲間たちとあんな風に遊んでいたならなおさら刺激的だったことだろう。もちろん楽しいことばかりではなく、どうすることも出来ない悔しさも味わったりするけれど、だからこそいっそう大事な時間である。そんな長い人生の短い時間、正にその時だけを一緒に過ごした少年は、正体はどうであれ彼の中でそんな時間の象徴ともいえるものになっているのであろう。
初めから別れが提示されているので、楽しい時を過ごしていればいるほど終わりを感じずにはいられない。安心して(?)切なさに浸れる手法だと分かっていても、これにやられてしまう。 -
2011 1/7
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ノスタルジックな昭和の風景の中で思い出す少年の日々。
永遠に続くかと思われた日々も今は遠く。
そこにいた不思議な少年、リンダ。
君は遠くから来たんだったね。
SF=「少し不思議」な話
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