麗しき花実

著者 : 乙川優三郎
  • 朝日新聞出版 (2010年3月5日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022507242

作品紹介

原羊遊斎、酒井抱一、鈴木其一など実在の人物の間に虚構の女性主人公を泳がせ、女性の眼から見た蒔絵職人の世界や出会った人々、そしてやるせない恋心を描いた渾身の力作。

麗しき花実の感想・レビュー・書評

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  • しっとりと静かで、美しくて重厚。素晴らしい一冊。

  • 女性の蒔絵師の物語.兄とともに江戸に出てきた理野は兄の急死で,一念発起し蒔絵師の原羊遊斎の押しかけ弟子になる.男の社会と言いながらもさすがは天下の江戸で,女でも受け入れてくれるところがあって良かった,蒔絵の世界と絵の世界でそれぞれ精進する人々を描いて,極めることの困難さを突きつけてくる.それとともに女の情のあり方も追求して面白い.登場人物もきらびやかだ.最初に蒔絵のカラー写真があるのも楽しい.

  • しっとりとした格調高い小説です。

    蒔絵師については知識はまったくと言っていいほどなかったので,単行本冒頭にある蒔絵の作品集を見ながら,想像を働かせて読みました。

    今よりもずっと女性が自立して生きるのが難しかった時代,その中でも,技や芸,賢さを恃みに,懸命に自立しようと生きる女性たちの姿が魅力的でした。

    物語の最後には,木地師の話が出てきます。
    どこかで読んだような…と思うと,ずっと前に同じ著者の木地師をモチーフにした作品を読んでいました。
    著者は,決して華やかとはいえないが,こつこつと仕事を重ねる職人にとても惹かれているのでしょう。

    物語は,主人公の理野が,故郷に帰って,自分の可能性を試そうと決意するところで終わります。
    理野が蒔絵師として美を追求し続けると共に,女性としての幸せも掴んでほしいと思いつつ,前向きな気持ちになって本書を読み終えました。

  • ブログの友達の推薦で読んでみたはじめての作家。乙川優三郎。
    この本は,歴史上の実際の蒔絵師の作品を中心にその工房に働くはじめての女子蒔絵師の話し。ガラス作家エミールガレもそうであったように,昔は評判の作家ものは大きな工房で,完全な分業性であった。もちろん銘を与えるには,それだけの完成度を持たねばならないのであるが、その当時の絵師の下絵(それも,実は弟子の作品である事が多いのだが)をアレンジさせ,当時の流行の作風で仕上げていく。実の市場の嗜好を繁栄させたものだった。底に,自分ならではの作品を!と,もがく理野。当時の工房を取り巻く文人達や,後世に名を残す絵師、蒔絵師などの情感もろとも描かれた良い作品でした。
    たっぷりと楽しませて頂きました。

  • 乙川さんの書かれる女性って皆、魅力的。
    この本に登場する主人公理野も胡蝶も妙華尼も鶴夫人も。
    理野渾身の美しい櫛がその、それぞれに美しい女性達に
    渡されたラストがいい。うれしい。
    蒔絵職人としての厳しい修行が書いてある本だろうと手にとって
    読んでみたら、それ以上に女性のもつかぐわしい色気に魅了された。
    この本に登場する男性陣もまた色っぽい。
    ただ、憧れていた酒井抱一に対する気持ちは低下してしまった。

  • 蒔絵師というモチーフはおもしろいのだけれど。

  • 蒔絵師や絵師といった江戸職人の世界を描く時代小説です。

    主人公が職人として様々な創作にチャレンジしながら、女性の自立についてに悩み、また淡い恋も経験していく様子が描かれています。
    職人たちが作品を完成させるまでの生みの苦しみが生々しく感動的で、また芯の通った強い女性でありながら危なっかしく儚い雰囲気もある主人公理野の描き方も上手で、全体的には地味目の小説ですけど、すっごく面白かったです。

    理野と其一のプラトニックな関係にもドキドキさせられました。

  • 私のバイブル

  • 女塗り師の真摯な生きようにぐっときました

    棗や煙草入れなどの写真がついていたのもステキで
    イメージしやすくなって良かったです

  •  女の幸せと蒔絵師とう創作する仕事は、両立しない。そういう時代だからか。今ならそんな女を支える優しい男がいるだろう。女が生きるには苦難の時代。こういう生き方をした女がいて、今の強い女たちがいるような気がする。

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