課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣
- 朝日新聞出版 (2010年5月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022507457
感想・レビュー・書評
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本書のキーコンセプトのひとつが、「企業内特殊熟練」だ。
企業内特殊熟練とは、特定の企業内においてだけ通用する、人間関係や過去の出来事といった特殊な事柄に関する熟練、とでも定義すればよいだろうか。
「企業内」という通り、他社には通用しない類の熟練であるから、転職の際には役立たない。
企業の課長になるには、企業内特殊熟練が求められる。なぜなら、一般に、
1.課長は部下の顔や個性を知らなければ勤まらない。
2.課長は社の意思決定の仕組み・作法を知らなければならない。
3.課長の仕事は、社内にコネクションを持たないと成り立たない。
これが「課長の壁」と言われるもので、
いったん課長になるとクビにはなりにくい根拠でもあるようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本型人事制度を知り尽くした著者の現実解がありためになります。
おいらもクビにはならないかな?
だといいが。。。 -
2016/06/20
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雇用のカリスマによる痛快キャリア論。
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なんとなくですが日本の労働環境は厳しく、就職難であり、勤務している人にとっても、いつリストラされるかわからない環境へと変化してしまったと思っています。この本を書いた海老原氏の本はかつて読んだことがありますが、それまでの先入観について、私は実際のデータをもって覆されたという記憶があります。
この本は、主に日本企業に勤めている人達に対して書かれたものかもしれませんが、日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣について書かれていて興味深く読みました。
特に私は40歳を過ぎてから転職をしましたが、この本によれば、日本企業で35歳以上になって課長クラスになっているのであれば、転職をせずにそのまま務めたほうが良いというのが結論のようです。
私の勤務していたのは外資系企業なのですが、日本系の企業では今でも35歳を過ぎて転職して、そこで活躍するのは難しいようですね。この本が出版されたのは昨年の5月ですが、この本を私が転職をするかどうか迷っているときに出版されていなくて良かったと思いました。
以下は気になったポイントです。
・日本は昔から20代の若手社会人が高い確率で転職をする社会であるが、35歳以降では少なくなり、30代中盤から定年まではひとつの会社で過ごす人が全体の6割以上であり多い、年代別転職率はこの20年間あまり変わらない(p12)
・イギリスを除く欧州主要国では40歳頃、米英も45歳kらいで転職は下火になり、終の棲家に落ち着くのが世界的傾向である(p17)
・多くのジョブローテーションが、主業務に対して、副業務を短期間という組み合わせになる(p20)
・外から来た人は、今の会社とは実務内容が著しく異なるので、行き場のない人材となっていくので、ジョブホッパーになりやすい(p22)
・課長が転職できない理由として、1)部下の顔や個性を知る必要がある、2)意思決定の仕組みや作法を知る必要がある、3)社内のコネが必要、である(p28)
・40歳で課長になった場合は、今の会社に居続ければ良い、条件として、1)よほど危なくない、2)よほど悪い査定でない、である(p41)
・正社員のリストラは、組織衛生(若手からの不満解消)にあり、その対象はせいぜい1割程度であり、大多数の人は残れる(p48)
・日本はどの部署でも異動できるが、それは給料が仕事でなく、人の能力で決まる仕組みだから(p64)
・1022万人の年収200万円未満層が本当にワーキングプワーといえないのは、他に世帯収入がある人達である可能性が高いから(p104)
・転職の世界では、資格や専門知識よりも、経験が生きる、逆に言えば、職務経験のない資格や語学は評価されにくい(p118)
・実務経験をしたうえで、会社のルールをわかりはじめた時に、学校でも通って専門知識をつけると、会社に活かすことができる(p122)
・各種スクールで知識やスキルのみを積んだ人達は、実務では通用しない(p123)
・キャリアアップのために自己啓発を行うのであれば、今の仕事で精進するのが最も良い(p124)
・成果主義でもそれ以前の制度でも、査定の中身は殆ど変わらない、それはもとから業績や成果が多分に含まれ、今でも「能力」「態度」「行動」などのサブ指標が勘案され、私情を挟みながら決定される、最大に変わったことは月給が下に動くこともあること(p132)
・給与というのは、業績が悪くても古査定の85%程度は支給される、アメリカも日本もかなり近い給与体系である(p135)
・オレはこの仕事に適性がないと言う前に、まずは自分の持てる別の力で適性をカバーできないか考えてみるべき(p154)
・リーダシップを獲得するには、1)経験から物事を学ぶ姿勢ができていること、2)経験に飛び込んでいく勇気があること、である(p178)
・総合職により社内再チャレンジができる会社の基準としては、従業員数が150人が目安(p183)
・30歳を過ぎているあなたは、目の前の階段をゆっくりと上がっていくだけで良い、むやみに横道にそれるのは百害あって一利なし、とくに日本では(p184)
・日本型雇用の正社員は、全員が幹部候補、これがあまりにも異常であり、世界でこんな仕組みは異端である(p187)
2011/2/6作成 -
一言で言えば保守本流の書。
・欧米は実力主義で年功序列などない
・欧米は転職が当たり前
・これからは日本も欧米型の雇用形態を目指すべき
と言ったここ4~50年ほどずっと語られ続けているくだらないマスコミの論調により僕らが刷り込まれた幻想をことごとく突き崩す、素敵な本。
勿論、著者の思いだけではなく統計データを含めた実証研究を数々引用していて信頼に足る。 「組織衛生」って言葉、初めて知った。
タイトルは少しばかりキャッチーだけれども、毎年制度を変える人事部に不信感を持つ社員or管理職に成り立て社員or管理職が見えてきた社員or社会人になったばかりの新人君にお薦めしたい。
著者はヒットしたマンガ「エンゼルバンク」主人公のモデルでもある、リクルートの海老原 嗣生。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E6%A1%9C%E5%A4%96%E4%BC%9D%EF%BC%881%EF%BC%89-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0KC-%E4%B8%89%E7%94%B0-%E7%B4%80%E6%88%BF/dp/406372661 -
いや、タイトルの通りで、その通りだよ! 課長にすらなれない人は…。