職業は武装解除

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 655
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022507464

作品紹介・あらすじ

紛争地帯で、自分よりも権力のあるものに翻弄される人生を送る人々と、政治家の無責任な発言に不安を覚え、未来が描けなかった自分を重ね合わせた高校時代。でも、私たちは努力さえすれば状況を変えられる社会に生きている-。24歳で国連ボランティアに抜擢され、27歳でアフガニスタンのカルザイ大統領から助言を求められるようになっていた。そのすべては、小さな決意の積み重ねからはじまった。「世界が尊敬する日本人25人」(「Newsweek日本版」)に選出された著者による初めての本。

感想・レビュー・書評

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  • 兵士から武器を回収し、代わりに生活できるようなスキルを教える。
    そんな〈武装解除〉を仕事にする筆者の、自伝的エッセイ。

    読み応えがあった。

    大学選びから、経験を積んでいく過程が、とにかくタフでパワフル。
    紛争問題を学ぶ王道はないため、自分で考え、その道筋を開拓していく。
    その行動力に、脱帽。

    すべてが現場であり、最前線。
    ニュースで見聞きした紛争地や内戦の場所に、常に立ち、活動しているという印象。

    たくましい生き方を尊敬するとともに、悲惨な現実や、筆者の思いに、何度もぐっときた。

  • 国際協力や平和構築に関心があったものの、仕事ではまったく別のことをしている私にとって、この本は筆者のように仕事にはできないと一種の諦めを与えてくれる本でした。それくらい筆者は淡々と記載しているがハードなことをしておりすごさを感じます。
    内容は具体的ではあるが一般にもわかりやすく書いてくださってるおかげで、関心がもてる内容でした。

  • 現、日本紛争予防センター事務局の瀬谷さんが今までどこの組織に所属し、どんな仕事をしてきたか書いた本。
    なぜ国際協力関係の仕事を選んだのかなども書かれてるが、こんなに自ら飛び込んで行く人もいないと思う。

    たくさんの組織に所属して、行われた活動は多岐に渡り、とてもこの一冊では書ききれないだろう。
    簡潔にまとめられている。

  • 題名が非常に秀逸です。これでがっちり興味を惹かれます。
    武装解除という響きを日本で聞く事はまず無いですし、どういう事をするのかも分からないですね。ヘタをすると戦闘したりするのかななんて思ってしまいます。
    全くの正反対で、独裁政権の崩壊で民主主義に変わるとき等に、軍隊を解体して非武装の民間人に戻す為、武器を回収して兵士たちに職業訓練などを行う仕事です。
    当然今まで武器を持って、いざとなったら殺し合いも辞さない覚悟で生きている人々から、武器を回収する訳ですから、場合によっては反発や反感を買う事もあります。脅迫されたり対立したりしても毅然と対応しなければいけないし、何より身の安全も確保しなければいけない。20代前半からこの世界に身を投じて、国連やNGOでスキルを磨き、日本人有数の専門家になった女性の来歴が書かれています。
    朗らかな笑顔で写真に写っていますが、相当な胆力と気合と頭脳が無いと務まらない仕事です。とても真似できないし真似しようとも思えない危険な仕事です。
    ルワンダの虐殺の衝撃で自分にも出来る事が無いかと模索した結果、武装解除という仕事についたとの事なのですが、僕自身映画などで見て衝撃を受けたものの、民族紛争であり遠い世界で起こっている事だとしか思いませんでした。
    やはり世界を変えようと考える人というのは行動力がすごい。度胸もですが目標を見据えて自分の中に目に見えないスキルを積み重ねていく努力が一番凄い。手段を得る為の不断の努力でいつの間にやら唯一無二の人間になっていっています。
    また先の彼女の体験談等を読みたいです。

  • 久々に刺激される本に出会った。とにかく線めいっぱい引いてしまった。参考になるところ、共感するところが多すぎる!昔、興味を持っていたこの分野。刺激を受けて、興味を呼び覚まされるかと思ったけれど、瀬谷さんの幼き頃からの小さな努力と行動の積み重ねを目の当たりにして、今更目覚めて後追いしても何にもならないと痛感。今の自分にできること、求められていることを確実にこなしていこうと改めて思いました。
    次々とすごいポストをゲットしているように見えますが、実は自分に必要なこと・やるべきことをきちんと分かっていて、それが叶えられる場所や機関、人にきちんとアクセスするという行動を取っていて、しかも与えられた職務をきちんとこなして評価を得ているというサイクルの上に成り立っているものだと気付かされました。

  • 2016年に読みたい本に登録して、6年越しに読めた本。
    読んでよかった!面白くて読みやすくて、久しぶりに1日で読了。
    地元にこんなにエネルギッシュな方がいたんだと知れて元気をもらった。
    34歳の時点でこの本を出したみたいで、私とあまり変わらない!
    でも行動し始めはとても早く、種のまき方もとっても上手。情報収集と自己分析が基礎にある。

    交渉?対話?により、武装解除をさせることが専門というレアなキャリアを持つ筆者。
    紛争地帯での武装解除には、武器を捨てさせること、戦わせないこと、普通の生活に戻る支援の3段階が必要。再度戦争をさせないために、どうしても被害者よりも加害者が優遇されてしまう仕組みがあること、その上で成り立つ「ギリギリの平和」は「みんなが仲良く」というものではないこと。とてもリアリティがあった。
    ものすごい体験をたくさんしていて、世界を知れた。
    また、武装解除において「日本」という国はとても重要な役割を果たせるということは少し日本を見直すきっかけになった。そういうところで頑張ってほしい。

  • この本を読み、初めて知ったことがたくさんありました。内戦や紛争が終わった事で終わりではなく、武器を手放し手に職を持ち治安が安定し国連やボランティアの方の力を借りずに生活が出来てやっと戦いが終わるという事。今も世界のどこかでは戦争や紛争が起こっています。私は戦争を知らないので、他人事のように考えてしまいますが、目指す所は同じで「亡くなった人達が、また生まれてきたいと思う国をつくる」という事。日本もですし、どの国でも共通の願いです。瀬谷さんの武装解除という仕事が一日も早くなくなりますように。

  • まっすぐな想いに突き動かされて、「自由に行動ができる権利」を世界中の人たちが持てるようにと、ずんずん突き進む行動力。しかしそれは思い付きではなく、冷静な戦略ともいうべき考えに基づいている。
    そしてその行動が色々なところでつながって次第に影響力の大きな仕事ができるようになる。

    自分だって何かできるはず…と心に響く一冊。

  • "私たち一人ひとりが持つ自由に行動できる権利の使い方を考えてみてほしい"

  • プロフェッショナルで出会った瀬谷さん。小さい体で大きなことをしているな。という印象を受けた。著書を読んでもその印象は変わらず。武装解除。いかつい名前の職種だけど。働く人。というカテゴリは変わらず。やらない言い訳をしない。真摯に目の前の仕事に取り組み、世界という目からみた日本の立ち位置を考える。素敵な女性。

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