柚子の花咲く

  • 朝日新聞出版 (2010年6月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784022507532

みんなの感想まとめ

人間関係や愛情の大切さを描いた物語は、時代小説でありながら現代にも通じる普遍的なテーマを持っています。主人公の恭平が恩師の死の真相を探る中で、師弟や友情、親子の絆が深く掘り下げられ、心に響く言葉が散り...

感想・レビュー・書評

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  • 初めての葉室作品。時代小説だから言ったら元も子もない女性の立場の弱さや身分の上下関係に、歯噛みしながらの読書。ミステリー色が強いストーリー自体よりも、むしろ一つ一つの言葉が自分の心に降り積もっていくような感じがしました。「たとえ身についた泥があったとしても、自らの心で洗い流すことはできるはずです」「自分を嫌うことは、自分を大切に思ってくれる人の心を大事にしないことになる」などなど。村塾での子どもたちが出てくるラストシーンは、胸が熱くなりました。人を大切にできるのは、人なんだな。

  • このところ作品を良く目にする機会が多く
    気になっていた作家さん。初読です。
    もっと号泣するくらいに泣けるのかと思っていた
    んですがそれは叶わず。でも、大袈裟な表現では
    ないながらも、しっかりと、そして誠実な文章で
    読み易く、分かり易く、時代小説が苦手な方でも
    すんなり入っていける作風。

    友とは、師弟とは、教えるという事、学ぶという事、
    そして愛するという事...当たり前に大切な事が
    当たり前に書かれています。単純な行動原理に
    基づいて考え、動く主人公の「恭平」は決して
    派手な存在ではなく、我々と同じ等身大の人間と
    して描かれているところが、何かを与えてくれる。

    もしかしたらまた一人好きな時代小説作家さんが
    出来たかもしれない。

  •  いいお話だった。恩師が何者かに殺された。その真相を探りに行った友もまた。そして主人公の恭平がその真相を探るため、隣の藩に潜入する。
     師弟、友情、愛情、親子関係等の要素がちりばめられていて、時代小説ではあるけれど、現代にも通じることが描かれている。
     ラスト、青葉堂村塾の子ども達の姿が本当に純粋で健気で、「約束を守る」ということを体現している姿に感動。子ども達がそのような行動をとれたのも、恩師の与五郎の教えの賜物。

     与五郎の父は恭平の隣藩の家老で大きな力を持つ。その父親のまつりごとに対する姿勢に異を唱えることもあった与五郎は、一度素行が悪くなり勘当される。でも、再出発をするため、恭平の住む藩にやって来た。
     そんな彼だからこそ、「たとえ身についた泥があったとしても、自らの心で洗い流すことはできるはずです」ということができたのだろう。
     また、「自分を嫌うことは、自分を大切に思ってくれる人の心を大事にしないことになる」との言葉にも、彼の生き様が現れているのではないかと思う。

     与五郎と同じくらいにいい人だなと思ったのは儀平。もうあっぱれとしか言いようがない。

    まつりごとに携わる者の醜さも描かれている。この醜さはいつの時代も変わらないのか。自分の藩の為ならば、悪事には目をつぶる。いや時にはそれを手助けさえする。自分の「役に立つか立たないか」で選り分ける。その人が苦しもうがどうしようがかまいはしない。いや、苦しむのは「覚悟が足らぬ故だ」と突き放す。そんな人物に成り果てるのは、権力の故か、もともとの生まれ持ったものの故か。

  • 2021.09.27
    「桃栗三年柿八年」と教わってきたけど、更に「柚子は九年で花が咲く、梨の大馬鹿十八年」がやけに心に残った。次世代の若者を育てて行くことの大切さを改めて感じた。

  • 少年時代に梶与五郎の薫陶を受けた筒井恭平は、与五郎が隣藩で殺害された事実を知り、真実を突き止めるため鵜ノ島藩に潜入するが――。人を愛すること、人が成長するということなど、人間にとって大事なものを教えてくれる感動の長編時代小説。柚子は9年で花が咲く。人生において、大切なものとは何なのか。嵌った。

  • 恩師と友を続けて殺害され、その真相を探る主人公の恭平。
    師の意外な過去や背景が明らかになると共に、そこに藩の思惑が絡んできて・・・。

    ラストの青葉堂村塾の子供達が、健気で心打たれます。
    かけがえのない思い出と仲間ができる、素敵な村塾だと思いました。

  • 内容紹介
    少年時代に梶与五郎の薫陶を受けた筒井恭平は、与五郎が隣藩で殺害された事実を知り、真実を突き止めるため鵜ノ島藩に潜入するが――。人を愛すること、人が成長するということなど、人間にとって大事なものを教えてくれる感動の長編時代小説。

    平成31年2月24日~26日

  • 柚子の花の香りの如くなんとも爽やかな時代小説。
    あまり巧いという感じはしないのだが読後感が清々しい。

    師と徒、男と女、友と友、親と子・・・いろいろなかたちのひとがひとを想うこと、が描かれる。

    そしてまた、良き教育者とは-を再び考える。
    自らも苦悩を抱え、ぱっとしないが、たいせつに思ってくれる、成功の暁には全身で喜んでくれる、それだけでいいのだ。

  • 自分の生きる道が分からず、自分にいらだっている若者。という設定でしょうか。
    全体的に、何を言いたいのかわからなくて、ぼんやりとしたものを感じてしまい、なかなか話に入っていけませんでした。

  • 図書館でタイトル借り。
    たまたま出会った作品だけど、出会えてよかった‼
    桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く

  • 2015年12月20日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「ささるセリフ」。

  • 葉室さん作品初読。
    与五郎先生と琴さんを添い遂げさせたかったな~、と思います。

  • 葉室麟さんの作品をしばらく読み進めている。

    この作品は、武士の刀を用いた斬り合いなどの戦いのようなものは少なく、人情的な要素を濃く描いており、武士の心情だけでなく、その周囲の人物なども描いている。

    「武士の生き様」(といっても、その定義のようなものはわからないが)が、すんなり入ってき、また、人それぞれに抱える複雑な想いが、話の筋とともに絡まっていると思う。

    まだまだ読んだ本は少ないが、葉室麟さんの作品の中で、好きな部類に入る。

  • 江戸時代の地方藩を舞台にしたミステリーもの。軽く読める、と言うかちと軽すぎのきらいあり。

  • 一緒に暮らせなくとも、わたしのことを大切に思ってくれるひとがいる。だから、自分を嫌ってはいけないのだ。それは自分を大切に思うひとの心を大事にしないことになるから、自分をを嫌うことは自分を大切に思ってくれるひとの心を大事にしないことになる。

  • 自我妄執にとらわれた男たちの悪行が禍を呼び終盤にかけて正体を現す、、。"ひとはひとを大切にせねばならぬ"…青葉堂村塾の師の教えは脈々と受け継がれる。丹精込めて育てられた幼き花弁、淑やかな花弁をはじめ、一斉に開く真面目に働く柚子の花々の咲き様が飾るラストには、思わずホロッとさせられてしまった。

  • この小説は情あり、愛惜あり、波乱万丈 映画にしたらよいと思うが

  • 葉室麟さんの時代小説は、時代風景がわかりやすく
    すんなりと、その時代に入って物語を経験する気がする
    そして、人のやさしさや孤独なさびしさなど
    胸が痛くなるような、深とした気持ちで読んでしまう
    ちょっと悲しいさびしい小説でした

  • 村塾の恩師が殺された。
    死にまつわる悪い噂を信じられない恭平は
    死の謎を追って、藩の抗争に巻き込まれていく。

    登場人物にすごい魅力を感じるわけではないのに
    一気に読めるのは何故だろう。。。
    人を想う気持ちとか、自分勝手な振る舞い、
    思うようにはならない事情とかが惹きつけるんだろうな。

    「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」

    武士ものならではの心温まる感じが良かった。

  • 若い日坂藩士が主人公に隣藩で殺害された郷学青葉村塾の教授の恩師の謎を追って隣藩に潜入し、恩師の過去の秘密からいろいろな背景を知っていきます。そして青葉村塾の旧友たちとの出会い、青春時代の甘酸っぱい思い出・・・。恩師にもそのような思い出が。登場人物の女性たちが誰もが大変魅力的なことが印象に残ります。ロマンティシズムに溢れた作品で藤沢周平を思わせる作風ですが、些か悪玉と善玉がはっきりし過ぎ、またそんなに簡単に昔の鞘に収まるものだろうかという点が納得性に欠けるような気もしました。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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