- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022507532
感想・レビュー・書評
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このところ作品を良く目にする機会が多く
気になっていた作家さん。初読です。
もっと号泣するくらいに泣けるのかと思っていた
んですがそれは叶わず。でも、大袈裟な表現では
ないながらも、しっかりと、そして誠実な文章で
読み易く、分かり易く、時代小説が苦手な方でも
すんなり入っていける作風。
友とは、師弟とは、教えるという事、学ぶという事、
そして愛するという事...当たり前に大切な事が
当たり前に書かれています。単純な行動原理に
基づいて考え、動く主人公の「恭平」は決して
派手な存在ではなく、我々と同じ等身大の人間と
して描かれているところが、何かを与えてくれる。
もしかしたらまた一人好きな時代小説作家さんが
出来たかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021.09.27
「桃栗三年柿八年」と教わってきたけど、更に「柚子は九年で花が咲く、梨の大馬鹿十八年」がやけに心に残った。次世代の若者を育てて行くことの大切さを改めて感じた。 -
恩師と友を続けて殺害され、その真相を探る主人公の恭平。
師の意外な過去や背景が明らかになると共に、そこに藩の思惑が絡んできて・・・。
ラストの青葉堂村塾の子供達が、健気で心打たれます。
かけがえのない思い出と仲間ができる、素敵な村塾だと思いました。 -
自我妄執にとらわれた男たちの悪行が禍を呼び終盤にかけて正体を現す、、。"ひとはひとを大切にせねばならぬ"…青葉堂村塾の師の教えは脈々と受け継がれる。丹精込めて育てられた幼き花弁、淑やかな花弁をはじめ、一斉に開く真面目に働く柚子の花々の咲き様が飾るラストには、思わずホロッとさせられてしまった。
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葉室麟さんの時代小説は、時代風景がわかりやすく
すんなりと、その時代に入って物語を経験する気がする
そして、人のやさしさや孤独なさびしさなど
胸が痛くなるような、深とした気持ちで読んでしまう
ちょっと悲しいさびしい小説でした -
村塾の恩師が殺された。
死にまつわる悪い噂を信じられない恭平は
死の謎を追って、藩の抗争に巻き込まれていく。
登場人物にすごい魅力を感じるわけではないのに
一気に読めるのは何故だろう。。。
人を想う気持ちとか、自分勝手な振る舞い、
思うようにはならない事情とかが惹きつけるんだろうな。
「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」
武士ものならではの心温まる感じが良かった。 -
主人公である恭平は、ちょっと流され易いところがあるのかな、と思いました。
いや、要所要所では事件を解決(というのも違いますが)しようという奮闘の気配はありますが、結構いろんなことをいろんな人に助けて貰っていますよね……。
せめて恋愛くらいは自分で奪い取るくらいの気概があってもよかったのではなかろうか!
周囲がお膳立てしてくれてなければ、絶対に一生独身か、あるいは宛がわれた女性と結婚していたのだろうなあ、というのが伺えました。
何にせよ、主人公にスポットをあてている感じがして、もうすこし他の人の人柄だとか死にいたるまでの経緯とかがあったら面白かったのだろうになあ、と思いました。
時代モノミステリ?という感じで見ると面白い かなー。 -
瀬戸内海に面した小藩の郷学(藩設立の農民の子まで学習できる塾)の教授をしていた梶与五郎が隣藩で殺害される。死後与五郎の悪評がたち、これに不信を抱いた元塾生の孫六と恭平が真相解明に乗り出す。まず孫六が隣藩迄出向いて少し解っていくが孫六は殺害されてしまう。恭平はそのあとを引継ぎ、命を狙われながら度々隣藩を訪れて事件を解明していく。解明後与五郎の後を引継ぎ塾で少年少女を教える立場になる。
恭平にスポットを当てているせいか、与五郎、孫六の最後に至る経緯がサラっとしすぎており物足りなさを感じる。 -
この作者さんの初めて読んだ時代小説。今と違って身分違いの恋有り、父と子の家を巡る相克有りで最後は師を慕う子ども達の思いが通じて良かった。
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主人公に積極性が、もう少し欲しかった。
(何をするにも、恋に関してもお膳立てされてる気がする)
そうしないと遅咲きにならないから、しようがないのかな?