性犯罪被害とたたかうということ

著者 : 小林美佳
  • 朝日新聞出版 (2010年10月20日発売)
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  • レビュー :20
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022507754

作品紹介・あらすじ

顔と名前を公表し、被害を告白してから2年半。半数を占める顔見知りからの被害、顔見知りの30パーセントが親族、被害者を再び追い詰める裁判員裁判…。被害者3000人の証言から見える性犯罪被害者のリアル。

性犯罪被害とたたかうということの感想・レビュー・書評

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  • YouTubeでハートネットTVをみて小林美佳さんのことは知っていましたが、この本を読んで改めて小林美佳さんが遭われた被害を知りました。「どうして、性的な被害を受けたら話せないんだろう。」「これだけの人たちが被害にあいながら、それにもかかわらず、性暴力の被害体験が『言ってはいけないこと』のようにされているのはなぜなのでしょうか。」「『打ち明けられる社会』が、一日も早くくるよう…」この本を読んで、同じ犯罪被害者なのに、他の犯罪被害よりも性犯罪被害者が声をあげにくいのは、やはり性犯罪被害者自身がスティグマを抱え、社会からも腫れ物のように扱われるからかなと思いました。今後、それらがどうしたら解消されていくか考えていきたいと思っています。

  • 前著とは異なる印象を受けた。
    前著は正に、「衝撃的」であったのに対して、本著はどこか客観的な、
    冷静な印象を受ける。それは取り扱う内容の差なのか、著者の変化に
    よるものなのか、それとも私の変化によるものか。

    刑事裁判に慣れると、どこか犯罪に対して一般人よりも淡白な見方をし
    てしまうように思う。被害者にとって、人生を大きく変える1つ1つの事件
    に対して、月並みの言葉だが、真摯に向き合う人間でありたい。

    非常に多面的な複雑な心境を、少しでも人に伝わるように試行錯誤する
    というのは、読む側が想像する以上に大変だと思う。
    決して理解できるとは思えないが、「知る」ことを怠らないことが、真摯な
    態度ということになるのではないか。

  •  顔と名前を公表して性被害を告白した小林美佳氏の2冊目の本。前著出版後の2年半の活動と、交流してきた約3000人の被害者の声を基にした被害の実態を伝える。
     性犯罪事件の裁判員裁判への当事者の立場から問題提起し、マスコミの取材に応じる様子、性被害を打ち明けられた知人の心情などが記載される。
     圧巻なのは、著者が交流してきた約3000人もの被害者の声を基にした性暴力被害の実態である。その人数にも、交流の質にも驚かされる。誰にも「言えない」被害を著者には告白する仲間と、一人ひとりの仲間を受け入れ親身になる彼女の間には、“本当の信頼関係”が存在していると感じる。それは、性暴力被害者が被害によって失い、そして、回復のために最も必要とするものであり、本書は3000人の被害者の救いの記録でもある。
     この本が、被害者だけでなく、それを支える周囲の人たちにも向けた、「理解」に近づくための一助になることを、著者も私も強く願っている。

     警察に届ける被害者は毎年2000人弱なので彼女一人で3000人の被害者からの告白を受けたってすごいと本当に思います。彼女に被害を連絡した被害者のうちの47%が彼女に実名を告げているそうです!とてもすごいことだと思います。また、こうして”2作目“を執筆するサバイバーは少ないので、彼女の努力は並大抵でないなとも思います。
     前作、本作を通して、まだしんどいところもあるのだろうなと感じる面も多くありました。それでも他の被害者の相談を受けることは賛否両論あるかと思いますが、彼女の選んだ人生を応援したいと思います。

  • 前著を読んでから、間が開いてしまいましたが目を通しました。考えさせられてしまう、としか言えないです。

  • こちらは前作から数年後に書かれたもの。前作への反響を受けて書かれている。反響の内容を分析したグラフなどもあり、資料としても条件付きで使えそう。強いストレスにさらされた人が直後どんなにイライラするか、人格的に問題のある人のように映るか、そして周囲の人が思う異常に長い間それが続くのだということがわかりやすく書かれています。性犯罪を含めた非常に強烈なストレスにあった人は本当に気長に支える必要があるのだということを読んでいただければと思います。
    ただ、実際に犯罪の渦中にある子供と知り合った時にその子供の受けている犯罪をどうするか、ということについては、作者のとった行動には賛成できないかなと思います。子供を説得してその犯罪から遠ざける努力をやはり大人はしなければならない、自分にできないならしかるべき場所は人に相談することだけでも説得するべきかな、と思います。

  • 全然知らない人を前にこんなことを話すのは辛いのじゃなかろうかと老婆心が顔を出す。その通り辛いだろう。
    じゃあ何で本を出したか?わかってもらいたいからだろう。
    どう怖かったか、事件前後の変化など他人にわかるように伝えるということは簡単ではない。編集者(読者代表)の力を借りて一般読者が疑問に思う、よくわからないだろうところを見つけて、そこを丁寧に説明する。それは専門家が一般向けに専門の話をすることと同じ。
    「本にする」とはそういうことだろう。
    そういう苦労のおかげで読める本ができると思う。
    彼女にとって当たり前のことを丁寧に説明する
    これは本人にとって非常に面倒な作業であることは間違いない。
    だから彼女のことをよく知っている他人や身内にはこんな面倒くさい説明はしたくない。だから「態度で気付けよ」とか「家族なのに私のこんなこともわからないのか」と腹が立つ。
    だから本にするのだ。
    最後に両親へのメッセージがあるのはそのためだろう。

  • 男である以上、また被害者でない以上、性犯罪に遭われた方の気持ちを100%分かるのは無理。でも「分かろう」とする意思は男性として大事だし、突っ込んで考えてみれば「自分も加害者の立場になるかも知れない。」という危機感を持っていくことが自分に求められているのではないかと思う。

    引用(性犯罪被害者が事件に遭ったことを告白できないという事実をうけて)

    「被害者は悪くないのだから、そんな感情を抱く必要なんてないのに。」そう考える人には「そう感じさせるのが性暴力なんだ。」と言うほかありません。

  • 性犯罪の全貌に迫る本ではない。被害者のおかれている社会的、心理的な過酷さに思いを馳せる本だ。被害者と加害者につながりをもたらすなんて幻想に過ぎないことが決定的に分かった。

    辛いけれども読みやすい。文字量も体裁も。

    小学校4年生の娘に何の本を読んでいるの?と聞かれ、うまく答えられなかったことを悔やむと同時に、それが性暴力を語る難しさなんだ思った。

  • 前著は既読。
    第二章の強姦事件の裁判にて、被告人が『性犯罪被害にあうということ』を読んだ上で手紙に「僕は人に愛されたい」と綴った事に悔しさ、悲しさ、怖さ、この事件の被害者への申し訳なさでいっぱいになったと語っています。私も同感でした。この章で強姦罪は裁判員制度の対象にならず、強姦致死罪はなるという事、その為に被害者がより罪の重い後者でなく、前者で逮捕することを望むことがある事を知った。
    最後の章では、著者の両親も苦しみながらも著者を受けてメている事が記されており、何よりも救いだと思った。
    再び、こうして本を出してくれた事に感謝です。

  • 人知れず苦しんでいる人に、気休めの言葉はかけられませんね。

    いろいろと考えさせられる本です

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