我らが祖母は歌う

著者 : 瀬川深
  • 朝日新聞出版 (2010年11月5日発売)
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  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022508119

作品紹介

地方都市と東京ベイエリア、昭和と平成21年とが交錯する二つの家族、二つの庭のひと夏の物語。野ばら・浜辺の歌・カチューシャ・インターナショナル・霧笛が俺を呼んでいる…我らが祖母の歌うとき、浮かび上がる時間、歴史、そして人生。『チューバはうたう』で太宰治賞受賞の新進作家による最新作。

我らが祖母は歌うの感想・レビュー・書評

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  • 2017/05

  • 喜美子さんは三たびため息をつき、リイトくんはもはや箸を置き、ミユヅちゃんは退屈そうにもぞもぞとおしりを動かしはじめ、私はヒビキくんの不思議な口調を面白く聞きながら、かつて宗之輔さんはどんな若者だったのだろうかと思いを馳せる。

  • 割と薄手の本だけれど、上から下までびっちり活字が。それもそのはず、おばあちゃんの頭の中を次から次へと巡っていく思考が文字になって漏れ出しているのだから。
    途中、不穏な雰囲気になるも大した事件は起きず、閉鎖された町は継続していき、おばあちゃんはひと夏を過ごした町から富山の自宅に帰る。
    どういう話なんだろう。

  • 全編に「歌」が流れているのがうれしい

    75歳の老女の一人称で書かれた
    現代近未来社会への風刺小説としても
    読める

    ところで
    ここに 登場する「歌」たちは
    今も どこかで
    歌われているのだろうか

  • 夫を亡くし、富山で一人暮らしをしている武村三枝子75歳。
    東京お台場キャナルタウンという最先端の住宅地に住む次男家族の家でひと夏を過ごす。
    このキャナルタウンはセキュリティがしっかりしているというのがウリで、
    IDカードがないと出入りできない。
    中にあるスーパーも現金ではなく、IDカードでの支払い。
    洗濯物も庭に干せないし、庭の手入れも管理されている。
    なのに、いろいろしてくれる管理人たちと住人も必要なこと以外会話してはいけない。
    お金を持っている人ばかりが住んでいるのに、付き合いもあまりないためか、
    へんな噂が先行してしまうこともある。
    そんなところに、ずっと人間らしい生活をして生きてきた75歳の女性がやってくるのだ。
    なんとも面白い設定。
    時代の最先端をお金で買う人たちの生活をこの女性はどう感じるのか、どう対処するのか・・・

    息子不夫婦は共働き。夫は官僚で遅くまで働き、妻はフルタイムで働き、料理もしない。
    毎日配達されるデリを家族は食べる。
    小学生の女の子と中学生の次男がいて、長男は大学生になり京都にいってしまった。
    次男は部屋に閉じこもっているばかりで何をしているのかさっぱりわからない。
    祖母は末娘と仲良くなり、学校から帰ってくるのを迎えに行き、散歩し、おしゃべりし、歌を歌う。
    8月に長男が自転車で京都から帰ってきて、この不自然な環境に腹を立て、呆れ、
    閉じこもっている弟を諭す。
    この家だけでなく、キャナルタウン内の不自然さがいろんなことからわかってくるし、
    外から遊びにきた中学生の女の子が行方不明になりという事件も起きる。
    この女性はこの奇妙な環境に逆らうことなく、ただあるものとして受け入れていく。

    75歳の女性の頭の中で考えられたことがつらつらと文章になっているので、
    現実と過去の回想とがごっちゃになっって、それもとってもおもしろい。
    本当に老人の頭の中を覗いてみたら、こんな風なのかもしれない。
    私はこの文章を読んでいるのが、とっても心地よかった。
    それは私も老いてきた証拠かな。
    私もこの祖母のように何かをしながら、何かを聞きながら、
    自分の思いに耽っていることが多いから。

  • 夫を亡くし、ひと夏の間次男夫婦の家にやっかいになることになった老女の物語だ。
    次男の住む完全に管理し統制された「キャナルタウン」という町の奇妙な仕組みに戸惑い、わずかな痴呆により現在と過去の境があいまいにぼやけては交じり合い、不思議な世界ができあがる。
    改行の極端に少ない独特な文体とあいまって、老女の目を通してみる世界は皮肉でもあり明るくもありおもしろい。

  • 舞台が富裕層のためのゲイテッド・シティというところが目新しいトレンディ・ドラマ。ちょっと世相を詰め込みすぎた感がある。なんといっても主人公の武村三枝子75歳が納得いかない。認知症の疑いで、ひと夏を息子のところで過ごすという設定。息子の知り合いの医師から「通常の物忘れ程度」という診断を受ける。息子の家も家族もわかるし料理をはじめとして家事もできる。何となく変なのはあまりにも現実味が薄いこと。方言もなく、山の手育ちの奥様みたい。高校の先生を続けていたはずなのに、箱入り奥様過ぎる。空を飛ぶ夢は臨在感ありすぎ。この世にいない人みたいなのだ。高岡の家の物置のドアに興味津々。実物を見てみたい。

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