老いへの不安 歳を取りそこねる人たち

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著者 : 春日武彦
  • 朝日新聞出版 (2011年4月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022508522

作品紹介

歳をうまく取れないために生じる恥、勘違い、いかがわしい振る舞い。老人たちの不安に向き合ってきた精神科医が、臨床現場での知見と数多くの文学作品の読解をもとに、老人の心に迫る。哀しくもおかしな老いの見本帳。

老いへの不安 歳を取りそこねる人たちの感想・レビュー・書評

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  • 様々な老人の姿が、小説を中心に描かれている。
    ちょっと困った人、老人になり切れていない人、いい感じで枯れている人、成熟している人、奇抜な人・・・
    自分の持つ感想がそのままそのまま、老いに対するイメージを表現してしまうのだろう。
    時々でてくる、それもありかな、という筆者の言葉が、私にとっては、老のひとつの在り方のように聞こえる。

  • ■雑誌『本の雑誌』の漫画家・吉野朔美さんのマンガエッセイに時々登場する精神科医。ひねくれ具合のテイストが似ているので、言語化できない自分の頭の中を読んでいるようで心地いい(^◇^)
    ■秀逸なのは、84ページ「若くあろうとすることについて」の一節。いわく「ところで人間の行動様式のもっとも根底にあるものは、おそらく無力感だろうと私は考えている。それは劣等感とか自己実現とか、そういったものよりもなお深いところに根を張っている。無力感にそのまま押し流されて受動的かつ無気力な人生を送る者もいれば、無力感を克服しようと努力し、あるいは自暴自棄になる者もいる。…」と続く。
    ■そして「自己嫌悪」や「恥」について話が及ぶ。「自己嫌悪の対象は、現在の事象も過去の事象も該当する。肯定したはずの過去が、不意に意味を逆転させたり勘違いであったと気付くことなどいくらでもある。若いうちの恥は、やがて取るに足らぬ失敗であったと笑い飛ばしたり客観視できるようになる可能性のほうが高いけれども、老いてからの恥は人生そのものを問われてしまう場合も希ではないのではないか」…恐ろしくも味わい深い。

  • タイトルから精神科医が観た「暴走老人」のようなことがかかれているのかと想像していたが、想像は逆襲された。

    先生は自らの老いの姿を夢想する。タバコやのオヤジ、きどった趣味の喫茶店オーナー・・・。

    でも、どれもこの日本社会では実現不可能な姿でしかない。
    生きている間は、社会から引退できないしくみ、隠居など不在なのだ。若者に講釈をたれるほどの人格も形成されていないし、そんな社会状況でもない。

    いわば「どのように老いるか」のモデルがない時代に、もう間近な老年時代をどのように過ごしたらいいのだろうか?

    著者は、モデルを小説の中に逍遥する。これはオモシロイ。
    でも、それも「あこがれ」となってしまう。

    老いるのは「本当に難儀なのですよ」って。
    よい本です!!

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