大津波と原発

  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 311
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022508744

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災以降、いろいろな文筆家、思想家がいろいろな本をだしているどれ一つとして読むに価しない本はない。
    これも宗教学者の中沢新一とフランス思想研究科の内田樹ともうひとりはよくしらない平川さんの鼎談である。平川さんは聞き役なので中沢新一と内田樹の考え方がよくでていると思った。
    原子力発電は一神教という考え方は面白いが、そこに本質があるというのはちょっと無理があると思った。でもそれはもの毎のとらえ方としては十分ありうるし、参考になる。一神教とだとん喝破しても現実社会の動きに反映されないのだ。政治家が、東電がそれで立居振舞を変えるとは思えない。
     思想家という人たちは それで世の中を変えようとしているのだろうか。中沢新一が緑の党を立ち上げるといっていたが、本当に立ち上げるものは政治活動をしないとなっている。
    そうなのだ。大江健三郎も立候補しないし、中沢新一も立候補しないみな泥沼に足をつっこまないのだ。あくまで高踏派ということなんだろうか。

    理想論を振りかざし財政赤字を招いた美濃部知事もいらないが、産業界からの声に屈する政治家もいらない。やはりビジョンを示しつつ一歩を踏み出すことのなんてむずかしいことか。

    ちょっと脱線したが、まぁ 面白い本です。鼎談をテープおこしにしようという気持ちは大いにわかる。

  • 本質をついてる。でも学者の限界も感じる。

  • 花泉図書館。

    科学の進歩を否定しているわけではない。ただ、人間がコントロールできる限界を知れ、と。人知の及ばないものをしっかりと恐れる気持ちを忘れるな、「驕るな、日本人」ってこと。

    生態圏エネルギー
    生態圏以外からのエネルギー⇒原子核


    「原子力」=「神」説。
    誰一人責任を取れない技術。ずっともやもやしていたものが、ハッキリとしてきた感じ。

    一神教的思考と神仏習合。
    聖域を崇める、畏れる。

    「原発を止めると経済が滞る、それでもいいのか?」というフォーマット的原発推進者の意見。
    【人の命の話をしているのに、そこに金を持ち出すな】
    まさにコレ。イデオロギーの硬直化は教育(というかある意味での洗脳)の果たしてきた役割も大きいよね。

    結局4年前の反省も何もなく、原発再稼働しちゃいましたね。外交・経済・内政などなど様々なファクターが複雑に絡まった「原子力ムラ」はなかなか解すことはできないのかもしれないけれど「誰かがやらなきゃ」なんだよね。

  • 原発問題を語る。

  • 原発を通して見えた国の問題を、思想論から捉えるというもの。
    思想を簡単に考えれば、日本人のモノの考え方、発想の仕方というところだろうか。
    具体的にどう展開するかの実践を、どの方向に持っていくか。

  • 専門でない人にとって、原発をどうとらえたら良いのかよくわかった。一神教としての原発、それに対する日本人の取り組み。責任のない原発という生態圏外の技術は、やはり使うべきではないという思いが強くなった。

  • 震災1ヶ月、ユーストでの対談をまとめたもの。
    心の中でもやもやしていた煙のようなものに形をもらった感じ。
    一神教、深いところまでの考察なしに進んできた、今半年過ぎて「ないないない」にされてないか、ビジョンはまだか。
    時期を過ぎても読む価値のある本。

  • 中沢新一が語る「原子力は生態系の外側にあるエネルギー」「原子力は一神教的思考」
    平川克美が語る「ブリコラージュと贈与」
    内田樹が語る「利害関係が複雑であればあるほどシステムが安定するという日本人の知恵」
    かなりバイアスの強い対談だが、まあ彼ららしくておもしろい。

  •  「日本辺境論」以来、内田樹さんの本を読んでは、すとんと腑に落ちる発言にずいずいと引き込まれ続けている。中沢新一さんの、宗教学者ならではの視点から繰り出される言葉にも、「あぁそういうことだったのか」、と新たな視座を得る喜びが。
    以前から注目していたお二人が参加されている対談なので、本屋で偶然見かけた瞬間に購入し、一気に読了。
     技術論や、経済効果からではなく、日本人の持つ固有の文化や思考パターンから、原発の問題を論じられているところが素晴らしい。
     この手の内容の濃い対談を、最近PodcastやUstreamでも聞くことができるようになった。お二人とも声や語りのテンポが心地よい方なので、音声で聞いた方がよりダイレクトに伝わってくるかもしれない。

  • 大震災後の原発事故、そしてそこにあった「よく判らないモヤモヤとした不安」がなんであるか、原発の存在を理解するための、思想構築のテキストと言ええよう。原発賛成、反対に関わらず、一読に値する。

著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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