- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022508911
感想・レビュー・書評
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『小沢一郎とは何者か?』『日本の政治に小沢一郎は必要なのか?』一人ひとりが答えを出さなければならないこの疑問に関するヒントをを秘書として小沢一郎を身近に見てきた人間が解き明かしてくれる一冊でした。
『小沢一郎とは何者なのか?』
この問いに対する答えは皆さん一人ひとりがおそらくお持ちでいらっしゃるのですがこの本は小沢一郎の秘書として長年彼に仕えてきた筆者にかけない生身の小沢一郎の姿が描かれていてタイトルの『悪党』というのは南北朝時代の楠正成たちをさす言葉だそうです。
本書の構成は目次より
目次
第1部 「悪党」登場
第1章 逮捕まで、そして逮捕から
第2章 悪党の思想と外交戦略
第3章 悪党に仕えるということ
第4章 悪党の急所
第5章 悪党と選挙、大連立
第2部 「悪党」解剖
第1章 悪党とキン肉マン
第2章 悪党とマルクス
第3章 悪党とウェーバー
第4章 悪党とチャーチル
第5章 悪党とサンデル
第3部 対決
小沢一郎が語った「原発」「遷都」「復権」
となっていて、
筆者の個人史と小沢一郎に対する見方がちょうど交互になるような構成になっており、筆者が秘書として小沢一郎の下に入り、自らを『レレレのおじさん』と称するまでに朝は4時から起床して小沢低を端から端までほうきをかけていたり、小沢一郎の『かばん持ち』として彼が行くことろに同行したり、後に彼が秘書たちの中でも格が上がってきて選挙活動を指揮したりする場面はかつて(あまり詳しくはいえませんが)自身も『徒弟生活』の真似事をしていた時期のことを思い出してしまいました。
特に、先輩の秘書から仕事が終わった後に酒の席に誘われ、つい夜中の2時3時になるまで深酒をして翌朝は当然寝坊をして小沢一郎本人にたたき起こされる場面は本当によく笑わせていただきました。後半部は筆者の『小沢一郎論』で彼を『キン肉マン』になぞらえてみていたり、小沢一郎がイギリスの名宰相・チャーチルを大いに尊敬していることを始め、故事歴史に一家言をもっている存在であるということをこの本を読んではじめて知りました。
巻末のほうで筆者と小沢一郎の『恩讐を越えた』対談が収録されているのですが、ここを読みながら行間から緊張感がにじみ出てくるような緊迫したやり取りをしていたことが非常に印象に残っております。2012年は筆者にとっても小沢一郎にとっても検察との『裁判闘争』の最終局面を迎えるそうで、個人的にはこの裁判を『国家の主人は誰なのか?』 『小沢vs特捜検察最終戦争』もしくは『田中角栄型の政治にどう決着がつくか』などのさまざまなことを思いながら行方を見守っておりますので、そのような意味でもこの本が上梓されたことは重要な意味を持つのではないかと思っております。
佐藤優氏が帯で『この本は危ない。誰も書けなかった小沢一郎がいる』と書いてあるのがわかるような気がいたしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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【要約】
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【ノート】
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2011年。西松事件などで逮捕された、小沢一郎元秘書の元衆議院議員が語る、という本。元は「アエラ」のインタビューらしい。まあ秘書ならではの、言葉の細かいニュアンスなどはわかるが、石川の心の中で、小沢に対するツッコミのモノローグが失礼すぎると思う。いくら外面は誠実にやってるように見せても、この男は心のなかでこんな風に思っていたのかと思ったら、嫌な感じしかしない。
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本書の著者は石川知裕(ともひろ)。小沢一郎が関係する陸山会事件で、政治資金規正法違反容疑で逮捕された。有罪判決を受けるも、最高裁判所への上告は取り下げないと表明し、現在も係争中のようだ。
本書で石川が明かしているが、学生のころから小沢一郎に興味があったようだ。ロック歌手より、アイドルより自民党幹事長としてテレビに映る小沢一郎が気になっていたという。正直、訳がわからんというところだが、政治家になる人は、そういうところがあるのかもしれない。小沢一郎のどこがそんなに気になったのか。本人の人生に大きな影響を与えた小沢一郎を「悪党」と称して書いた本が本書だ。
ちなにみ、「悪党」を辞書で引くとわかるが、必ずしも人道に外れたことをする悪人を指すだけではない。中世日本において、既存支配体系へ対抗した者・階層を「悪党」といった。石川はこの意味で本書をネーミングしたことは明らかだろう。
本書を読むと、政治家ってこういう風な生活をしているのかとか、こういう考え方をするのかが分かる。ただ、たとえば、小沢の口癖はこうだった。
「だから、それを分かりやすい言葉でいうと、なんちゅう言葉になる?」。
小沢は国民へどうやって分かりやすく語りかけるかを、いつも気にしていたということだ。ほかには、こんなことも言っている。
「おい、石川。コピー用紙は裏まで使え。角さんも秘書にはケチだって言われていたんだ。だけどな、カネってのはな、締めるところは締めて、使うところには使うんだ」。
日本の政治家として一番いけないことはなんでしょうという質問に対しては次のように答える。
「そりゃ、天皇制をいじることだ」。
政治家の本なんてつまらないと思っていたけど、人間としての政治家はやっぱり面白いところもある。逆に言えば、それだけ人間味のない政治家の議論ばかりしているいまの社会に問題があるのかもしれない。 -
2年前に読んだのだが、当時から見れば小沢一郎という名前が聞こえてくることは殆どなくなった。いやはや隔世の感がある。政治とカネの問題で検察側が勝利した見てよかろう。民主党は鳩山・小沢という功労者を切り捨てたことで党としては終わっていると思う。日本における二大政党制は頓挫した。今後の大きな流れとしては大連立に向かうような気がする。
http://sessendo.blogspot.jp/2014/05/blog-post_6502.html -
小沢一郎も人の子なんだなあ。波乱万丈で強い面があるから、人間味が引き立つ。
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小沢一郎に対する見方が少し変わる一冊。
まぁ、前からちょっと誤解されがちなんだろうなぁとは思っていたけど、ここまで近くにいた人の激白なのですごい面白いし、政治家ってこんなふうに生活しているんだということもわかる。
そして著者は疑惑には何ら関わっていないということも。
それにしても北海道の方々は連帯感が強いんだなぁ。同郷というだけでああはいかないでしょう。ムネオが特別なだけかな?