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Amazon.co.jp ・本 (504ページ) / ISBN・EAN: 9784022508928
感想・レビュー・書評
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久しぶりの吉田修一。
やっぱりこの人の本は登場人物のキャラクターに引き込まれていく。ありえないように思えてもありえそうに思わせてしまう登場人物のキャラクターが憎めない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱり吉田修一のキャラクターを描く力、凄すぎる。一人一人を大好きになってしまう。
ただ、前半はサブキャラだったのに、終盤は純平が急に単独で主人公に昇格したような違和感が拭えない。
あれ?湊は?美月は?夕子は?皆、純平応援団に降格してしまっている。それなら、もう少し前半も純平を魅力的に描いて欲しかったなぁ…。
ただ、湊一族が不幸だけで終わらなかったのが良かった。 -
おもしろかった!
さすが!
いろんな人との繋がりとか力関係とか思惑とか…
絡み合って 読む手を止めたくなかった! -
さすが、実力のある作者だけあって、様々な登場人物達の視線から物語が絡み合いながら展開するという構造。で、その話を引っぱる主だった登場人物がなんと8人(美月、朋生、純平、友香、湊、美姫、夕子、サワ、っだったよね?)
それぞれが色々な思い、出会い、出来事を経ながら不思議と繫がり、終盤にすんごい事をやってしまいます。読んでる方もビックリ。「この話を、まさかそうしちゃうなんて。思ってもみなかったわ!」と強く感じました。
最終的には読者のヨミ通りに落ち着いて、出来すぎな感はあるのですが、その出来すぎ感から見え隠れするのが、よくある筆者の自己陶酔や読者への媚では無く、この物語で「スカッと」して貰う事のみを狙ってるという気がして、二重三重に上手いなぁと思いました。なるほどね、猿蟹合戦図。 -
さすが吉田修一.一騎に読ませる.でも後半は少し詰め込み過ぎ感はあるかな?もっと平凡で日常をを描き,その中からきらりと光る物を描き出すのが吉田修一の魅力だと思う.横道世之介やパレード何かに比べると自分の中では少し落ちるかな.
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夜中の三時まで一気に読んでしまった。ありえん展開がまた面白い。相変わらず吉田修一の描写展開力には脱帽ですわ!
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登場人物で混乱した。
その割に話の印象は、序盤の方が強くて
後半ほとんど覚えてない。 -
人を騙せる人間は自分なりの理屈をもってして自分のことを正しいと思える人、騙される側は自分が本当に正しいのかと疑える人。
自分のことを疑える人間を簡単に捨ててしまういまの世の中。
根本的な疑問で、なぜ人は仇を討つとか復讐とかに執着するのだろう -
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タイトルに惹かれて手に取った本。
吉田修一さんの本は2冊目。
小説のラスト、瑛太くんはお猿さんと蟹さんの出てくる話のスカッとするところが好きだとサワさんに言う。
サワさんは、「……スカッどする話さは毒っこ入ってらど」と答える。
この小説はこの会話の通りの物語だと思う。
物語の最初、歌舞伎町の路地で座り込む美月は騙された女性にしか思えず、ディズニーランドのことなんて考えてる場合じゃないよとハラハラした。
朋生と純平は早々に痛い目を見るとしか思えず、こちらはこちらでハラハラした。
この物語の主だった登場人物はどこかのんびりしていて、人が良くて、なんか心配になるタイプが多い。
夕子さん、美姫ママ、高坂さんのなんと頼もしいことか。彼らがいなければ今頃何人かは東京湾に沈んでいたのかも‥。
そんな風にハラハラしながらも、ある時は可愛い瑛太くんに癒やされ、ある時は美姫ママと高坂さんのプロポーズシーンにときめき、あれよあれよという間に大団円。
あぁ…、良かった。皆さんお幸せに。
めでたし、めでたし。
猿蟹合戦ほどスカッとはしなかったけれど、ほっとするラストだった。 -
──この世に神様は存在する
本当に心優しい人たちを、けして神様は見捨てない。
私も『正直者が馬鹿を見る世界』であって欲しくはないと願う人間の一人だから。
「平成猿蟹合戦図」というタイトルではあったが、なるべく先入観を持たないために、前知識も仕入れず、他の方のブクログのレビューも一切読まず、まっさらな気持ちでこの本に取り掛かった。
冒頭から前半の途中あたりまでは、少しかったるい感じの話の流れ。
島から幼子を連れて長崎、そして東京まで来ても夫の朋生に会えない美月の様子は、夫に裏切られ、転落していくようなストーリーになるのかと思った。
ところがどっこい、その美月にあっけらかんと優しく接する純平のキャラ設定がそういう話ではないことを気付かせる。
そして読み進むに連れ、歌舞伎町の単なるバーテンだった純平という人間がどんどん魅力的な人間に描かれていく。
それでも、物語自体は淡々とした雰囲気のままだ。
轢き逃げ事故を起こし、その加害者が違う人間だったという事実に遭遇し、ヤクザが絡んだりしてきても、取り立ててサスペンス的な切迫感はなく、のんびりと田舎の田園風景を眺めているようなストーリー。
俄然話が面白くなるのは、美月が水商売を始め、人気が出て、さてこれからどんな展開に? という辺りからだろうか。
その後はとんとん拍子というか、物語世界は思いがけない奥行きを見せ、最後には国を動かす政治家に登り詰める話にまでなるのだから、なかなか面白い。
吉田修一の面目躍如といった展開。
文中、良いアクセントになるのが90歳を超えたサワおばあちゃんの秋田弁での話、というか、語り口。
この語り口が最後まで続き、心温まる優しい気持ちでこの話を見事に締めくくる。
『横道世之助』と『悪人』を足して二で割ったような世界。
いや、それに連作短編集『日曜日たち』も足して三で割った世界と言うべきか。
様々なキャラクターの人物が適度に配置され、それぞれの役割をこなしていく群像劇としては見事。
また、ところどころで短編の名手吉田修一ならではの、さりげなく心に残るような光った文章も見え隠れする。
そして最後は見事に子蟹達が親の敵を討ち、ずる賢い猿をやっつける。
ちょっと爽快で、それこそスカッとする結末でした。
因果応報。めでたしめでたし。
これを読んで、あらためて最新作「太陽は動かない」を考えると、あれはあまりにも畑違いのジャンルに挑戦し過ぎて無理があったのじゃないか、と思ってしまう。
サスペンス仕立てのスパイ小説など、吉田修一じゃなくても、そちらの専門作家がいるのだから彼らに任せておけば良いのだ。
あの分野は、無理に吉田修一が入って、書いてみる世界ではないと思う。
吉田修一殿、貴方の魅力を存分に発揮できる得意な分野で小説を書き続けていってください。 -
吉田作品にハズレ無し!
とはいえ終盤はテレビ同様やっつけ仕事的な駆け足だった。 -
殺されなくてよかった~~
ちょっとお間抜け?・・・と思ってたら
いい話になりました -
サクセスストーリ何でしょうか。
園さんがあまりにも優秀なんでしょうか。 -
4.0 登場人物が多く、読み始めの頃は苦労しましたが後半は楽しめました。
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展開も物語もよく練られていて、すごく面白い。
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