嘆きの美女

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1124
レビュー : 200
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022508935

作品紹介・あらすじ

生まれつき顔も性格もブスな耶居子は、会社を辞めほぼ引きこもり。顔のにきびをつぶすことと、美人専用悩み相談サイト「嘆きの美女」を荒らすことが最大の楽しみだった。ところが、ある出来事をきっかけに「嘆きの美女」の管理人のいる、お屋敷で同居するハメに…。美しくても、美しくなくても、たくましく生きる女性たちの姿を描く。外見、趣味、食べ物、男性からの視線-。生きてきた環境があまりにも違う彼女たちが、いつの間にか繋がっていく。女の人たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 洗面器大の手作りエンゼルパイ。
    水のかわりに、いちめんアップルゼリーを固めた庭のプール。
    実物の3倍の大きさで焼き上げた、コアラのマーチ。

    光を纏ったような美女たちと、その美を維持するための暮らしぶり、
    カロリーや栄養を考慮した健康的なメニューも描かれてはいるけれど
    本気でダイエットしようと決意している人、「身体的美女」を目指している人は
    今は読まないでおくほうがいいかもしれません。

    だって、ヒロイン耶居子が作る料理やお菓子の引力があまりに強すぎて!
    夜中だろうが明け方だろうが、コンビニに駆け込みたくなること必至なので。。。

    仕事を辞めて以来、実家の6畳の和室に引きこもり、ジャンクフードとコミックに埋もれ、
    幸せそうなブログを荒らすのだけが楽しみという、耶居子、25歳。

    美人ならではの悩みを綴ったサイト「嘆きの美女」をとりわけ憎み、
    彼女たちのオフ会の様子を悪意をこめてネットに晒してやろうと張り込んでいたところを
    予想外の事故に巻き込まれ、なんと美女たちの恩人として
    プールつきの豪邸に同居することになるのですが。。。

    髪をとかし、服を着せ、薬膳料理をひとさじひとさじ「あーん」して
    かいがいしく世話を焼いてくれる美女たちに、耶居子が心の中で
    つぶやき続ける毒舌の凄まじいこと!
    ところが、耶居子としては皮肉や怒りをぶつけているつもりが、
    美女たちには、胸のすくような発言と取られたり、図らずも救いになってしまったり。

    心やさしい美女たちの影響を受け、このまま耶居子も
    『クリスマス・キャロル』のスクルージ化してしまうのか?!と思いきや、
    儚げな美貌そのままに、言動もまるで天使のようだったサイトの管理人ユリエが
    突如として耶居子化し、暴言を吐き始めるあたりから俄然面白くなってきます!

    ヘルシーな生活と食事で、ある程度美しくなれることを知っても
    簡単には改心(?!)せず、明星 一平ちゃん夜店の焼きそばをこよなく愛し
    ハッピーターンの魔法の粉や、カロリーメイトを手作りすることに執着する
    耶居子の暴走エネルギーがパチパチ弾けるような快作でした♪

  • 女なら誰しも憧れる美女。そんな美女を目の敵にし、美人専用悩み相談サイト「嘆きの美女」を荒らす、顔も性格もブスな耶居子。引きこもり。好きなモノは本とスナック菓子、インスタント食品、お洒落ブログを閉鎖に追い込むこと。

    自称「美女」たちを叩こうと画策するも、「嘆きの美女」の管理人であり、幼馴染だったユリエを偶然とはいえ助けてしまい、美女たちとユリエの豪邸で暮らすはめに……。

    豪邸の持ち主でモデルのユリエ、グラドル並のスタイルの元看護師 優子、ボーイッシュな売れっ子美容師 葉月、バツ2の料理研究家 玲子と彼女の娘 まーちゃん。
    本物の美女たちに囲まれるうち、いつしか耶居子も綺麗になりました・・・という単純なお話ではない。ぶれないブスは自分を曲げず、強くたくましく、美女たちを圧倒していく。

    プールをゼリーに・・・ていうのは「おひめさま がっこうへいく」(大好きだった!)が最初だと思っていたけど、「あしながおじさん」だったのか。

    ドラマ化を見逃したのが惜しいほど、軽快で小気味よい。現実はこんなに、全てハッピーな展開にはならないかもしれないけどええじゃないか。

  • ブスはブスなり、美女は美女なりに
    黒い部分も悩みもいっぱい抱えて生きてるんだなぁ、というところと
    人から見られてる姿と、自分で思う自分のギャップ。
    そういう部分の描き方がものすごく巧い。
    単に美人なだけ、ブスなだけではなく、ちゃんと裏がある描き方に
    各々のキャラクターの魅力を感じた。
    というかブスブス連呼しておきながら難だけど、
    あたしは耶居子がブスだとはこれっぽっちも思わない。

    耶居子の生活態度が自分とそっくりで、ちょっと複雑な気分。
    ネット上で誹謗中傷を書き込んで炎上させたりはしないけど
    人と接することで相手のいいところを汲み取っていく度量の広さが
    自分には決定的に足りないので、なんか悲しくなった。
    作中でどんどん綺麗になっていって、
    エイジや宗佑に好意を持たれる耶居子が羨ましいと思うと同時に
    誹謗を恐れず自分の意見を主張できて、
    恐らく耶居子本人は気づいていないだろうけど
    周りの人たちをリスペクトできる人なのだから
    この流れは至極当然なんだろうな、という納得感もあった。
    お料理日記に出てきたヒガシとの関係がどうなるか、すごく気になる。
    寸止めなんだもんなぁ。狡いよ(爆)。

    ユリエもただの美人さんかと思いきや、
    いきなり振り切ったように豹変する辺りがカッコよかった。
    最初はなんだコイツと思った奥沢エイジは
    登場人物の中で誰よりも人を見る目が確かだったんだ、と思う。

    ドラマは見てなかったけど、黒沢かずこさんの耶居子は大ハマりな気がする。たぶん。

    柚木麻子さんの本を読んだのは初めてだったんだけど
    内容はむしろ期待以上に面白かった。
    CREAでの対談で触れられていた『私にふさわしいホテル』も読んでみたい。

  • 美女たちが美人であるが故の悩みや苦悩を語り合い、慰めあうサイト『嘆きの美女』。
    ひきこもりで根暗で性格の歪んだ不細工な主人公・耶居子はそのサイトを荒らすことを生きがいにしている。

    参加者の写真を撮ってネットでばら撒こうと、オフ会が開かれるケーキ屋で待ち伏せをしていたら、
    事故に巻き込まれて美女たちの住む屋敷で同居することに。
    そしてそのサイトの管理人ユリコは主人公の小学生時代の同級生だった。

    美人ながらそれぞれ悩みとコンプレックスを持つ人たちとの同居生活の中で、
    耶居子はしぶしぶ人間的な生活と社会とのつながりを取り戻していく。

    ブスがだんだん綺麗になっていくというのはよくあるストーリーだけれども、
    耶居子は大して綺麗にならない。
    性格もキツイし、素直じゃない。

    でも他の人の強さや弱さを素直に認め、自分以外の価値観を受け入れる柔軟さを取り戻していく。

    ギャグみたいな展開だし、ひたすらぶっとんでいる。
    あまりリアリティはない。
    でも勢いで読んでしまえる文体と長さだから、こういう話もアリかなと。

    そして元がアエラネットでの連載だったそうで、
    連載時の2011年的なコネタがいろいろある。
    芸能人の名前や食べ物、本のタイトルなど固有名詞バンバン使っているのもそのためかと。
    ストーリー展開にもマッチしていると思う。
    web小説だったら確かに面白かったかもしれないけど、
    今回紙の本で読むとそういう時代感に少し冷めてしまった。

    確かに掲載された瞬間はとてもフレッシュだったかもしれないけど、それは逆に旬を過ぎた瞬間古臭さの源になる。
    十年前の写真を見て古いと思う感覚に似てる。
    時代にフィットして最先端であればあるほど後から見ると古さが目立つ。そんな感じ。

    だからこれはとても十年残る本ではない。
    刊行は昨年末なのに、今でさえぎりぎり。結構寒い。
    来年でも無理かも。

    電子書籍で売って終わりにするのが潔かったんじゃないのか。
    極端に言ってしまえばこの本は読み捨てられ消えていく類だろう。
    そんな役割の物語にも価値はあると思うけど、そういう作品は紙媒体にはなじまないのではないか。
    今後こういう傾向の本が増えていくとしたら、余計に紙の本は売れなくなってしまうのじゃないかしら。

    ページを開かれなくなった本は悲しい。
    それが想像できてちょっと切ない。
    おこがましい言い方をしてしまえば、今私が読んであげてよかった。

    今しか書けない本はパワーがあると思う。
    でもそれはたった今流行している文化やタレントを使うということではないでしょう。
    いい本は古くならないんだから、時代におもねることないのに。
    内容よりもそんなことに考えがいってしまった。
    なんだかな。

  • 「やっぱり世の中は美人に都合よくできてやがる!」
    (池田耶居子)

    はじまりから引き込まれる内容。登場する女性はどれも鼻につく感じだったが途中からそれぞれ良いキャラしてた。
    夢があるゼリーのプールや洗面器大のエンゼルパイで物語を締めるのが良かった。
    書き下ろしの「耶居子のごはん日記」であの人が登場した時は少しテンション上がった!

  • あー、まだまだ読んでいたかった。
    最初は読み進められるか不安だったけど途中からページをめくる手が止まらなかった。女の子が成長してどんどん魅力的になっていく姿は読んでいてワクワク、元気になる。
    耶居子のごはん日記は途中アレっ、何の本読んでいるんだっけと錯覚してしまった。あー、おもしろかった‼︎

  • kamosigiさんが読まれていたのに加え、
    見逃してしまったがちょうどドラマで放映されていたようだったので、
    このタイミングで読んでみた。

    ちょっと想像していたのとは違って、
    結果一気にさっくりと読めた感じ。

    ドラマの主要なキャストを知っていたので、
    最初はそのイメージで読み進めていたんだけど、
    耶居子もユリエも途中から違うイメージで読んでしまった。
    ドラマはドラマでおもしろく観られたのかもしれないけど。

    きれいごとばかりではない、そういう意味でのあけすけなせりふや感情を露にするあたりは、ある種の爽快感があって、決して嫌な感じではなく、むしろあれこれを経てそれぞれが成長し、また関係を深めていくあたりは読了後も後味さっぱり。あんなに耶居子が嫌な奴から始まるのに、着地点が全く違った場所に落ち着くあたりに救われる。
    ちょっと極端だけどね。

  • これは、美女とブスの友情・成長小説と言うべきか。
    それとも思わず食べたくなるもの満載のグルメ小説と言うべきか…

    どちらをとっても「これは良かった!」と満足できるお話でした。

    図らずも美女に囲まれて暮らすことになった性格も顔も「残念」な主人公は、彼女らと過ごすうちに外側も内側も自分らしく磨かれてゆく。
    同時に、美女たちも主人公と過ごすうちに自分の弱さに気づき、やがて新たな一歩を踏み出す。


    まあけっこううまいこといきすぎな感じもしたけど、小説だし読んでてスカッとして楽しめました!
    Amazonの『KAGEROU』レビューのところは噴きました。
    そして、出てくる食べ物が実に美味しそうにかかれているのが素敵。
    薬膳でも豪華料理でもジャンクフードでも、とにかく食べてみたくなる。

    柚子さんは『終点のあの子』で女子の心理をえがくのがうまいなと思っていたけど、こっちのお話もすごく良かった。
    他のも読みたい。

  • 美女限定のお悩みサイト“嘆きの美女”を荒らすことに生きがいを感じていた耶居子。
    オフ会を隠し撮りしてさらに陥れてやろうと目論むけれど
    そこで事故に遭い、あろうことか美女たちと同居するはめに。
    “嘆きの美女”の管理人ユリエは耶居子の小学校時代の同級生だった。
    奇しくも耶居子はユリエに付きまとうストーカーを撃退した形で怪我を負ったのだった。そこにはサイトの常連である女性たちも同居していた。
    美女たちと引きこもりで荒らし趣味でいわゆる不美人の耶居子。
    全くの対極に立ち、接点がないような人間との同居という設定が面白くサクサク読んだけど 
    なんだかだんだんと話が出来過ぎのように感じ始めた。
    ストーカーとの事件のところで終わっといたらまだ良かったのに 最後の耶居子のごはん日記は必要かなー?
    耶居子の初恋を淡く描いた形になっているからほのぼのとしてしまう感はあるんだけど うーん。。。ちょっと辛口でしょうか?^^;
    でも美人ならではのお悩みにもなるほど!と思ったし
    女子たちの心模様はとても良く描かれていたと思う。
    柚木さんお初だったけど読みやすい。

  • ちょっとご都合主義なところもあるかもしれないけど、気持ちの良い話だった。
    幾つになっても、人は変われるのだと思う。
    きっかけと、本人の気持ち次第で。
    どんどん変わって、理想の自分に近づいていけばいい。
    それに必要なのは、くだらない思い込みを捨てること。
    思い切って、素直になって飛び込んでみれば、結構な割合でうまくいくものだ。

    • kuroayameさん
      『くだらない思い込みを捨てること』。
      私は職場の体制が変わり、何かと悪い方へと考え気味で、一人でため息をついていたりしていたのですが、前向き...
      『くだらない思い込みを捨てること』。
      私は職場の体制が変わり、何かと悪い方へと考え気味で、一人でため息をついていたりしていたのですが、前向きに物事を考えて、自分らしくをもっとうに過ごせるように心がけていたら、面白い発見があったりと、まさしくレビューに記載されていた通りだと嬉しくなりました♪───O(≧∇≦)O────♪。
      いつも素敵なレビューを拝見させていただきありがとうございます\(^o^)/。
      2012/11/07
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著者プロフィール

柚木 麻子は日本の小説家で、1981年 東京都世田谷区生まれ。

立教大学文学部フランス文学科卒業。
大学在学中から脚本家を目指してシナリオセンターに通い、ドラマのプロットライターを勤めたこともあった。
卒業後は製菓メーカーへの就職を経て塾講師や契約社員などの職のかたわら小説の賞に応募し、2008年に第88回オール讀物新人賞を受賞した。受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」を含む初の単行本『終点のあの子』が2010年に刊行された。

2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞 小説部門受賞。
『伊藤くんA to E』『本屋さんのダイアナ』『ナイルパーチの女子会』『BUTTER』が直木賞の候補作となる。

嘆きの美女のその他の作品

嘆きの美女 (朝日文庫) 文庫 嘆きの美女 (朝日文庫) 柚木麻子

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