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Amazon.co.jp ・本 (456ページ) / ISBN・EAN: 9784022508942
感想・レビュー・書評
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2020年77冊目
楊逸さんシリーズです。
図書館パトロールが出来る様になって、また今まで気に留めなかった本に出会っています。
獅子頭は言ってみれば大きな肉団子です。
中華料理の淮楊料理だそうです。淮楊料理と言われてもピンと来ないけれど、本を読んでいると食べたくなって来ます。
料理の描写がとても上手で、匂い立つと言う訳でも無いのに、すごく美味しそうで食べたくなるのは、中華料理の力でしょう。それは、何処かで食べた事のある、ちょっと良い中華料理が思い浮かぶからです。
それは間違いない中華料理。
中華料理の力ってなんだか偉大です。
と、題名も獅子頭だし、中華料理屋さんも舞台なのですが、主役は獅子頭ではありません。
獅子頭はあくまで脇役の一つです。
楊逸さんの作品を読んでいると、時代に翻弄される中国人が浮かび上がって来る。
この本も同じく主役はやっぱり中国人です。
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読み続けるのが少し苦痛なぐらい二順にはイライラした。
作者はあとがきで主人公に対して
善良で素直、悪く言えば単純で愚かと評している。
人種を人格化した
私が思い浮かべる中国が当てはまった。
爆買いに代表される急速的な経済成長の一端も
善良で素直な人々だからできたのだろう
ただそこに巻き込まれた人はたまったものではない。
雲紗や雲舞(娘)の事を思うと居た堪れないが
傷つけようと思っていないのに、空回っている。
そんな紆余曲折がどう迎えるのかと思っていた時に
鈴木という日本人の同僚がでてくる
これまた私の思う日本人像そのままだった。
人前ではいい人を演じるのに少しでも寮生活に不満があると表面上は出さずにネチネチ攻撃してくる。かと思えばおだてると想像もできないいい人になって掛け値無しに優しくしてくれる。
二順の周りの人は果たして二順に何か言えるほど
出来た人なのか?とも思い始める。
程なくして大連の時の居住の方がいい事や
物価比率に対しての生活レベルが
必ずしも日本が恵まれているわけではない事など
徐々にわかっていくと
二順にイライラしていた私はハッとさせられた。
人を採点する前に
誰が自分のことを大事に思ってくれているか
その人の事を自分は大事にしているのか
それだけを考えて進んだほうがいいんだと。
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H28/10/12
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BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“文壇レシピ”で登場。
http://nestle.jp/entertain/cafe/
本の中に登場するあの美味しそうな一品を
実際に再現してみよう!というこのコーナー。
第44回目に紹介されたのは、楊逸(ヤンイー) の「獅子頭」に登場する『炒飯』。
―溶いた玉子を流し込めば、鮮やかな黄色い園ができる。
その上に細かく刻んだダークレッドの金華ハムと、粒が立つ透明に白いご飯を入れて、
混ぜながら左手で何度も中華鍋を煽るのだ。
塩胡椒を振りかけて、グリーンピースを散らした後、
みじん切りの青々とした葱をまぶして仕上げる。
原宿ブックカフェ公式サイト
http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
http://nestle.jp/entertain/bookcafe/ -
かなり分厚い本なので、怯みながら頁をめくっていると
なんのなんの、ぐいぐいと話に惹きこまれ一気読み。
最後の数頁は終わってしまうのが残念なほど。
楊逸さん、よくこんなお話を作ったなぁと感心します。
どの人物も良くも悪くも人間味あって、翻弄されて。
人生訓のようなものが随所に散りばめられていると感じた。
雲紗がとても魅力的。日本に来て見聞を広めようと動き、
ノートにその記録をするところなど。
雲紗が二順に語りかける言葉は私にも沁みた。 -
ここまでの経済発展を遂げる前の中国の農村に生まれ、雑技学校で学ぶも挫折をし、料理人となった帳二順。北部の街大連で可愛く賢い中国娘と恋愛をし、結婚をし、仕事も順調にキャリアを積んで、自分の生活に満足していた彼が、偶々勤めるレストランを訪れた日本人に請われ、嫌々ながら日本で料理人として働くことになる。生まれてから来日するまでの彼の人生と、日本に来てからのドタバタ顛末を描いた新聞連載小説。
優柔不断だけれど純粋で素朴な二順の姿にヤキモキ、イライラさせられる。一般的な中国人のイメージとは違うかもしれないけれど、私の知っている中国人の男性もこういう感じだった(ここまで優柔不断ではなかったけれど)。日本でも中国でも女性がしっかりして、男性を引っ張っていて、可笑しい。比較文化論のような側面も持ちながら、全体的にユーモラスで、読みやすかった。ただ、同じ著者の他の作品に比べると、少し冗漫な感じもした。 -
楊逸さんの書いたものはどの作品もとても興味深い。中国人の事が、日本人の訳ではなく楊逸さんの書いたナマの日本語で生き生きと表現されていて、本当の中国の習慣や、民族性、生活がよく理解できる。
楊逸さんは日本のデパートで買い物をするときに、雨の日だと紙袋にビニールをかけ、濡れないようにサービスしてくれる、と言う文章を新聞に書いていた。そのビニールも紙袋にキチンと合うようにできていて、その上紙袋のデザインが見えるように工夫されている。
そういったものは中国にはないというものだった。日本の細やかなサービスについて、褒めてもらってうれしい気持ちはありますが、中国は中国で日本にはないいいところもたくさんあると思う。
この作品に出てくる『料理』や、『勉強や仕事を本当に一生懸命がむしゃらにがんばる精神』などは中国の誇れる部分ではないか。獅子頭、いつか食べてみたいと思う。 -
時代は変わる。変わり始めたヒトやモノの流れは止まらない。その流れによって時代は変わっていく。
あるいは時代の変化に翻弄されるように、ヒトやモノの形も中身も変わる。その変化によって、さらに時代の変化は加速していく。
時代の変化が先か、ヒトやモノの変化が先か……ニワトリと卵の関係みたいだけど、そういう変化に従順であるほど、逆に“変わらなさ”というのを見つけられる気がする。
時代の流れに上手く乗り、あるいは翻弄されながら、自分の姿勢を意識して変えていく、あるいは無意識に変えざるを得ない人生を歩んでいる人ほど、人生のなかで自分の“変わらなさ”を感じているのではないだろうか。流れの中で流されずに残ってしまった、余計なものが洗い落とされ磨かれた自分自身の中にあるものに、いつの間にか気付く日が来るような気がする。
中国や東南アジアなどから出稼ぎ目的で日本にやってくる人たちは未だに多い。時には不法に、時には制度の隙間を縫うように労働者以外の肩書きで入国する人々。今やインターネットや携帯電話に誰でも触れることが時代、彼らは日本や母国も含めた時代の流れに敏感であることができる環境にあるから、狡猾かつ軽妙に国境など超えて自由に動き回れるのだろう、今や。
そういう時代だからこそ、そこに生きる彼らは自身の中にある“変わらなさ”と安心して向き合ってられるのかもしれない。かつて旧態依然とした政治体制が巾を効かし通信手段も限られていた昔と比較すれば。
中国から来日した一人の料理人の男が主人公。今よりも少し前の時代の人間。
中国から日本へ主人公も含めて様々なヒトやモノが移動していく。人間は勿論、料理などの文化、男女の関係など、その流れは登場人物を翻弄していく。
それでも彼らはしっかりとした“変わらなさ”を身に付けながら逞しく生きているのではないか。現実の問題は膨らむ一方で何ひとつ解決していないにも関わらず、読後感が爽やかなのはそのせいだと思う。 -
あっさりした文体で読みやすい内容。男のくせにシャキっとしない主人公にイライラさせられつつも、行く末が心配で最後まで読み進んだ。
ハッピーエンドであればありきたりな話になっていたと思うが、そうでもない所が物語を良くしていたと思う。
中国が進化して行く様子、進化の具合について行く人、取り残された人の様子が興味深く、中国人の作者が書いている事が長所となっている内容だった。 -
中国人として、日本社会に身を置いたときの発見を、コミカルで情感たっぷりに描く芥川賞作家。最新作は、貧しい農民の家に生まれた張二順が主人公の長編小説だ。
二順は雑技団に入り、中堅的存在になるのだが、怪我をして舞台恐怖症になってしまう。そこで、かつて上海で食べた巨大な肉団子「獅子頭」の味を追究しようと料理人を目指すのだ。美人の妻を迎え、娘も生まれ、幸せな生活は続くかに見えたのだが、「名誉ある中日友好の使者」として日本に招かれ、料理を作ることになる。
二順は、雑技で鍛えた体を持つ、善良で素直な男だ。困難な状況下でも、全中国の党と人民の代表たらんと、自らに懸命に言い聞かせる。しかし誘惑された日本人女性との間に子供ができるとうろたえ、中国では政治犯だと脅かされると離婚を決意するが……。日中文化の間でたくましく生きる男と取りまく人々の人間喜劇だ。
(「週刊朝日」 西條博子 2011/12/30) -
楊氏の作品でこんなに長編を読んだのは初めて?かな。好きです。主人公の男子、実際問題ダメだめーっ!こんなこと、ありえんし、本来なら深刻でしょう!のはずなのに、なぜか、楊氏の作品の中だと、登場人物のしっかりした女性たちのように、まったくしょがないねぇもうと許せるような、ほんわかモードになってしまうのはなぜだろう。
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「ワンちゃん」からの
読んできましたが
ある程度の長編ということでは
揚逸さん作品としては
ダントツですね
主人公の「二順」はむろんのこと
本編に登場する、日本に関係することになる
「中国人」の描かれ方がお見事ですね
新聞に連載されていた分の
物語の展開のおもしろさも
加味されて、いゃあ
「ページをくるのももどかしい」
という思いに久しぶりにさせてもらえました
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