ぼくらは都市を愛していた

  • 朝日新聞出版 (2012年7月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784022508959

感想・レビュー・書評

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  • 正直、世界観が難しすぎました。
    喩えて言えば映画のマトリックスみたいな感じ、でしょうか。
    もっとも、映画のマトリックスも2度見てやっと内容が理解できた、という程度だったので、本作の世界観も1度読んだ程度ではなかなか理解できるような代物ではなかった、というのが正直な感想です。

  • SF

  • ぼくらは都市を愛していた

  •  強い、強い物語だった。
     これが、「物語の力」というものだろう。

     今までの作品とは明らかに異なるテイスト。
     しかし、その根底にあるものの質感は、なにひとつ変わっていない。
     二つの世界が重なり合った瞬間からの展開は、神林長平の真骨頂だろう。

     この複雑な構造を、破綻なく結末まで駆動し、物語を書き切る力。
     その圧倒的な才能の前に、ただ翻弄されることしかできない。
     これが、読書をする、ということの本質であり、答え、なのだろう。

     神林氏の進化は、留まることを知らないな、と実感させられた。

  • ぼくらは都市を愛していた

  • 物語の出だしのSF感に惹かれて読んだけど、最後の方は訳がわからなくなってしまった。

  • 文章量が多くページを捲るたびに正直げんなりした。この苦行を超えた先には、2つの視点で描写される別々の世界についての説明があり、難解だがそれなりの収束感はあるが、それに見合うかどうか。読みにくいわけじゃないけど過剰な説明口調とも感じられる文体が好みに合うかどうかですね。

  • わたしとは何か、他人とは何か。
    都市とは、人人の意識で作られているモノだとして、
    その中で自分と云う存在を、他者の存在に頼らず証明する事が出来るのか。もし、できなければ…

    最後の一行まで神林長平さんらしい長編でした(ミリも豊富でしたし!)
    至福のひと時。


    文庫版は解説も良い部分を抜き出してくださって居て、良いなあと思ったんですが、「男と女の話だ」で括るのはどうかとも。
    間違いじゃないけど、そこじゃないような。

  • 情報震が頻発し人類が危機に瀕している世界と、人工神経網が開発された社会で人間模様と事件の解決を目指す世界の二つの舞台を軸に進んでいく小説。この作りが我々により一層このSF作品の語るところの危機に現実味を感じさせる。
    人間を観念のみで生きさせることを可能にする巨大装置という都市の解釈。
    都市、肉体、情報、さらには人生、性についてのとても興味深い考察や言葉が作品には盛り込まれており、SFとしてすばらしい作品であると思えた。ディテールが足りないせいか、登場人物に人間感が足りないのは設定上のご愛嬌…?

    綺麗にまとまっていたけどオチをもうちょっと印象深くして欲しかった。

  • 良い.前後半でテーマに断裂があるのは故意か.

  • SFでありミステリー。神林先生の独自の世界観が哲学的対話のような小説。好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私は好きな感じでした。

  • みんなディテールを語らない。この世界観にやられて、森を語るが木を語らずになってしまう。
    (ネタバレ)
    カイムは冒頭で「オーラの存在が見える」女の話をします。オーラは一般的には無いことになってますが、そのオーラが仮に見える(感じれる)となれば人にはいろいろな認知の仕方があるのではないか。ある人には後光に見えて、ある人には白いモヤに見える。その他にもいろいろ感じ方があるだろうと語ります。ここまでは

  • 面白かったのだけれど、消化不良。
    もしかしたら、全部わからなくても良いのかな…。
    読み終えてから3日ほど渦巻いてた感想を寝かせてみたら、「機械の中やら頭の中の仮想世界をどう捉えたらいいのか頭を捻って悩まされた。」というすごい大雑把なモノになった。
    神林氏の「人」の在り方は難しい。突き詰めたら「私とは何か」なんて難問題が浮かんでくるし、それに共通意識やら仮想意識やら出てくると、もうどうしたらよいやら。…などと悩みつつ、交互に出てくる綾田ミウの世界と綾田カイムの世界を読んだ。ふたりの世界は違うようで同じなようで、やっぱり違うのだろうか。

    アンブロークン・アローを再読したところだったので、機械知性の部分についてはちょっと考えた。都市=機械→機械知性という設定が出てきて、その機械知性が、自分は綾田カイムが望む都市の幻想として存在していると言う。都市=雪風、カイム=零、だとしたら、この機械知性と人との関係はどうかなあ…。私はちょっと嫌かも。

  • そう、後半は少しパニックに、そして最後はもう、哲学的。
    自分もこんなこと考えてたことあったなーとかでもちょっと違うなーとか考えながら読んでた。
    自分の存在が他人によって造られたものだったら、嫌だな。他人に意識させられて初めて自己がある、という意味ではなくて終盤の柾谷綺羅みたいな。自分が誰かの一存で消えてしまうなんてきっと耐えられないもの。

  • まだ飲み込みきれていない。んー。面白かったのは確かだったのだが。

    自らがどのような現実を引き受けて生きていくのか。ウェブにつながり、自己の情報を無数に複製して生きている我々にとって、現実とはどこにあるのか。この意識は本当に自らのものなのか。設定は攻殻機動隊、特にGOHST IN THE SHELLを強く思い起こす。

    で、帯にある「ポスト3.11」として、この物語を如何に位置づければ良いのか。その点にまだ応えが見出だせていない。例えば3.11に対して、俺が持っているのはメディアを通したイメージだけだ。実際に被災地の様子を確認したことはなく、その意味で俺の現実の中には3.11は実在していないのかもしれない。津波による街の崩壊、原発事故、目に見えぬ放射線の脅威、すべてはマスメディアとソーシャルメディアにより伝達される情報となり、分散し、俺たちは情報の海と化した現実を生きている。ポスト3.11のリアルがどこにあるのかも、明確にはなっていないまま。んー……。

    それにしても、神林先生の描くSFは美しい。SFとして優れているだけではなく、文章の美しさこそが彼の優れたるところだと思う。姿形のない情報震と戦うミウの描写と、生の人間との触れ合いをひたすらに思い起こすカイムの描写との対比。他者を求めた、自らの認識を肯定するための客体を求めたという意味では、両者は一致している。

  • 久しぶりの神林SF。
    黒に銀の表紙がかっちょいい。
    情報震という謎の現象によってデジタルデータが破壊され、その結果戦争が起こり、人類が衰退しようとしている世界で生きる観測部隊小隊長綾田ミウ。
    上層部の思惑からナノカプセルを投与され生体間通信網を作られてしまった刑事綾田カイム。
    彼らの世界が交互に語られます。
    彼らは双子のはずなんですが・・・なんでこんなに舞台世界が違うんだろう、いつ交わるんだろう・・・と読み進めました。
    面白かったですが、カイムがね、昔援助交際していた女子高生のことをしょっちゅう思い出す中年なんで、そこがね(-_-;)

    装丁 / 菅 渉宇(スガデザイン)

  • 情報震によってデジタルデータが破壊され、機能しなくなった、人類が絶えようとしている世界。
    そして“現代”に繋がる繁栄する都市の中の世界。
    そんな二つの世界を描いて語られる、《リアル》の物語。

    さてここで問題だ。《リアルな世界》とはなんだろう?
    “人間が考える”リアルとは。
    その《リアルな世界》と闘うにはどう在るべきか。
    今もなお“闘う”作家の、311以後の物語でもありました。
    ある意味、『いま、集合的無意識を、』の続編といえなくもないかもしれません。
    やたらと片方が肉感的なのはデジタルによるコミュニケーションへの反証なのかな。

  • すごく引き込まれる.でもモヤモヤする部分もたくさんある.
    特に情報震の世界の出来事にもう少し説明が欲しかった.けれど,つまり,この感覚が,帯に円城塔の寄せている「歪んでいるのはあなたの方だ。」ということなんだろうか.
    SNSという媒体が生まれてから,SF世界は本当に身近になったと思う.

  • 私たち人間はネットワーク上に自己の情報を入力することによって、この世界とコミュニケーションを取るようになってきた。そして、ネットワークで私たちの意識が無意識集合体となり世界を動かし現実の世界にも侵食してきているのではないか。アラブの春はまさしくソレ。SNSの無意識集合体が蠢き現実に作用した結果。神林長平は「いま、集合的無意識を」でそのことを指摘している。今回の「ぼくらは都市を愛していた」はこのままネットに自己の情報を拡大させていき集合的無意識が人間の現実場となった時、その情報が爆発し場が崩壊したときに何が起こるのかを想像している。そして、神林長平の定義する情報はデジタルデータだけでなく文字、言語といったコミュニケーションツールにまで広がっていく。

    さらに、人間は社会性を持って村を興し、町に広がり、都市を形成してきた。人の広がり、流れ、情報が都市を形づくって来た。都市は人間がいるから存在し、人間は都市があるからココにいる。その都市でワタシはアナタと出会い、コミュニケーションとり、友情や愛情を育む。だから、都市が、町が、村が無くなったら私たちはコミュニケーションが困難となる。個々の存在となりその場に他者が居ないからだ。いまあるこの街の風景は私たちが生み出し、いまのわたしを形作っている。人間と都市、そのどちらもが消え去ってしまったら何も残らない。そこで発生した愛情もなかった事になってしまう。だから彼は都市と共にいるのではないだろうか。


    ----------


    面白くて一気に読んでしまった。別の空間、時期のストーリーがどう交差するのか気になって読み進めてた。最初、カイムの劣情に拒絶反応がでていたけれどもあれも愛情なの、かな。よく分からない、と思うのはわたし自身の問題かしら。
    わたしという意識をわたしであると断言するための判断材料のあやふやさ。複数の意識が混じるのはどんな感覚なんだろう。最後にまさか機械知性体、というより都市知性体が現れるとは想像もしなかった。

  • ちょいと、難解なSF小説。

    機械知性体やら人工神経網やら出てくるし、
    パラレルワールド的な、ストーリー進行だし・・・。

    あっちに行ったりこっちに来たり、追いかけるのが大変です。

    結末も良くわかったような、わからないような・・・。

    現実と妄想と理想が入り混じったような世界の話です。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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