- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022508959
作品紹介・あらすじ
デジタルデータのみを破壊する「情報震」が地球上で頻発している。原因はおろか震源地すら特定できない。あらゆる情報が崩壊し、機能を失った大都市からは人の影が消えた。偵察のためトウキョウに進駐した日本情報軍機動観測隊は、想定外の「敵」と出会う…終末か創世か、3.11を経てはじめて書き得た、渾身の長編登場。
感想・レビュー・書評
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SF
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ぼくらは都市を愛していた
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強い、強い物語だった。
これが、「物語の力」というものだろう。
今までの作品とは明らかに異なるテイスト。
しかし、その根底にあるものの質感は、なにひとつ変わっていない。
二つの世界が重なり合った瞬間からの展開は、神林長平の真骨頂だろう。
この複雑な構造を、破綻なく結末まで駆動し、物語を書き切る力。
その圧倒的な才能の前に、ただ翻弄されることしかできない。
これが、読書をする、ということの本質であり、答え、なのだろう。
神林氏の進化は、留まることを知らないな、と実感させられた。
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ぼくらは都市を愛していた
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物語の出だしのSF感に惹かれて読んだけど、最後の方は訳がわからなくなってしまった。
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文章量が多くページを捲るたびに正直げんなりした。この苦行を超えた先には、2つの視点で描写される別々の世界についての説明があり、難解だがそれなりの収束感はあるが、それに見合うかどうか。読みにくいわけじゃないけど過剰な説明口調とも感じられる文体が好みに合うかどうかですね。
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わたしとは何か、他人とは何か。
都市とは、人人の意識で作られているモノだとして、
その中で自分と云う存在を、他者の存在に頼らず証明する事が出来るのか。もし、できなければ…
最後の一行まで神林長平さんらしい長編でした(ミリも豊富でしたし!)
至福のひと時。
文庫版は解説も良い部分を抜き出してくださって居て、良いなあと思ったんですが、「男と女の話だ」で括るのはどうかとも。
間違いじゃないけど、そこじゃないような。 -
情報震が頻発し人類が危機に瀕している世界と、人工神経網が開発された社会で人間模様と事件の解決を目指す世界の二つの舞台を軸に進んでいく小説。この作りが我々により一層このSF作品の語るところの危機に現実味を感じさせる。
人間を観念のみで生きさせることを可能にする巨大装置という都市の解釈。
都市、肉体、情報、さらには人生、性についてのとても興味深い考察や言葉が作品には盛り込まれており、SFとしてすばらしい作品であると思えた。ディテールが足りないせいか、登場人物に人間感が足りないのは設定上のご愛嬌…?
綺麗にまとまっていたけどオチをもうちょっと印象深くして欲しかった。 -
良い.前後半でテーマに断裂があるのは故意か.
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SFでありミステリー。神林先生の独自の世界観が哲学的対話のような小説。好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私は好きな感じでした。