帝の毒薬

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022509475

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争が終結するまで満州で細菌兵器の研究をしていた倉田部隊は、極秘裏に中国人やロシア人などの捕虜たちに人体実験を繰り返していた。終戦後の昭和23年1月、帝國銀行椎名町支店に1人の男が現れて「近所で集団赤痢が発生した。その家の者がこの銀行に来ていることがわかったので」と予防薬を全行員に渡した。それを飲んだ16人中、12人が絶命、4人が意識不明になった大量殺人事件に日本中が驚愕した。占領下の混沌たる東京で発生し、世界中に衝撃を与えた「帝銀事件」の真相とは?戦後最大の闇に挑む怒涛のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後のドサクサから生まれた帝銀事件。
    平沢が本当に犯人なのか分かりませんが、戦争が産んだ悲劇ですね。

  • 戦後日本の帝銀事件を題材とした骨太ミステリ。
    満州にある部隊に属していた羽生誠一は、ハルピンの華やかな闇の中で記者である梶や特務機関員である片岡、歩哨仲間の山下と出会う。敗戦の色が濃くなり、上層部は人体実験の暴露を恐れ証拠を隠滅し遁走する。
    刑事になった羽生は帝銀事件の応援をする事になるが、鑑札でも割り出せない毒物の使用に警察は軍部の関わりを疑う。
    非常に面白かった。特に戦後日本の状況がものすごくリアルに描写されていると思う。冒険小説のようでもあり、展開にスピード感があり楽しめた。
    が、戦後日本について自分の無知にも呆れた。この事件も聞いた事がある程度で、すべての事が目新しかった。この時代についてもう少し色々と読んでみようと思う。

  • 戦後すぐの混乱期に起こった帝銀事件を扱った小説で、戦前・戦中・戦後の日本の体質、戦後の体質など、著者のするどい視点で書かれていました。
    今でも真の独立国家とは言えませんが、その原因はとっても根が深いものだと改めて感じさせられました。

  •  話の収束が、やはり難しかったか。

  • 俺はこういう本を求めている。20160824。帝銀事件。

  • 2015/9 骨太な本ですね。戦争で日本軍が行った非人間的行為。ナチスを始めとして戦争という狂気の中では本当に恐ろしいことが平然と行われるのは小説とはいえども暗澹たる気持ちになる。

  • #読了。帝銀事件を題材にしたミステリー。真犯人を倉田部隊(これは731部隊?)に関連する人物だとし、元倉田部隊の生き残りでもある警視庁捜査一課の羽生が事件を追う。当時の背景などもよく分かり、迫力もあった。

  • 満州七三一部隊、帝銀事件、地のメーデー事件といういまや歴史上の事実を題材に時代の大きな物語に巻き込まれながら、記録されることもない主人公の怯え、怒り、暗い情念、焦燥をくっきりと浮かびあがらせている。ここにはまぎれもなく大きな物語が生きていた時代があり、大きな物語に関わることで
    必然的に輝いていた人間を浮き彫りにすることで、大きな物語を失った現代ニッポンが二重写しとなっている。羽生の体験、行動、激情はもはや想像力を持ってしても追体験はできない。あるのはただ「平沢貞通」の死刑という重い事実だけである。ところで帝銀事件の前に安田銀行荏原支店で未遂事件が起きていたことを知り個人的な感慨を得たことを付記する。

  • 題名とのつながりはそう考えれば考えられないことはないけれども・・・。最後の場面では取って付けた感が否めないが、あの状態は読んでいて一体感がある。

  • 帝銀事件の裏には何があったのか・・・
    ホントの真相を求めていたわけではないけれど、話の主軸が太平洋戦争に纏わる云々だったので、ちょっと期待したものとは違った。
    とはいえ、戦争によって狂わされた人々がリアルに描かれ、骨太ではあった。

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著者プロフィール

永瀬隼介

1960年鹿児島県生まれ。國學院大學卒。週刊誌記者を経てフリージャーナリストとなり、祝康成名義で『真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ』を刊行するなど事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年『サイレントボーダー』で小説デビュー。事件現場で培った取材力を活かし、現代の深部を抉る骨太のサスペンスや犯罪小説を発表している。近著に『帝の毒薬』『カミカゼ』『三日間の相棒』『白い疵 英雄の死』『12月の向日葵』など。ノンフィクションに『19歳 一家四人惨殺犯の告白』などがある。

「2022年 『殺し屋の息子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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