七夜物語(上)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.74
  • (87)
  • (117)
  • (129)
  • (20)
  • (4)
本棚登録 : 1252
感想 : 168
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022509598

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とても懐かしい気持ちになる。
    「ポールのミラクル大作戦」やら「デブの国ノッポの国」やら柏葉幸子さんの地下室のあの本とか、「青い鳥」「ナルニア」「はてしない物語」と様々なお話が頭をよぎる。
    時代背景が自分の子供のころだというのもあるけれど。

    お母さんと暮らす、鳴海さよ。
    お父さんとおばあちゃんと暮らす仄田鷹彦。
    さよは4月から仲良しのあかりちゃんと別のクラスになって、友達ができないでいた。
    仄田くんはいつも本が友達。
    さよは図書館の片隅で「七夜物語」の本を見つける。触るとピリリとする不思議な本との出会い、それは、さよと仄田くんが夜の世界に入りこむことになる鍵だった。

    おばあちゃんにいつも守られ、お世話をされている仄田くんにヒヤヒヤしつつ、不安を胸の底にしまって笑顔を作るさよに寂しさを感じて。
    二人の危うさが夜の世界で、だんだんと顕になっていく。
    つい口笛を吹いて警告したくなる。
    でも本人が気付いて変わらなくちゃなんだろう。
    夜の世界の全貌は下巻へ。

  • まず装丁がとても綺麗であること、高校の時の司書さんが次に読みたい本としてあげていたことがこの本との出会いのきっかけでした。なぜか無性に物語が読みたくて探していたときに改めて出会い、いま読むしかない!と思ったからです。
    とても読みやすくて、文章も綺麗で流れるように物語の中に引き込まれていきました。小学四年生のさよちゃんと仄田くん。それぞれの個性があってとてもおもしろいです!四年生にしてはどこか考えが大人びてるところもあれば、ふとしたところで見せる無邪気な子どもの顔に次はどんな夜を乗り越えて2人が大きくなっていくのかが楽しみで仕方ありません。
    小学生という純粋な時代の自分を思い出しつつ酔いしれながら下巻を読み進めていきたいです。

  • 鳴海さよと、仄田くんの、夜の世界への冒険物語。
    『七よ物語』という本を図書館でさよが見つけ、夜の世界へ巻き込まれるのだが、その中で彼らは成長し、世界は少しずつ変わっていく。
    本を読んだあとに内容を思い出せないように、彼らの冒険も終わったとき、彼らの記憶から消されてしまった。
    しかし、彼らは時々、思い出す。何かを見たとき、体験したとき、または夢の中で。
    さよと仄田くんは、実は自分たちででもあったかもしれない。

    「こよなくなつかしいそのメロディを、夢がさめえしまえば、さよはもう思い出すことができないけれど、その夢をみたあとは、さよは必ず、深い幸福感と、かすかなせつなさに包まれるのである。」

  • ミヒャエル・エンデのネバーエンディングストーリーを思い出した。

    子どもにも読みやすい、少年と少女の成長物語。

  • 登場人物と自分の子供時代がほとんど同世代のせいか、懐かしさもあり、夢中になって読みました。
    忘れてしまっていた、子供の頃の胸中を思い出し、切ない気持ちになりました。
    酒井駒子さんの挿絵もとっても素敵。

    • 九月猫さん
      プランプランさん、こんにちは♪

      はじめまして、九月猫と申します。
      フォローしてくださってありがとうございます。

      この本、私も夢...
      プランプランさん、こんにちは♪

      はじめまして、九月猫と申します。
      フォローしてくださってありがとうございます。

      この本、私も夢中になって読みました。
      以前から気になりつつ、長さに尻込みしていてなかなか手に取れなかったのですが……今年ようやく。
      読み始めると長さなんて感じないくらいホントに夢中になっちゃいました。
      図書館に行くと私だけの「七夜物語」を探しそうになります。
      もう子どもではないから見つけられないのでしょうけれど(^^;)

      プランプランさんの本棚、こちらからもフォローさせてくださいね。
      ゆるゆる更新ですが、仲良くしてくださると嬉しいです。
      これからどうぞよろしくお願いします(*_ _)ぺこり。
      2014/09/03
  • 児童書だけどそうは思えないほど満足できた。もっと自分が小学生のときにこの本があればよかったなあと思う。下巻にも期待。

  • まるで自分自身の感性を問われているような作品。 子供から大人になる狭間にあるすきまに刺さった感性を一度抜いてみてまじまじと見つめて見る。 その剣の様に尖っていた感性が今は錆び付いてしまっているのか、それともまだ光り輝く光沢を持っているのかを推し量れる作品です。

  • 大人しいさよと、おばあちゃん子でひ弱な仄田くん。
    本が好きな小学4年生の二人は、ひょんなことから夜の世界へ入り込んでしまいます。
    さよが読んだことのある、不思議な『七夜物語』に出てくる、大ねずみのグリクレルが何故かそこにいて……

    現実と夜の世界とが交錯し、戸惑う二人ですが、だんだん腹の座った強さを身につけていきます。

    それぞれが抱える現実の問題に打ちのめされそうになりながら、
    一歩を踏み出そうとする彼らが逞しく感じます。

    さてさて!五つ目の夜に突入です!
    どんなラストが待っているのでしょうか…?

    酒井駒子さんの装丁と挿絵が素敵です。

  • 上下共に

    児童書にくくられているが、大人が読んでも十分いろいろ考えさせられる。
    内容が深くて濃い。
    そして、とても美しいと思う。
    また、時を置いて読み返したくなる本。
    添えられている酒井駒子さんの絵がまたとてもいい。

  • プラネタリウムは眺めたり、眠ったり、
    恋する人と並んで座ったり、
    人に隠れて意気消沈するためにあるのか。
    久しぶりに行ってみたくなったな。

全168件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上弘美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×