ふくわらい

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 3094
レビュー : 457
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022509987

感想・レビュー・書評

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  • 10年くらい前に「さくら」を読んで以来、好きな作品に出会えていなかった西加奈子さん。
    この本は好きすぎます!

    かなりシュールで奇異でそしてマジメな主人公にプラスしてグロテスクな描写多数な本ですが、ニヤッとさせられたり切なくなったり涙が出そうになったり・・。
    好みが分かれる本だろうなぁ~。
    私にとっては久々に夢中で読んだ本でした。
    定としずくちゃんが友達になれて良かった♡

    結構変わった小説をよく書く方だと思っていましたが、生まれはイランなのだそうです。そして、私と同じ大学出身であることを知りました(^^)。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「かなりシュールで奇異で」
      文庫化待ちで未読。私は割と西加奈子は好きです。。。変だからかな?
      「かなりシュールで奇異で」
      文庫化待ちで未読。私は割と西加奈子は好きです。。。変だからかな?
      2013/08/01
  • 点から線へ。そして面に。世の中のものはあらゆる組み合わせから成立している。

    爪。指。甲。掌。それらは全て一つの存在だけれども、組み合わせると「手」というものになる。
    「泣き虫な人」もそれが一つの存在。その存在の中ではそれが全て。
    「怒りっぽい人」」も同じ。それらが組み合わされることで一人の「その人」が存在する。
    組み合わせる存在が増えれば、その人の「全て」が増えていく。私達はそうやって人と関わっていくのだと思う。

    あるべきものがあるべき場所にないと人は違和感を持つ。でもそれでいいじゃないか。違う場所にあっても、その「あるべきもの」はちゃんと存在するのだから。

    目がすこしはなれた場所にあっても、それは「目」なのだし、ちゃんと「顔」の一部となっている。優しさが奥に隠れていても、ちゃんと「優しさ」として存在するし、その人の一部となっている。

    ひとつ一つが「全て」で、その「全て」が組み合わさって面としての「全て」がある。
    それはきっと自分を見つめるときにも必要な感覚のような気がします。

    世界が、また少し面白く感じられる作品だと思います。

  • 西加奈子の作品はタイ料理だ。酸っぱい、甘い、辛い、苦い、それらが個別に識別出来てしかも全体性を持って味わえる。うん。

    人の常識ってなんでしょうね。
    小さい頃に人肉を食べた女というレッテルを貼られた彼女は、もうそこから常識を気にすることはなくなった。
    常識=人の目ですね。

    この人肉を食べるという行為にも、小さい頃に行った未開の地の風習で、亡き人を自分の中に取り込んで一緒に生きるという素晴らしい教義があったんですけどね。

    誰しも人が聞いたらおかしいんじゃないの?っていうことにも自分の理屈で行くと道理に適っていることはあると私は思います。

  • 鳴木戸定。
    個性的だけどとても魅力的。
    その人の眉、目、鼻、口で初めて
    その人が構成されている。
    文字ひとつひとつ、
    その人が紡ぎだすことで
    その人の思いを構成していく。
    ふくわらいのように。

    話している事は真面目で
    本人たちも真剣なんだけど
    どこかコミカルというかユーモラス。
    テンポの良さのせいかな…
    けっこう生臭い話でも
    抵抗なく読める不思議。
    面白かった。

  •  読み初めて「なんでこれを読むのを後回しにしていたんだろう?」と後悔した。
     本に書かれているあらすじからは想像もできない展開(いや、まちがってはいないんだよ)。主人公の定とまわりのみなさんが、あまりにもむき出しでほほえましい。
     面白かった。久しぶりに読み終えたくないと思った。

  • 「小説トリッパー」に掲載したものの単行本化。
    西加奈子ワールドですよ。

    紀行作家の娘鳴木戸定は、幼い時福笑いに熱中し、他人の顔のパーツを動かして見ることができる。

    出版社で編集者をしている定の周りにいるのは、目が見えなくなっても定の理解者の乳母悦子、エッセイも書く奇怪な顔のプロレスラー守口 、小説が書けなくなった夫の代わりに夫夫の死後も代筆を続けた水森ヨシ。

    リストカットした守口の家に行き、定が自分を語る。
    「私は、言葉をつらねて文章が出来る瞬間に立ち会いたい。それと同じように、目や鼻や口や眉毛が、どこみどうやって配置されて顔が出来るのか、その瞬間に立ち会いたいんです。

  • うわっ、苦手な分野の話やなぁ と思いながら読み始めたけど、癖になる美味しさだった!
    変な父の変な娘が幼い時に唯一はまった遊び「ふくわらい」が彼女の生活の柱になっている。
    今や編集者の仕事をしている彼女、いまだに顔のパーツ 目 鼻 口 眉 を自在に操ることが生きる術になっている。一度も泣いたことがなく、汗もかいたことがないし、全身にタトゥを入れている。
    そんな彼女にとっての ふくわらい が、関わる人たちによって 福笑い に変わった!汗もかき、泣くことができ、笑うこともできるように!
    人名に遊び、句読点の多さに凝り、ユーモアを散りばめて読み手を逃さない。やはり大した力量です♪

  • 引き込まれるように読んでしまいました。
    とても不思議な世界観。
    わからない部分がほとんどで、
    でも感覚的にわかるような気もして。
    綺麗な文章が言葉を言葉たらしめるのか?
    私を私たらしめるものはなにか?
    言葉とはなんなのか?
    読み終わったあと、ぼーってしてしまうくらい
    圧倒されるお話でした。
    それぞれのキャラクター、
    みんな意味わかんないし、破廉恥だし、
    変な人たちばかりだけど
    それぞれに自分という存在にもがき、
    だからこそ自分という軸を持っている。
    そんな気がしました。
    このお話を綺麗な文章でまとめることは、
    きっとできないんだろうな。
    気になる人は読むしかない。
    感覚的に、自分の芯へ、心へ、
    伝わってくるものがあるんじゃないだろうか。
    意味わかんないけど、クセになりそう。

  • 定の感覚がおもしろかった。
    西さんの小説は主人公の特殊な部分が少し世間に寄せられていくものが多いなぁ、、それがはまる理由なのかもしれない。。
    先っちょだけっていうのもよかった。
    相手を知りたがったり、自分を知ってもらいたかったりするけど、目の前にいる人そのものが今のすべてで、その先っちょ以外なにものでもないんだと改めて気付かされた。その先っちょを少しでも長く一緒に過ごしていきたいと思える人に出会うってすごいことなんだと感心してしまった。

  • 世界に恋する1冊。

    調べてみると、河合隼雄物語賞の記念すべき第1回目のを受賞されているらしい。

    受賞理由は、
    ユニークで圧倒的な言葉の力によって、「物語」でしか成しえない世界を表現した。
    「ふくわらい」のパーツがすべて集まったとしても、なお語り切れない何かが
    立ち上がってくる作品である。

    納得の受賞。
    共感だとかそういったものを超越して、物語でしかなし得ない世界。その世界によって主人公はゆっくりと覚醒していく。その過程はきっと誰しもが経験している事。
    個性的すぎる登場人物達。でも皆が皆なんだか愛おしく感じてしまう。そして誰もがすごいパワーで迫ってくる。

    ー怒っていません。目が見える人は、言葉を交わすことを難しいと感じるときが、あるから。

    ー今は先っちょがすべてで、でもいつか、そのすべてがもっと大きくなればいい

    ーでもおいらは、猪木さんになりたい。なりたかった。

    ー分かるんだ。あんたは、まっすぐだから。全部、真っ正面から、見て、それから、全部、受け止めるから

    2012年8月30日 朝日新聞出版社 装画:西加奈子 装幀:鈴木成一デザイン室

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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