小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争

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  • 朝日新聞出版
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510075

作品紹介・あらすじ

陸山会事件のルーツは「金丸ヤミ献金事件」にあった!特捜取材30年-敏腕記者が初めて明かす衝撃の検察インサイドストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • いまや『不倶戴天』の敵同士といえる政治家小沢一郎と彼を虎視眈々と狙う特捜検察。その相克を20年にもわたって数々の事件を経て追い続け太記録です。政治、カネ、裏社会、そして検察…。様々な物が蠢いています。

    いまや不倶戴天の敵同士である小沢一郎と特捜検察。その因縁は当時、日本中を駆け巡ったニュース「金丸ヤミ献金事件」であったと筆者は主張します。僕もこれを書きながら当時の報道をおもいだして、何かとんでもない事件が起こったんだなと、いうことだけはわかりました。

    92年の東京佐川急便事件、93年の金丸脱税事件、ゼネコン事件、98年の大蔵省接待汚職事件、どれもこれもが『巨悪』をめぐる戦いであったことはいうまでもありませんが、徐々に特捜検察の『威光』が斜陽を迎え始めた頃に起こった09年陸山会事件を通し、田中角栄に端を発する政治家像の『最後の象徴』としての小沢一郎と特捜検察との相克が描かれております。

    僕はこの本を読むまで知りませんでしたが、キーパーソンである当時特捜部を率いていた五十嵐紀男氏や金丸氏の当時秘書であった生原氏の発言の発言なども収録されており、貴重な『資料』であるといえると思います。

    『国家の主人は官僚か?それとも政治家か?』といういわば『神々の争い』は小沢一郎氏の『無罪』判決をもって一応の決着がついたと個人的には見ているのですが、それにはかつて『お白州』といわれ、起訴されれば99.9%有罪になったとされる『国策捜査』が検察の『不祥事』によって国民から見放されたということも大きな要因なのでしょう。とにもかくにも、特捜検察は『巨悪』を追及するために必要な『機関』であることは間違いないので、一刻も早く『信用回復』をされることを願ってやみません。

  •  本書は、2012年9月の発行であるが、小沢一郎の民主党離党が2012年7月。当時は政権与党の大民主党内で長く続いた「親小沢vs反小沢」の政争に一応の決着がついた時期だった。
     2012年12月の衆議院選挙で民主党がボロ負けし、自民党が政権奪還を果たした現在から見れば、民主党内部の「小沢一郎」をめぐる政争は、民主党にとってどう言う意味を持っていたのかとあらためて考えてしまう。
     内部抗争の結果、国民に見捨てられて選挙でボロ負けした要素も大きいと思うと、民主党政治家のレベルの低さと考えるしかないか、などと思いながら、本書を手にとってみた。
     本書は、「小沢一郎」と「東京地検特捜部」の20年にも渡る因縁とも思われる争いを詳細に取り上げたものであるが、「歴史に残る大政治家」と「法律の番人たる特捜検察」との、がっぷり四つに組んだ「政争」の凄まじさを詳細に明らかにしている。
     これらの内容は、当時の報道を詳細に読んでいればほとんどわかるものばかりで、あまり新しい知見はないと思うが、これだけ長年にわたる「対決」を読むと、その全体像がよく見えてくる。
     「小沢一郎」は、やはり「古い政治家」なのだろう。法律に違反したのかしなかったのかはともかく、「特捜検察」が対決に持ち込むだけの「材料」を提供する雰囲気がその周辺に漂っていたことは否定できないと思えた。
     また、「特捜検察」は、組織の腐敗とまでは言えないかもしれないが、無理のある強引な捜査に突き進む「組織的土壌」があったのではないか。厚生労働省の村木局長の「無罪」事件や、大久保秘書の取り調べ「録音」による「調書でっち上げ判明」を取り上げるまでもなく、「特捜検察」自体が大きな組織的問題を抱えていたことは、間違いがない。
     本書は、当時の「政治家」や「特捜検察」のありかたを考えることができる本だとおもうが、すでに「小沢一郎の日本未来の党」は衆議院議員9名の少数政党となり、「小沢一郎」の「全国政治家」としての位置は大きく低下しているし、「東京地検特捜部」で無理な捜査に手を染めた検察官は、懲戒免職や退職とされて尻尾切りされている。
     本件は既に終わっているのである。
     本書は、改めてこの間の経過を確認できるという価値はあるが、現在につながる考察がないという点は物足りないように思えた。

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