しろいろの街の、その骨の体温の

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.71
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本棚登録 : 1064
レビュー : 156
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510112

作品紹介・あらすじ

季節が変わるごとにたくさんの転校生がやってくるニュータウンで、クラスの立場も性格も、正反体の女の子と男の子が出会う-。学校が嫌いだった人たちへおくる、教室の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あぁぁぁあ!わぁぁぁあ!

    と叫び出したくなるような、というか脳内ではぐるぐる叫びまくっていました。
    初・村田沙耶香さん。なんかちょっと、想像以上にすごかったです、、うまく言葉にならない。。

    あらすじを簡単にいうと、(おそらく)バブル期に工事でどんどん広がり、突如工事が止まって終焉を見せたニュータウンと、そこに住みながら思春期(第二次性徴期)を迎える結佳の、小学生から中学生までの心とからだの成長の話。

    なんかもう、生々しいのですよ。
    普段は、中学生の頃の思い出を「楽しかったあの頃」箱に入れてそっとしてあるのに、そして時々その箱を横目に、お互いにすっかり大人になった同級生と「あの頃のうちら皆ちょっとおかしかったよね〜」と笑い合っているのに、

    いやいや、その箱に入ってるのはそんな綺麗なものじゃないでしょ?ドロドロジクジクギラギラしてたよね?

    と箱からドロっとした何かを取り出して突きつけられたような…。

    全身の感覚を鋭敏さMAXにして挑む毎日のクラス内での綱渡り。
    劣等感を抱きつつも、他人を「観察」することで修復していく自意識。
    ねじ伏せようとしても隙間をついて出てこようとする思春期の獰猛な欲望。(ちょっと獰猛すぎて、男性からするとどうなのこれ?)
    流麗な文章なのに、中学生になるあたりから特に、牙を向いて襲いかかってきます。

    ちなみに私は女子校だったので、この話にあるような中学生の微妙な男女関係の経験も、好きな異性に対して歪んだ性衝動にかられた経験もないのです(大学では、少なくとも面と向かって女子の容姿や生理をからかうような人はいなかったし)。
    それなのに、この話を読んだときに感じた圧倒的なリアリティ、座ってられないような居心地の悪さたるや。あれ、こんなんだっけ?こんなんだった!?と混乱。
    ぞわぞわともぞもぞが一緒くたになって襲ってきて、私が犬なら、わぉぉぉーーーん!と夜中に遠吠えしていたでしょう。意味わかんないけど(笑)
    それなのに読み進める手が止まらず、なんだかこわかったです。

    うまくまとまりませんが、また読み返すときまでこんな感じで置いておきます。

    ★4.5

  • どうしてこの本が流行っているのか理解できないくらいつらかった。キシキシと骨が軋むような音がするお話でした。西加奈子のおすすめ本(対談で言っていた)。

    中高の時、こういう本を読んでいたならもっと上手にクラス内でふるまうことが出来たのになぁ…と思った。集団やクラスの雰囲気を支配する謎のものの、正体を知ったのは大人になってから、色々な本を読みだしてからだった。

    一部の子たちだけが楽しめる学校生活。なんだか切ないというか虚しい。せめて学校だけは楽しくあってほしいのに。

    気持ちのいい内容ではない。読んでいて息がつまりそうだった。小説というよりも結佳の日記をのぞいているような感じだった。

    若葉も結佳も、小林、信子も伊吹も井上、荒木もみんなこういう事を忘れて親になる。そして必死に子供に無意識に立ち振る舞いを教え込む。子供がクラスでうまく立ち振る舞えるように。自分のようになるように、自分のようにならないために。

    最初面白かったけど後半は、あまりにも痛々しく息がつまり、…くどかったかな。「憤死」や「ほかに誰がいる」「いつか大人になる日まで」を思い出しちゃった。

  • 息苦しい。窮屈。自分では、どうしようも出来ない衝動感。支配する関係。日々変わるヒエラルキー。醜い自意識。繊細な危うさの上で、必死でバランスを取っている。 そんな女の子の世界。 美しいものを美しいと思える自分だけの「目」を手に入れた、主人公の結佳は美しい。 心の奥底に封印していた傷をも疼き出させる力をもつ小説。

  • 見事に少女の心を書ききっている。圧巻だった。
    そのあまりのリアリティに自分の子供時代の思いと主人公の結佳の気持ちがないまぜになって、読めば読むほど苦しくなる。
    辛い辛い小説だった。

    誰もがきっと経験したことがあるのではないだろうか。
    子供は決して無邪気で純粋なんかじゃない。
    幼いなりに、いや幼いからこそその未熟さから、残酷になるのだ。
    小さな世界でぐらぐらと危うい自分の居場所を必死に守るために、他人を傷つける。その痛みに気付かないふりをする。

    結佳と正反対の性格を持つ幼馴染の伊吹は、まるで太陽のような存在。結佳の心の描き方から見ると、純真無垢に過ぎる気もするがここまで突き抜けた存在ではないと物語が成り立たないのだろう。
    これも作者の意図するところか。

    現実の小学生、中学生は結佳のように冷静な行動なんかできないし、毎日を過ごすのに必死になっていると思う。
    ましてや伊吹のように救いとなる存在なんていない子供たちが大半だろうと思う。
    でも伊吹じゃなくてもいい、小説でも、音楽でも、アイドルでもなんだっていい。自らを肯定し未来へと進んでいく勇気を何処かで見つけてくれることを願ってやまない。

    • まろんさん
      vilureefさん、こんにちは。

      この本、新聞でどなたかが絶賛していて、とても読みたいと思っている本なのです。
      でも例によってイナカの図...
      vilureefさん、こんにちは。

      この本、新聞でどなたかが絶賛していて、とても読みたいと思っている本なのです。
      でも例によってイナカの図書館には置いてくれなくて。。。

      苦く辛い物語なんですね。
      私としては苦手なジャンルだけれど、vilureefさんのこのレビューを読ませていただくと
      やっぱり読んでおかなくちゃいけない本だ、という気持ちになりました。
      古書店で探しつつ、図書館でリクエストカードも出してみようかな、と思っています。
      2013/02/03
    • vilureefさん
      まろんさん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。
      私も田舎の図書館利用ですよ(笑)
      最近は県内の他の図書館から取り寄せても...
      まろんさん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。
      私も田舎の図書館利用ですよ(笑)
      最近は県内の他の図書館から取り寄せてもらう本も多いです(^_^;)

      この本は☆5つにするか☆4つにするか最後まで迷いました。
      もう一度読み返したいかどうかで判断し4つにしました。それ位自分が元気な時でないと息苦しい本でした。

      でも最後には希望を持たせて終わっている救いのあるお話なので、多くの人に読んでもらいたいなと思います。
      まろんさんのレビュー楽しみに待っています(^_-)-☆
      2013/02/04
  • すごいなこの著者。。。
    読み終わって圧倒されました。

    伊吹君がいてくれて良かった。

  • 『女の子は妄想と現実を絡み合わせて、胸に巣食った発情を処理できずに、体の中に初恋という化け物を育てていくのに。』


    思春期の女の子の、こんがらがる心と体を描くのが上手すぎる!
    引用箇所とか、もう最高…上手い。
    結佳だけじゃなく、信子ちゃんも若葉ちゃんも小川さんも迷走が現実感があった。
    井上くんや荒井くんなど、「女の子の目から見た」男の子もリアル。
    ただ、その中にあって伊吹だけは綺麗なままなのもまた別の意味でリアルなんだなぁ…。
    何だか、初恋とは最後まで一人で見る夢なのかもしれないなと思いました。
    友達や友達じゃない同級生はみんな歪んだ鏡で、それを通して自分を客観的に(歪んでるんだけど)見ることで成長していくわけだけど、初恋というのは一番大きくて一番歪んでいる鏡なのかもしれない。
    その鏡が生涯消えない傷をつけることもあるだろうけど、一人でその鏡に映した自分をきっちり見つめなければ、二人でする恋には辿り着けないのかも、とそんなことを思うのです。

    でも、結佳の一方的な夢、というのは私が感じたこの恋のあくまでも一つの面で、妄想でない伊吹と通じたところもあったと思う。
    子どものものではなくなりつるある異様な体と心を受け入れるには、逆に伊吹が夢のままじゃ駄目だったんだろうと思います。

  • 読む人と時期を選ぶ本だと思った。大人になった今、ぼんやりとした輪郭に纏われた記憶が掘り起こされて、どろっとした中身が溢れ出てくる。遠くに消えかけていた思春期の現実は、友人と共有している思い出ほどキラキラしてはいなかったでしょ、と突きつけられて、じくじく心の膿みが出てきそうになる。主人公の年代の頃だったら、この本はきっと読めなかったと思う。純粋にいいものを読んだと思えること自体が、過去の己の振る舞いへの懺悔のような気もするけれど。この本の良さをわかる大人になれたことは嬉しい。

  • 再開発がすすむニュータウンにずっと前から住んでいる結佳。
    転校生がたくさん入ってくる中で出会った、伊吹という男の子。
    無機質にどんどん白く塗り潰されていくこの街を好きになれない結佳も、のん気で無垢な伊吹とならたしかな体温を感じていられた。
    胸が目立ち初潮をむかえ性が芽生える小4と、ふくらみつづける性欲を持て余す中2。
    少女から大人へと成長していく密やかなこの時期を、ここまで詳らかに描き切ってしまう話はこれまで読んだことがありません。
    過剰な自意識、肥大する自尊心。
    身に覚えのあるアイデンティティが、ぎゅうぎゅうにひしめき合っていたあの教室に連れ戻されたようで、読んでいる間中とにかく頭痛がした。
    馴染めないそんな空間で、恋とも執着ともつかず性衝動としてぶつけるしかなかった結佳の伊吹への想いは甘苦しかった。
    伊吹をおもちゃにすることでしか自我を保てない結佳。
    彼女を見捨てることなく”幸せさん”らしく包み続けた伊吹はいっそ神聖なほど。
    骨が軋み合うような二人の成長が、もどかしくてままならない思春期を、私にも思い出させてくれた。

    村田沙耶香を認識する前から、しんとしたこのタイトルはずっと覚えてたなぁ。
    静かで激しい素敵な小説。大切な一冊になりました。

  • 今年の三島賞受賞作。

     女性作家版スクールカースト。「桐島、部活やめるってよ」と違って、小学校の頃からの5年あまりの関係性を描いている。
    こうやって、共学の小中学校のヒエラルキーを俯瞰的かつ繊細な女子目線で描かれると、とても新鮮で発見が多い。しかし、やっぱり僕には、この主人公の早熟すぎる他人への視線や、好きな男子に対する支配的な欲望を「理解」できないばかりでなく「懐疑」をおぼえてしまった。少なくとも自分はこのような女性に会ったことがない。それは、自分の対人関係が狭いだけなのだろうか?

     女性作家の描く「色彩」や、自分の肉体を感情に溶け込ませる能力に関しては、川上未映子の文章に対して感じた美しさと同様の種類のものを作者にも覚えた。女性は全身で感じ、呼吸している。自分の骨が壊れたり軋んだり成長が止まったり・・・僕には無縁だが、男性が自分の肉体に対して感情的に自覚的なのは、せいぜいそのマッチョさぐらいではないか?と思ったりした。官能性の性差、みたいなものをふと考えてしまった。

  • うーん。なんか怖かった
    僕は伊吹だったんだろうな
    伊吹から結佳に変わっていったのかもしれない

    結佳は強い
    どうして世界に触れることが出来たんだろう
    世界に触れることはとてもとても怖いのに

    伊吹と結佳はこれからも続いて行くのかな?
    伊吹はキチンとしたいいやつだから続いて行くのかもしれないな
    続いていくなら結佳の一人よがりではなくて、きっと二人で話しあって進んでいけるだろうな

    結佳が素直になれて、ラストの方は泣きそうになった

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著者プロフィール

1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川龍之介賞受賞。その他の小説に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『地球星人』、エッセイに『となりの脳世界』『私が食べた本』などがある。

「2020年 『丸の内魔法少女ミラクリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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