しろいろの街の、その骨の体温の

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.70
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本棚登録 : 948
レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510112

作品紹介・あらすじ

季節が変わるごとにたくさんの転校生がやってくるニュータウンで、クラスの立場も性格も、正反体の女の子と男の子が出会う-。学校が嫌いだった人たちへおくる、教室の物語。

感想・レビュー・書評

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  • キシキシと骨が軋むような音がするお話でした。西加奈子のおすすめ本(対談で言っていた)。

    中高の時、こういう本を読んでいたならもっと上手にクラス内でふるまうことが出来たのになぁ…と思った。集団やクラスの雰囲気を支配する謎のものの、正体を知ったのは大人になってから、色々な本を読みだしてからだった。

    一部の子たちだけが楽しめる学校生活。なんだか切ないというか虚しい。せめて学校だけは楽しくあってほしいのに。

    気持ちのいい内容ではない。読んでいて息がつまりそうだった。小説というよりも結佳の日記をのぞいているような感じだった。

    若葉も結佳も、小林、信子も伊吹も井上、荒木もみんなこういう事を忘れて親になる。そして必死に子供に無意識に立ち振る舞いを教え込む。子供がクラスでうまく立ち振る舞えるように。自分のようになるように、自分のようにならないために。

    最初面白かったけど後半は、あまりにも痛々しく息がつまり、…くどかったかな。「憤死」や「ほかに誰がいる」「いつか大人になる日まで」を思い出しちゃった。

  • 見事に少女の心を書ききっている。圧巻だった。
    そのあまりのリアリティに自分の子供時代の思いと主人公の結佳の気持ちがないまぜになって、読めば読むほど苦しくなる。
    辛い辛い小説だった。

    誰もがきっと経験したことがあるのではないだろうか。
    子供は決して無邪気で純粋なんかじゃない。
    幼いなりに、いや幼いからこそその未熟さから、残酷になるのだ。
    小さな世界でぐらぐらと危うい自分の居場所を必死に守るために、他人を傷つける。その痛みに気付かないふりをする。

    結佳と正反対の性格を持つ幼馴染の伊吹は、まるで太陽のような存在。結佳の心の描き方から見ると、純真無垢に過ぎる気もするがここまで突き抜けた存在ではないと物語が成り立たないのだろう。
    これも作者の意図するところか。

    現実の小学生、中学生は結佳のように冷静な行動なんかできないし、毎日を過ごすのに必死になっていると思う。
    ましてや伊吹のように救いとなる存在なんていない子供たちが大半だろうと思う。
    でも伊吹じゃなくてもいい、小説でも、音楽でも、アイドルでもなんだっていい。自らを肯定し未来へと進んでいく勇気を何処かで見つけてくれることを願ってやまない。

    • まろんさん
      vilureefさん、こんにちは。

      この本、新聞でどなたかが絶賛していて、とても読みたいと思っている本なのです。
      でも例によってイナカの図...
      vilureefさん、こんにちは。

      この本、新聞でどなたかが絶賛していて、とても読みたいと思っている本なのです。
      でも例によってイナカの図書館には置いてくれなくて。。。

      苦く辛い物語なんですね。
      私としては苦手なジャンルだけれど、vilureefさんのこのレビューを読ませていただくと
      やっぱり読んでおかなくちゃいけない本だ、という気持ちになりました。
      古書店で探しつつ、図書館でリクエストカードも出してみようかな、と思っています。
      2013/02/03
    • vilureefさん
      まろんさん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。
      私も田舎の図書館利用ですよ(笑)
      最近は県内の他の図書館から取り寄せても...
      まろんさん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。
      私も田舎の図書館利用ですよ(笑)
      最近は県内の他の図書館から取り寄せてもらう本も多いです(^_^;)

      この本は☆5つにするか☆4つにするか最後まで迷いました。
      もう一度読み返したいかどうかで判断し4つにしました。それ位自分が元気な時でないと息苦しい本でした。

      でも最後には希望を持たせて終わっている救いのあるお話なので、多くの人に読んでもらいたいなと思います。
      まろんさんのレビュー楽しみに待っています(^_-)-☆
      2013/02/04
  • 再開発がすすむニュータウンにずっと前から住んでいる結佳。
    転校生がたくさん入ってくる中で出会った、伊吹という男の子。
    無機質にどんどん白く塗り潰されていくこの街を好きになれない結佳も、のん気で無垢な伊吹とならたしかな体温を感じていられた。
    胸が目立ち初潮をむかえ性が芽生える小4と、ふくらみつづける性欲を持て余す中2。
    少女から大人へと成長していく密やかなこの時期を、ここまで詳らかに描き切ってしまう話はこれまで読んだことがありません。
    過剰な自意識、肥大する自尊心。
    身に覚えのあるアイデンティティが、ぎゅうぎゅうにひしめき合っていたあの教室に連れ戻されたようで、読んでいる間中とにかく頭痛がした。
    馴染めないそんな空間で、恋とも執着ともつかず性衝動としてぶつけるしかなかった結佳の伊吹への想いは甘苦しかった。
    伊吹をおもちゃにすることでしか自我を保てない結佳。
    彼女を見捨てることなく”幸せさん”らしく包み続けた伊吹はいっそ神聖なほど。
    骨が軋み合うような二人の成長が、もどかしくてままならない思春期を、私にも思い出させてくれた。

    村田沙耶香を認識する前から、しんとしたこのタイトルはずっと覚えてたなぁ。
    静かで激しい素敵な小説。大切な一冊になりました。

  • 今年の三島賞受賞作。

     女性作家版スクールカースト。「桐島、部活やめるってよ」と違って、小学校の頃からの5年あまりの関係性を描いている。
    こうやって、共学の小中学校のヒエラルキーを俯瞰的かつ繊細な女子目線で描かれると、とても新鮮で発見が多い。しかし、やっぱり僕には、この主人公の早熟すぎる他人への視線や、好きな男子に対する支配的な欲望を「理解」できないばかりでなく「懐疑」をおぼえてしまった。少なくとも自分はこのような女性に会ったことがない。それは、自分の対人関係が狭いだけなのだろうか?

     女性作家の描く「色彩」や、自分の肉体を感情に溶け込ませる能力に関しては、川上未映子の文章に対して感じた美しさと同様の種類のものを作者にも覚えた。女性は全身で感じ、呼吸している。自分の骨が壊れたり軋んだり成長が止まったり・・・僕には無縁だが、男性が自分の肉体に対して感情的に自覚的なのは、せいぜいそのマッチョさぐらいではないか?と思ったりした。官能性の性差、みたいなものをふと考えてしまった。

  • うーん。なんか怖かった
    僕は伊吹だったんだろうな
    伊吹から結佳に変わっていったのかもしれない

    結佳は強い
    どうして世界に触れることが出来たんだろう
    世界に触れることはとてもとても怖いのに

    伊吹と結佳はこれからも続いて行くのかな?
    伊吹はキチンとしたいいやつだから続いて行くのかもしれないな
    続いていくなら結佳の一人よがりではなくて、きっと二人で話しあって進んでいけるだろうな

    結佳が素直になれて、ラストの方は泣きそうになった

  • 生き物の様な白い町並みの新興住宅地
    を舞台の小学生から中学生までの
    物語。
    爽やか青春の匂いすら感じさせない
    グロテスクさ
    思春期になるにつれて、成長していく
    体に追いついけない、異性への気持ち
    自分自身の成長を気づかない鈍感な
    友達の気持ち悪さ 
    とか、挙げたらきりがないくらい
    懐かしい感じがした。
    スクールカーストや甘い初恋だけが
    テーマじゃない分、女性作家だからこその作品だと思う。
    最後に結ばれた二人は、あのまま
    大人になるより、大人になるための
    単なる通過儀礼として受け止めてそう。

  • ただ圧倒されました。
    これほど読んでいる間中、息苦しさを覚える作品は初めて。
    それでも、ページをめくる手が止まらず、
    最後まで読むことが出来ました。

    不遜と言ってもいいほどの自意識と、残酷で痛々しい小説。

    振り返ってみると、私の時代にもグループの格付けのような空気は
    何となくあったように思います。

    なにより、”初恋”というにはあまりにこの二人の関係がつらい。
    あんなに素直で純粋な伊吹が、なんだかかわいそうに思えて…。

    村田紗耶香さん、はじめましての作家さんでしたが、つらい、息苦しいと感じながらも、最後まで読ませてしまうってすごい。

    忘れられない一冊になりそうです。

  • 生々しい。気持ち悪い。けれど懐かしい。学生のときは気楽でよかったよなとか思ってたけど、学生にもいろいろあったよなと、忘れていたこと思い出させる小説でした。

  • コンビニ人間、消滅世界、殺人出産など、印象に残る本を次々書かれている注目の作家さん。
    この本は、小中学生の女の子の気持ちが深く、的確に、ひねくれて、時にかわいく書かれていて、自分の学生の頃を思い出し、そうだったよなぁ~って、こんなに分析して生きてる結佳ってすごいなって、結佳のこと応援しながら読んでた。
    この本は思春期の子供たちに読んでもらいたいけど、大人が読んでもじーんとくる。泣けた。いい本だった。

  • 少女たちの世界は、どうしてこんなに閉塞的で、上下に厳しく、自己保存的で、多感で傷つきやすく、ナルシストで、性と恋に敏感で、夢見がちなものなのだろうか。作者も若い女性なので自分の少女時代の経験がもとになっているのだろうから、現代の少女たちの実態を示しているのだろう。私たちの時代とはあまりに違うように思えるが、それは私が男で無知なだけなのかも知れない。やはり女性は、基本的に男性とは違っているとも感じた。小説としては、青春モノとして面白く、少女たちの心理が繊細に書かれていると感じた。

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