オキシペタルムの庭

著者 :
  • 朝日新聞出版
2.77
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本棚登録 : 226
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510136

作品紹介・あらすじ

ただ普通に、幸せになりたい。つきあって2年、彼との結婚を夢見ていた莢子が知ってしまった、思いもかけない秘密-。揺れる32歳を描く恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 美しい刺繍で彩られた表紙、そして響きのきれいなタイトル。「オキシペタルム」が何なのかわからないまま、直感だけで図書館から借りてみた。
    瀧羽さん作品だから、妙齢の女子のお仕事・恋愛小説なのかなと漠然と当たりを付けて読み始めた。まぁ、大きく外れてはいないようなのだが、全体を覆ううっすらとグレイな雰囲気が何だか気になる。20代後半に手痛い失恋をしたアラサーの派遣社員・莢子は、今度こそ幸せをつかむべく、恋人・篤志との結婚を夢見るのだが…
    まさか浮気?と疑った彼の秘密は思いがけないものだった…。
    好きな人のことをどこまで受け入れることができるか。誰だって、性格や趣味がぴったり合致した相手と巡り合うことなんて、まず難しいだろう。「それさえ目をつぶれば、申し分のないいい人なの。」なら、あなたは目をつぶったままゴールインできますか!?
    その「秘密」が何なのかここで詳しくは語らないことにする。だけど、デリケートな問題ではあるよなと思う。何とか彼を受け入れようとする莢子だが、後半からのざわざわとした得体のしれない不安は、読む側にも息苦しく感じられる。篤志も莢子を大切に思い、誠実に接しているのはよくわかるのだが、何かが違う…と、心の中の警鐘が鳴りっぱなし。
    当然、彼の「秘密」に対して同僚の友人、望は猛反発する。一方、望をたしなめつつ、年上で既婚者という立場から助言をする先輩の志乃。私はこの志乃もまた何か抱えてるなという気がしていたが、自分の悩みを吐露しつつ、莢子のことも付かず離れずの距離を取りながら的確な言葉をかけてあげる、その包容力に好感が持てた。
    終わり方についても捉え方は色々かもしれないけど、個人的にはベストな着地ではと思う。なかなかに難しいテーマだなとは思うが、果敢に恋愛小説に取り入れた瀧羽さんの挑戦には拍手したい。描き方によってはドロドロしかねない内容だが、不思議と、どこか爽やかだった。
    ちなみに「オキシペタルム」とは、青い可憐な花。この花に、様々な思いが投影されているなと読了後、しみじみ思います。

    • vilureefさん
      こんにちは!

      その秘密って何ですか~!?
      すごい気になります。
      瀧羽麻子さん、一度も読んだことありませんが、読んでみたくなりました...
      こんにちは!

      その秘密って何ですか~!?
      すごい気になります。
      瀧羽麻子さん、一度も読んだことありませんが、読んでみたくなりました!

      素敵なレビューありがとうございます(^_-)-☆
      2013/07/24
    • メイプルマフィンさん
      なんかもやっとしたレビューになっても~たと書き終えて思ったのですが、コメント頂けてとても嬉しいです★
      図書館から借りた後に、本書について色...
      なんかもやっとしたレビューになっても~たと書き終えて思ったのですが、コメント頂けてとても嬉しいです★
      図書館から借りた後に、本書について色々検索したらその「秘密」を知ってしまったので(しかも結末まで)、自分は敢えて触れずにおこうと思いました。(実際、そういうカップルを知っていたものでね。)どこまで踏み込んで書くべきか、でも「ネタバレあり」設定にはせずに紹介したかったんで。モヤモヤですみません、詳細は読んでみてのお楽しみで!
      瀧羽作品は、アンソロジー「恋の聖地」収録の「トキちゃん」がおすすめです。
      2013/07/24
    • vilureefさん
      うわ~、良かった検索しないで(^_^;)
      アマゾンのレビューはちょっと見たのですが、他は見てません。セーフ♪

      分かります。
      「ネタ...
      うわ~、良かった検索しないで(^_^;)
      アマゾンのレビューはちょっと見たのですが、他は見てません。セーフ♪

      分かります。
      「ネタバレあり」にすると読んでもらえるチャンスが確実に減りますよね!
      色々妄想して楽しむ事にしますね(^_-)-☆

      瀧羽作品、他にもチャレンジしてみます。
      お勧めありがとうございました。
      2013/07/24
  • 結末に声を出して
    えー!って言っちゃった。
    なんかこう・・・前向きではあるけど
    明確な結末が欲しかったわけでも
    ないけども。そうなの?って感じだ。

    でも、わかる気がする。
    幸せって呪いだ。
    たぶん一生解けない呪い。

    ベージュがミルクティー色なんて
    思ったことなかったから、
    それが新鮮で新発見だったな。

  • 自分の道は自分自身で切り開く。

    幸せになりたいと、常日頃思っていた。
    幸せになるための一歩として、結婚を夢見る資格学校の派遣社員の莢子。

    恋人の篤史は素敵な人で、彼との結婚を望んでいた矢先に知った、宗教じみた自己啓発団体の存在。

    人格的に申し分ない篤史がこれまでうまく莢子との関係を続けてこれたのは、その団体から得た助言のおかげで、彼の意思は薄かった。

    相手に嫌われたくない一心で、結婚というゴールに執着するゆえに、押し殺してきた気持ちと失って気づいたこと。

    別れて正解だね!宗教やそういったものを頼りに生きる人もありだけど、免疫ない人がそういう人と一緒にいるのはつらいだろうしね。

    働くのは生活のためで、特別好きでもなく、いつか結婚するから安定した正社員に無理してなる必要はない、
    女性も社会の一員だと平等を主張された結果、学生生活を終えたら自動的に社会に投げ出されて行く女たちの本音が垣間見えて、なんか現実的。
    ただ幸せになりたいと漠然ともやもやしてる女子におすすめ(何様

    p244の甲斐のセリフの鉤括弧の位置がおかしかったよw
    甲斐が魅力的だったw)^o^(

  • 帯にただ普通に幸せになりたい女子読み恋愛小説1位、とありました。アラサーと呼ばれる三十代前半の独身女性が付き合って2年になる彼が別の女性と居たところを目撃されたところまでは ありがちな小説だなと思っていました。が、そこから先は違いました。
    もし自分の好きな人が よく判らない宗教法人の一員であったならば。これはそんな話でした。
    彼が一員であったのを黙っていたのは 前の彼女は 話したことが原因で別れていたから。親が入っていたので自分も自然と入っていたこと。怪しげな団体ではないこと。包み隠さず話してくれる彼を信頼し、安心した莢子でしたが、その宗教団体の集まりとは
    悩みを相談し、解決策を見出していくものと知り
    彼、篤志の行動全てがその集まりで聞いたものではないかと思えてしまっていく。この相談が もし友達相手だったのなら。もしかしたら違う気持ちでいられたのかもしれない。ふとそう思いました。
    だって、誰でも悩みは誰かに聞いて欲しいし、思っていたことと同じ解決策でも 全く想像してなかった解決策でも 聞きたい、そう思うから。
    宗教、という言葉の重さが伝わる話でした。

  • 読み始めは面白く思えたんだけど、中盤からえっ?という感じでした。女性が幸せになりたいという呪いにとらわれて、もがき苦しむ中で、自分で判断して自分を信じる、という部分はよかったと思う。宗教と絡めずに何か他の展開があったのではないだろうか。

    そして、冒頭のはちみつのくだりはなんだったんだろう。

  • 中身はひとまず、「憮然とする」始め、校正者無しで出版されたのか?と思う日本語の使い方が気になってしまった。だんだん気にならなくなっていったけど、漠然とした文章の癖みたいなものが好きではないな。

  • ここ数年、自分と同年代の女性が主人公の小説を手に取ることが増えて来ました。特に恋愛小説。なんてわかりやすいんでしょう(笑)。

    結婚なんてしないで仕事に生きるのよ私は!なアラサー女子から、
    過去の恋愛に未練タラタラ引きずる系アラサー女子まで、なんとなーく偏りなーく読みたいな〜と思ってる時点で、私自身も方向性見つかってないこと丸わかり(笑)。

    そんなわけで、本作は帯にある「揺れる32歳」「ただ普通に、幸せになりたい」「結婚」っていうフレーズにつられまくって手に取りました。
    あとはシャレオツ雰囲気な装丁(笑)。

    今作は、そんな紹介文や装丁から想像する内容の少し斜め上がテーマです。
    結婚前のマリッジブルーとか倦怠期とかがテーマかしらと考えるでもなく読んでたら、まさかのテーマ。「宗教法人」(笑)。

    「彼氏がなんかよう分からないスピリチュアルな集会に行ってるらしい」
    →「家族で宗教法人にハマってるらしい」
    →「なんかヤバくね?」
    →「意外といい宗教っていうか関係者たちじゃん」
    →「ちょっと待って何かおかしい」
    →「驚 愕 の 真 実」
    →「やっぱヤバかった」



    ざっくり言うとこんな感じです←
    ちょっと私自身も引っかかったことがあるテーマだったので、すごく痛切に染みた………。
    でも、本作のヒロインは、「私にはよく分からない宗教彼氏が信じてて引くわ〜」で終わらずに、理解したいと歩み寄る姿勢を見せたり、一緒に集会に行ったりっていう健気さにはまた胸を打たれました。私にはできないなって←←

    結局は、彼氏の言動の背景に宗教関係者の姿がチラついて、ヒロインは彼との別れを決意します。
    ですが、そこに至るまでの彼女の心の機微が、時に健気に、時に身勝手に、けれど芯にある「彼を信じたい」という気持ちはブレることなく丁寧に描かれています。

    うーん。みんな幸せになりたいだけなのに、うまくいかないもんですかね〜(笑)。

  • まさか宗教が絡んでくるとは意外だった。終わり方がいまいちかな。

  • 私たちは、幸せにならなければならないという呪いにかけられている。
    幸せな結婚をして幸せな家庭を築いて子供を産み育てる。そんなことにこだわるのは古臭いと鼻で笑いつつも、やはりその道から外れることを恐れている。

    主人公は恋人と順調に交際を進めて、プロポーズまで漕ぎ着けたものの、たった1つの、しかも些細な気掛かりで全てを失うことになる。

    完璧な男なんていない。それに目を瞑らなければ結婚なんてできっこないのだと私は思っている。

  • 思想は分かり合えなくてもお互いに分かり合いたかったのだなと思う。甲斐がいて莢子は良かったんだろうな。篤志は莢子をなくして信仰をなくしてどうしていくのだろう。
    個人的に瀧羽氏の魅力はふわふわほんわか、なのだけれど今回は違った。私は母がクリスチャンなので周りの受け入れがたさや、子どもが産まれたら…みたいな莢子の気持ちがわかる。莢子の場合は好きだった篤志の全てがおばあさんのコピーだった気がしたっていうのが一番大きかったんだろうけれど。最後は篤志の葛藤が見えて良かった。大阪への移住を知らせなかった点からも篤志は自分の力で、言葉で生きていきたいと思ったんだろうな。

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著者プロフィール

1981年兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。他の著書に『ぱりぱり』『松ノ内家の居候』『左京区桃栗坂上ル』『乗りかかった船』『ありえないほどうるさいオルゴール店』など。

「2018年 『失恋天国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀧羽麻子の作品

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