この君なくば

  • 朝日新聞出版 (2012年10月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784022510143

みんなの感想まとめ

激動の江戸末期を舞台に、愛と運命が交錯する物語が展開されます。主人公の楠瀬譲は、藩の命令で格上の娘と結婚することになりますが、心の中には恩師の娘・栞への想いが残ります。譲の妻が他界した後、彼は栞との再...

感想・レビュー・書評

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  • 何ぞ一日も此の君無かるべけんや
    〈此君〉とは竹の異称である。

    江戸末期から明治維新へと、日本が大きく変わろうとしていた、激動の時代。
    日向の五代藩領内に生まれ、仕官せずに民間の学者として生きた、檜垣鉄斎の娘・栞。

    五十石の家の二男として生まれ、17歳で蘭学者の緒方洪庵の適塾に学び、国元へ戻った楠瀬譲。

    藩主・忠継は、殊の外楠瀬譲を買い、ゆくゆくは、重く用いたいと思惑していた。
    故に、譲の妻・杉浦由里が娘を残し、他界した後も、杉浦家を継がせる為に、由里の妹・五十鈴との縁談を纏めようとしていた。

    しかし、栞と楠瀬譲は、お互いに惹かれあっていた。

    栞の懸命さ。
    楠瀬譲の清廉さ。
    忠継の器の大きさ。
    後に、忠継の正妻となる五十鈴の自由奔放さ。
    全てが良かった。

    ハッピーエンドとなり、読後感は、清々しい。

  •  時は江戸末期の動乱期。開国か攘夷かで揺れ動く九州の伍代藩。軽格の家に生まれた楠瀬譲は恩師の桧垣鉄斎の娘・栞に想いを寄せていたが、藩の命令で格上の娘と結婚し娘を授かるが、病で妻を亡くす。譲は栞に和歌を習っていたが、妻の妹、五十鈴との縁談があった。五十鈴も譲に想いを寄せている。
     しかし、五十鈴は藩主忠継と結婚。譲と栞は夫婦となるものの、策略に陥れられ譲は囚われの身となるが・・・。

     譲の想いの描写がやや物足りなかった。それでも、ストーリーは楽しめた。栞もいいが、五十鈴も魅力的なキャラクターで楽しめた。

  • 幕末の動乱。
    この時代の恋愛というのは貫くことと読み取れた。
    女性は強い。

  • 江戸末期~明治へと進む動乱の時代、信念を持って、生きる人たち。主人公の譲と栞の、互いを思い、家族を思い、時には置かれた状況に揺れ動きながらも、凛と生きる姿勢がいい。

  • 初の葉室さん。

    楠瀬譲、檜垣栞、五十鈴、伍代藩藩主忠継。

    今まで、時代ものを読んでも勉強しなくては・・・と思った事はなかったけれど、やっぱり当時の事を知りたいと思った。

    でも、歴史に疎くても、武士の覚悟と潔さ、女性の慎ましく控え目な所、分を弁えた物言い、凛とした美しい強さに痺れる。

    ハラハラするのに静かな静かな筆致。
    読めて良かった。

  • 最初は恋愛ものなのかなと思いましたが、だんだんと明治維新の歴史小説になっていき、ちょっと難しくなりました。

    明治維新の話は、なんだかわかりずらくて納得いかなくて、まだまだ理解できない所があります。
    ちょっと違った目線で見ているようで、なるほどな感はありました。

  • 2020.02.19
    4年ぶりの2回目だった。葉室麟か亡くなったと最近知って、探していたら妙に題名に惹かれて読み始めたら、うん?これ読んだことがあると思い、チェックしたら2016年に読んでた。葉室麟は2017年の年末に亡くなられたみたい。多分、4年前も題名に惹かれて読んだ筈。この時代にこんな強い女性が二人もいたとは!あれから4年経ち、今は妻に対して、「この君なくば一日もあらじ 」である。

    2016.08.27
    日本と武士道。いつも考えさせられる。武士たる者、武士の妻たる者、一本通っていて清々しささえ感ずる。この日本という国が大きく変わろうとした時代背景を描きながら、そこに「この君なくば一日もあらじ」を美しく表現し、訴えている。
    この言葉を妻に言ってみたいものである。

  • 幕末のお話。
    「この君なくば・・・」
    譲さまと栞さまの関係が素敵だなと思いました。
    五十鈴さまがいたからこそ、なのかな。

  • 幕末の動乱期、これからどんな世の中になるのかみんなが不安を抱いていた時、信じる人がいることは本当に心強いこと。

    飄風は朝を終えず、驟雨は日をおえず。

  • 伍代藩士の楠瀬譲と栞は互いに惹かれ合う仲だが、譲は藩主の密命を帯びて京の政情を探ることとなる。やがて栞の前には譲に思いを寄せる気丈な女性・五十鈴が現れる。

    激動の時代を背景に、男女の絆を書いた作品。時代小説はあまり読まないので、じゃっかんそういった事情を読むのはつらかったのですが、その中でも譲と栞の絆はよいものでした。
    なにより五十鈴がかっこいいこと!よい御方さまでした。

  • 「この君なくば、一日もあらじ」電車の中でうるっとした。

    • mayさん
      花丸をつけて下さってありがとうございます。
      いい本に巡り合うと心が満たされますね。

      息子とあまり年が変わらないのに、沢山の本を読まれていて...
      花丸をつけて下さってありがとうございます。
      いい本に巡り合うと心が満たされますね。

      息子とあまり年が変わらないのに、沢山の本を読まれていて驚きました。
      2013/08/13
  • 日向五代藩の下級藩士楠瀬譲と、此君堂の恩師の娘栞の絆を中心に、彼を高く評価する藩主と五十鈴を配し、揺れ動く幕末維新を描く。
    此君とは「この君なくば、一日もあらじ」から取った名。

  • ちょうど今の大河ドラマと同じ時期のお話。大河は北の会津だけど、こちらは南の日向。
    主人公の静かな想いがすごく素敵だなと思った。
    激動の時代の荒波に主人公も否応なく巻き込まれていくんだけど、凛とした佇まいが良い。北に渡った後、どんな人生を送ったか、知りたいと思った。
    (これは実在の人なのかしら?)
    (それにしても、会津の最期を少し知ってしまった…大河ではどう描かれるんだろう(> <))

  • 「小説トリッパー」に連載されたものの単行本化。

    幕末の日向国五代藩(延岡藩がモデル?)が舞台。

    栞は父が開いた学塾「此君堂」(王徽之が竹を賞して、「何ぞ一日も此の君無かるべけんや」と言ったことに由来し、竹林があった)で、父の死後も月に一度和歌を習いに来る楠瀬譲を待っていた。

    藩内でも尊王攘夷派が勢力を伸ばす中、開明的な藩主の信任が厚い楠瀬は交易で藩を富ませようとするが、栞に思いを寄せる尊攘派の佐倉からは敵視される。

    楠瀬に思いを寄せる中老の娘五十鈴は、身分の低い楠瀬が婿に入ることで藩の中枢に登れるよう藩主に命じてもらおうと画策するが、楠瀬は断り、かえって藩主が五十鈴を後妻に迎えることとなって、栞と五十鈴はわだかまりを解いて友情を深め、栞は楠瀬に嫁入りした。

    8月18日の政変や蛤御門の変で佐倉は脱藩して長州に身を投じ、戊辰戦争に後から参加した五代藩に乗り込んで藩を牛耳り、楠瀬は幕府軍に内通したとの疑いをもたれて収監される。

    佐倉は子供連れでもいいから嫁に来いと栞に言い寄るが、栞は断り、佐倉ら不平士族の政府転覆陰謀を東京の藩主に知らせる。

    作者のこれまで作品のように感動的ではないが、幕府側でも、薩長側でもない小藩の人々が、幕末維新期の嵐のなかで自分たちの未来をどうしようとしたのか、という観点から描いたいい作品だと思う。

  • いつもタイトルが素敵。
    幕末は好きだけれども、葉室さんの話にしては珍しく途中むかむかと不快の念に襲われた…
    主人公だけなく、周辺も綺麗に仕上げる印象があっただけに少しびつくり。
    まぁ、好みの問題ですかね。
    好きですけどね。

  • L
    読み始めてすぐ、バツイチ同士の色恋沙汰濃厚にげんなり。少し読んで苦手な和歌仕様でげんなり。さらに進んでとんと馴染みのない幕末設定で更にげんなり。
    三重苦に読むのが大変だった…。大変だった、のを言い訳にちゃんと読み込めてなかったのか、うなじの目当て黒子の33歳死亡説をどう乗り切ったのかスルーしてしまった…。
    なんか幕末明治に詮議投獄されて妻が待つ話をどこかで読んだっよなー。タカの記述は諸田さんでクローズアップしたような作品があったような気もするが所詮私の読み込みなんてそんな記憶か…と落ち込む。色々伏線めいてたものはあったけど全部回収できてたんだろうか。やっぱ幕末はわっさわっさし過ぎて苦手だわ。

  • 9月-14。3.5点。
    妻に先立たれた武士。学ぶ塾の娘と互いに惹かれる。
    幕末から維新の動乱の中、翻弄されながら生きていく。

    短めの物語だが、読み応えは結構あり。
    まあまあ面白かった。

  • 最初から最後まで三角関係の話。
    健吾視点だったら、また違う話になるんだろうな。

  • 『この君なくば、一日もあらじ』の想い、栞と譲の運命の行方は、井伊直弼と村山たかのエピソードと相まって非常に切なく大変面白く読んだ。それだけに後半の激動の時代に翻弄する二人の模様は、ちょっとアッサリしすぎにも感じる。

  • 攘夷、倒幕、佐幕と幕末維新を背景に、己に忠実に生きた男女の清冽な姿を描く。 日向伍代藩の下級藩士に生まれた「楠瀬譲」は、恩師の娘「栞」と惹かれ合う。時代に翻弄されずに自分自身の気持ちに忠実に生きていく。
    「この君なくば、一日もあらじ」

    葉室麟は、「橘花抄」で凛とした強さと優雅さを持つ「りく」、光を失っても「香を聞く」ことで強く真っすぐに生きる「卯乃」を描いたように、この小説では「栞」「五十鈴」という女性の描き方がすばらしい。
    山本周五郎とも藤沢周平とも違うが、今それに匹敵する作家はこの人だけだろうと思う。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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