ことり

  • 朝日新聞出版 (2012年11月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784022510228

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

心の奥深くに響く孤独と優しさが織り交ぜられた物語。主人公は「小鳥の小父さん」と呼ばれ、兄と共に静かでつましい日常を送っています。兄の死後も、小父さんは幼稚園での仕事や図書館通い、ラジオを聴くなど、変わ...

感想・レビュー・書評

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  • 「小鳥の小父さんが死んだ時、」から始まる物語。
    お兄さんの言葉を理解できるのは、この世に小鳥の小父さんただ一人。
    両親が亡くなった後、二人きりでつましく暮らす兄弟。
    毎週水曜日にはポーポー(キャンディー)を買いに行くとか、お昼休みには職場から家に戻ってお兄さんとサンドイッチとスープの昼食をとるとか、夜には二人でラジオを聴くとか‥‥二人きりの小さな世界で、いつもと同じことを変わらずやり続ける、その小さな幸せ。
    他人から見たら取るに足らないつまらない生活かもしれないけれど、同じことの繰り返しであるからこそ、その小さくて静かな、いつまでも変わらぬことを願いたくなるそんな幸せ。
    そんな生活の中に、兄弟それぞれの恋模様などもあって、なんだか透き通ってキラキラしている、だけど壊れやすいガラスのような物語だな、と思いました。
    だけど、「小鳥の小父さんが死んだ時、」から読み始めた読者はこの後、どうなるかが分かっているわけで、常に物哀しさと共にあるキラキラなのです。
    最後のページを読み終わったら、また最初のページに戻りたくなりました。小鳥の小父さんの腕の中にいた小鳥の様子をもう一度読みたくなりました。

    • こっとんさん
      みどりのハイソックスの女さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      お褒めの言葉、嬉しいです♪
      私もいつも、みどりのハイソックスの女...
      みどりのハイソックスの女さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      お褒めの言葉、嬉しいです♪
      私もいつも、みどりのハイソックスの女さんのレビューを読んで素敵だなぁ、と思ってます。
      私もみどりのハイソックスの女さんと同じくらい若い時から読書をたくさんしておけば良かったなぁ、と後悔しています。
      同じ本を読んでもその時の年齢や状況で感想は違うものになりますよね。
      みどりのハイソックスの女さんの若々しい(←と言っちゃってるところが、おばさんくさい笑)レビュー、これからも楽しみにしています。
      2022/02/16
    • みどりのハイソックスさん
      そんな、そんな、ありがとうございます。

      本当に年齢やその時の状況によって
      感想が違いますよね。

      一年生の時に読んだ「大きなかぶ」
      今読ん...
      そんな、そんな、ありがとうございます。

      本当に年齢やその時の状況によって
      感想が違いますよね。

      一年生の時に読んだ「大きなかぶ」
      今読んでみると違う感想が出てきました。
      是非また、こっとんさんも読んでみてください。
      2022/02/17
    • こっとんさん
      確かに!
      絵本などは特に、年齢によって感じ方が違いますよね。
      また色々読んでみようかな、と思います。
      確かに!
      絵本などは特に、年齢によって感じ方が違いますよね。
      また色々読んでみようかな、と思います。
      2022/02/18
  • 心が洗われるような優しいお話。
    静かに丁寧に紡がれていく毎日。

    主人公の小父さんと兄の優しい関り。
    兄は小鳥の言葉しか話せませんが、
    小父さんには理解できたのです。
    兄亡き後、ひとりつましく暮らす小父さん。
    仕事前に幼稚園の鳥小屋を掃除する小父さんを
    園児たちは「小鳥の小父さん」と呼びます。
    日曜日は図書館に通い
    夜はラジオを聴いて過ごす静かな暮らし。

    そんな小父さんにもちょっとした出逢いがあり、
    心高鳴り、そしてまた日常に戻り…。
    自分らしい生き方をひたむきに生きた小父さん。
    最終章、メジロとの暮らしに
    救いと切なさを感じました。

    あれ??
    そういえば、誰一人 名前が出てこなかった。
    お兄さん、園長先生、司書さん、青空薬局の人、等々。
    一切、固有名詞が出てこない物語。
    最後まで読み終えて感じた透明感。
    不思議な優しい世界への没入感。
    もしかしたら、そのせい?

    主人公は、「おじさん」ではなく「小父さん」。
    小鳥のお父さんって読めなくもないかな。
    深読みが過ぎるかも、ですが。

    • yyさん
      おはよー (((o(*゚▽゚*)o)))
      読み終わる頃に気づいたの。
      あれぇ??名前が無い!って。
      ハッピーさんの「名前と関係性を覚えな...
      おはよー (((o(*゚▽゚*)o)))
      読み終わる頃に気づいたの。
      あれぇ??名前が無い!って。
      ハッピーさんの「名前と関係性を覚えなくて楽」って、なるほどって思いました。
      色んな人が出てくると、混乱しないよう、いつも必死です (^_^;)
      2024/04/13
    • しずくさん
      「小父さん」を小鳥のお父さんって読めなくもないかなって言われるyyさんの感性、素敵です! 山歩きに予定している今日が楽しくなりそうな予感。
      「小父さん」を小鳥のお父さんって読めなくもないかなって言われるyyさんの感性、素敵です! 山歩きに予定している今日が楽しくなりそうな予感。
      2024/04/14
    • yyさん
      しずくさん、おはようございます。
      山歩きですか! いいなぁ。
      お天気、最高じゃないですか - ̗̀ ☺︎ ̖́-
      思いっきり、楽しんできて...
      しずくさん、おはようございます。
      山歩きですか! いいなぁ。
      お天気、最高じゃないですか - ̗̀ ☺︎ ̖́-
      思いっきり、楽しんできてくださいね(≧∇≦)/
      2024/04/14
  • 気管支が弱くて、いつもコンコン咳をして、入退院を繰り返すこどもでした。
    幼稚園にもロクに通えなくて、当然ながら、かなりの人見知りで苦労して。
    もしも奇跡的に結婚してこどもを持つことができたら、こんな苦労はしないよう、
    丈夫で物怖じしない子に育てなくちゃ! なんて思っていたせいか
    娘は、誰も一人っ子とは信じてくれないくらい元気に育ったのですが。。。

    物怖じしない、の裏返しというか、自分が正しい、素晴らしいと思ったことは
    なにがなんでも押し通そうとするので、お友達とぶつかってばかり。
    いつも言い聞かせるのは、自分のやり方や考え方を人に押し付けないこと。
    誰かが大切にしているものや、大好きなことを、たとえ自分が好きになれなくても
    ばかにしたり、笑ったり、冷たく否定したりしないこと。

    そんなこともあって、この本を娘が読んでくれたらなぁ、としみじみ思いました。

    メジロが入った鳥籠を抱いてたったひとりで亡くなったまま
    何日も発見されなかった「小鳥の小父さん」を
    孤独死した可哀想な老人と決めつけ、憐れむ権利は誰にもない。
    人間の言葉を喋ることをやめ、小鳥と弟にだけ通じるポーポー語で
    美しい世界のことを語り続けていた、小父さんのお兄さんを
    障碍者扱いし、気味悪げに遠巻きにする権利も、誰にもない。

    ましてや、繊細なポーポー語を発明し、進化させ、キャンディーの包装紙を
    何枚も何枚も貼り合わせ、今にも飛び立ちそうな小鳥のブローチを作る兄を
    心から崇拝し、寄り添う小父さんを、手のかかる障碍者の兄を抱えて
    人並みに生きる喜びさえ味わえない気の毒な人、と見下す権利も。

    後世に残るような立派な業績を残さなくても、目に見える形で何かを残さなくても
    「僕たちの巣は安全だ」と、守りたいものをじっと抱きしめて
    外の世界の心ない人々に傷つけられても抗わず、慎み深く生きる小父さんや
    図書館のカウンターで、相応しい本が相応しいひとの手に渡り、
    心をこめて読まれることを何よりのよろこびとする司書さんのような人を
    きちんと認め、尊いと思えるひとになってくれたらなぁ、と思うのです。

    小鳥たちを愛し、繰り返す穏やかな毎日を慈しみ、
    偏見に満ちた人たちの仕打ちも静かに受け入れて一切反撃しなかった叔父さんが
    人間の欲望の餌食となったメジロたちのために決意した、最初で最後のレジスタンス。

    狭い鳥籠の蓋を次々に開け放して、閉じ込められたメジロたちを飛び立たせるたび
    小父さんの魂も少しずつ、お兄さんの待つ空に近づくようで
    この世でやり遂げるべき最後の仕事を無事に終え、横たわる小父さんに
    おつかれさま、と声をかけ、祈りを捧げたくなって。

    片田舎の小さな教会に飾られた宗教画のような
    つつましやかながらも神々しい物語でした。

    • まろんさん
      e-kakasiさん

      素敵なコメントをありがとうございます。
      そして、拙い文章から、私が思い描いた「宗教画」のイメージを
      こんなに鮮やかに...
      e-kakasiさん

      素敵なコメントをありがとうございます。
      そして、拙い文章から、私が思い描いた「宗教画」のイメージを
      こんなに鮮やかに読み取っていただいて、感激です。
      そうなのです、後世に残る巨匠などではなく、信心深く生真面目な職人が
      ニードルでひと針ひと針、心をこめて丁寧に仕上げたエッチング。
      読み終えたとき、小父さんが横たわる狭い部屋が
      不意に私の中では、片田舎の、小さいけれどよく手入れされた教会に変換されて
      その壁に掛けられた宗教画が、やさしく小父さんを見下ろしている
      そんな風景が浮かんだのです。
      すばらしい本でした。
      2013/01/24
    • honaoさん
      私のつたないレビューに花丸ありがとうございました。
      まろんさんのレビューは、表現力が抜群ですね。
      私も似たようなこと感じてはいても、だけど、...
      私のつたないレビューに花丸ありがとうございました。
      まろんさんのレビューは、表現力が抜群ですね。
      私も似たようなこと感じてはいても、だけど、それを表すのが下手なのと、面倒なのと…で、いつもあっさり済ませてしまいます。
      でも色んな方のレビュー読むのは大好きです。ある本を読んで、同じような受けとめ方される人だけではなく、「なるほど、この本を読んでこういうふうに感じる人もいるんだ」というようなレビューも読んでいてすごく楽しいですね。
      これからもまろんさんのレビュー楽しみにしています。
      2013/01/24
    • まろんさん
      honaoさん☆

      つたないだなんて!とんでもありません。
      honaoさんのレビューは、あっさりしているけれど
      短い言葉の中に、しっかり伝え...
      honaoさん☆

      つたないだなんて!とんでもありません。
      honaoさんのレビューは、あっさりしているけれど
      短い言葉の中に、しっかり伝えたい思いが詰まっていて
      そうそう!そうなのよ!と思わず頷きながら読んでしまうところが素敵なのです。
      私は、今日こそ簡潔に書くぞー!と思いながら
      気がつくと、どんどん無駄に文章が長くなってしまうのが悩みなので。。。

      honaoさんがおっしゃる通り、ブクログでは
      同じ本に対しても、いろんな感じ方があるんだなぁ、と
      いくつものレビューを読んで実感できることがうれしいですね♪
      私こそ、これからもどうぞよろしくお願いします!
      2013/01/25
  •  あの大震災以来、日本中に「君は一人じゃない」だとか「勇気をもらった」だとか、判で押したような言葉があふれ、閉塞状況から逃れたいと深く念じつつも私は、そうした言葉に疲れ、非国民と罵られるのを恐れて、卑屈な愛想笑いに己を隠して沈黙の殻に閉じこもっています。
     ある日、新聞の書評欄(二〇一二年十二月十日付読売新聞)の見出しに「誰も踏み込めない孤独」とあるのが目に留まりました。確実に「孤独」が詰まっているらしい、小川洋子著『ことり』の存在を知ったのはその時でした。しばらくして今度は、新聞のコラム欄(同年十二月三十一日付読売新聞)に「人間が愛(いと)おしくて、人間が厭(いと)わしくて、異常な心持ちだったね、一年前は…」とあるのを読みました。この筆者は、震災直後の一年前の大晦日の心情を吐露しているように語っていましたが、一年前にそんなことはとても新聞に書けなかっただろうし、二年目の大晦日に同じ心情がさらに深まっていても、「今」とは書けず、「去年のことなんだけどもさぁ」と婉曲に、コラム流の逃げを打ちながら、「話しかけないで。触らないで。独りにして」と、孤独を告白していました。大新聞のコラムニストですら、後ろめたさを引きずりつつ、身の内にずしりと感じる「孤独」を書き留めておかずにはいられなかったのです。
     いま日本中にあふれている前向きで、建設的で、素敵な言葉の氾濫に、私は溺れそうになりながら、自らの存在の奥深くに巣食う孤独ともしかすると向き合えるかもしれないと、この小川洋子著『ことり』のページをめくりました。

    • nico314さん
      e-kakasiさん、はじめまして。
      フォローありがとうございます。

      震災直後、被災した方々のことを思って(つもりになって)、日常生...
      e-kakasiさん、はじめまして。
      フォローありがとうございます。

      震災直後、被災した方々のことを思って(つもりになって)、日常生活のいろいろなシーンであれもこれも自粛したことを思い出します。
      誰かが大声で「自粛だ!」と言えばそれに従って、そうしなければ非難されてしまいそうで声を潜めていたのでした。


      >「誰も踏み込めない孤独」とあるのが目に 留まりました。
      誰にでも、決して踏み込まれない奥の奥に孤独を隠して平静を装っているのではと思うことがあります。
      この本、手元にありますので早速読んで、感じてみたいと思います。
      2013/01/27
    • e-kakasiさん
      nico314さん、お読みになるのを是非お薦めします。そして感想をお聞かせください。
      nico314さん、お読みになるのを是非お薦めします。そして感想をお聞かせください。
      2013/01/28
  • 世の中のあれこれについて
    知らなければいけませんか?
    政治とか経済とか事件とか・・・・・

    職場と自宅の往復で大した出来事もなく毎日を過ごすこと
    それだけじゃいけませんか?

    他人の痛みについて自分のことのように感じなければいけないですか?

    ・・・・淡々と事実だけが語られるだけなのに
    些細な出来事ばかりが過ぎていくだけの文章なのに
    引き込まれていく。
    そして、気がつくと涙してしまっていた。

    私にとって、ずっと忘れない物語になりそうである。
    そんな物語はそんなにない。

    • まろんさん
      素敵なレビューです!
      心が震えました。

      物語の筋に一切触れなくても、
      こんなふうに作品の素晴らしさを語れるなんて、すごいなぁ!
      あんてぃー...
      素敵なレビューです!
      心が震えました。

      物語の筋に一切触れなくても、
      こんなふうに作品の素晴らしさを語れるなんて、すごいなぁ!
      あんてぃーく・ろーずさんのこのレビューを読んで
      この本を手に取らずにいられなくなる人が
      きっとたくさん増えることと思います。
      2013/01/28
    • あんてぃーく・ろーずさん
      まろんさんへ
      コメントありがとうございます~♪
      もったいないお言葉で照れます(^^ゞ
      まろんさんへ
      コメントありがとうございます~♪
      もったいないお言葉で照れます(^^ゞ
      2013/01/31
  • ことりのように小さくて、
    気をつけないと壊してしまいそうなお話だった。

    一番印象的だったのは
    小鳥のブローチが誰の手にゆくかによって
    180度心象が変わるところ。
    その感覚に共感しつつも
    彼の中の美学を押し付けているように
    見えて少しだけ居心地が悪かった。


    人が一人で生きていくってあまりにも寂しい。
    なんと言っていいかよくわからない気持ちになる。

    文章が美しいと定評で読んでみたのだけれど、
    私は情景描写を味わうのがあまり得意ではなくて、
    美しい情景を脳内で映像化できないから
    文章としての美しさはわからなかった。


  • ひっそりと生きる小さくて弱い命がただただ愛おしい。

    「小鳥の小父さん」の仕事はゲストハウスの管理人。
    その「仕事」が生きるために必要なのは疑う余地もない。
    ただ、お兄さんがいなくなった後、小鳥の小父さんを生かしていたのは鳥小屋の掃除ではなかっただろうか。
    道具を自分で揃え、給金も発生しない鳥小屋の世話は小鳥の小父さんの中では「仕事」とはまた違う行為のようだった。
    幼稚園の園児のためではなく、お兄さんと自分のために続けているそれは、「仕事」よりももっとずっと切実な何かだった。

    そしてそれは小鳥の小父さんと世界の接点だった。
    司書の女性も園児達も園長先生も「小鳥の小父さん」を見ていた。

    誰かのことを知ろうとする時、いったい何について知るべきなのか?
    小鳥の小父さんの生い立ちもこの本には書かれているけれど、全てを知らなければ小鳥の小父さんのことを知ったことにはならないのだろうか?
    そうだとしたら私は誰のこともきちんと知ることは出来ないのだ。こんなに悲しいことがあるだろうか。

    でもそうではないと信じたい。
    鳥小屋の世話をしている姿を見て、「小鳥の小父さん」と呼んだ子ども達やいつも感謝を示し続けた園長先生は小鳥の小父さんのことをきちんと知っていたと思う。
    小鳥の小父さんが図書館で借りる本が全て小鳥に関する本だと知っていた司書の女性も、小鳥の小父さんに歌を教わったメジロも。
    彼らが見ていたのが小鳥の小父さんの一面に過ぎなかったとしても、きっと小鳥の小父さんを「ことり」とは呼ばないから。

    誤解してしまうことはある。
    誤解されることもある。
    思い込みで見えなくなることも多い。
    それでも私は小鳥の小父さんやお兄さんに疑いの眼差しを向けたくはない。
    理不尽に追い出したくもない。
    全てを知ることは出来なくても、何を大切にしているのか、何がその人を生かしているのかをきちんと知ろうとしよう。
    私には意味が分からないポーポー語が優しい言葉だということを忘れずにいよう。絶対。

    • まろんさん
      胸が痛くなるくらい素晴らしいレビュー!

      この『ことり』という作品を通して、時空をこえてtakanatsuさんとうんうん。と頷きながら握手で...
      胸が痛くなるくらい素晴らしいレビュー!

      この『ことり』という作品を通して、時空をこえてtakanatsuさんとうんうん。と頷きながら握手できたような気がしました。
      レビューの最後の3行が、ことに素晴らしくて
      鳥小屋をじっと見つめるお兄さんのかたちに馴染んだ金網のくぼみや
      仏壇に並んだ、色とりどりのことりのブローチや
      メジロの鳥籠を抱きしめて横たわる小鳥の小父さんの姿が浮かんできて
      愛おしくて、切なくて、また涙が零れました。
      2013/01/31
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます。
      「時空をこえてtakanatsuさんとうんうん。と頷きながら握手できたような気がしました。」
      ...
      まろんさん、コメントありがとうございます。
      「時空をこえてtakanatsuさんとうんうん。と頷きながら握手できたような気がしました。」
      ありがとうございます!
      私もレビュを書き終えてからもう一度まろんさんの書かれたレビュを読んで、本当にその通り!と何度も頷いてました。
      特に小父さんの魂がお兄さんの待つ空に近づくようというところを読んで、すごくすごく嬉しくなりました。
      私も救われた思いでした。
      2013/01/31
  • 今日は、図書館で1日をフルで過ごそうと思い、目が留まったのがこの本。

    優しさ伝わる文面だが、少々眠り落ちしそうでした。

    弟と小鳥語?しか話せないという兄との兄弟ストーリー。
    小鳥語とはなんじゃ?と思いつつ。
    現代でいう、何かしらの障害の持ち主なのか。

    幼少期から弟が死ぬまでの過ごした出来事を淡々と述べている。
    大きな発展もなく、然程ワクワク感はないのが、やや退屈してしまう。
    兄の独特な自由感が、野生の鳥と同調している。

    小川さん、他にも本を出版されているので、そちらも読んでみたい。

  • もう20年近く前のことになるのか、著者は私の家から5キロほどの近くに住んでいた。そのことを知ったのは、彼女がそこから居なくなる直前だったと思う。私は偶然、彼女が住んでいた当時地域で1番のマンモス団地へ、配達業務で毎日通っていた。そして芥川賞候補になった作家が、私が配達している棟の何階かに住んでいる事を聞くことになる。賞を逃した作品は当時書店にうず高く積まれていたが、私は文芸書は読まないので、興味はなかった。しかし、営業の一環として棟の奥さんには顧客の可能性は聞いたと思う。
    どう答えてくれたのかは記憶にない。しかし、毎週配達の度に降りてくる奥様たちとは一線を画しているという印象は持った。私は棟を見上げながら、そのさらに上を飛ぶ何かの鳥の声を聞いた気がした。その後、彼女は芥川賞を獲り、何時の間にかその団地から消えていた。
    著者の作品を読むのは、さらにその10年後になる。

    次の水曜日、食卓の上にボーボーはなかった。
    「小鳥のブローチは愛の歌を歌えなかった」
    と、お兄さんは言った。誰に向かってというのでもなく、ただ言葉を宙に浮かべるようにして、小声で言った。
    「そういう小鳥もいる。小屋の片隅で、いつまでも歌えないままでいる小鳥」(70p)

    小鳥の小屋の小声をずっと聴き続けているかの様な読者である私には、お兄さんの「失恋」は哀しい。私は遠い日の終わった「片想い」を思い出す。

    「それにしても、世の中に、こんなにもたくさん鳥にまつわる本があったなんて……。私が気づかない場所に、こっそり鳥は隠れているものなんですね。私の目に届かない空の高いところを、鳥たちが飛んでゆくのと同じですね」(112p)

    図書館司書のこの言葉は、彼女に恋をしている小鳥の叔父さんにとってもだが、私の片想いの淋しい記憶にとっても、何よりもの宝物だ。

    人は独りで生きていける。それは誰の力も借りないで、ということじゃない。そうではなくて、誰の目にも止まらない処で鳴くことはできるのである。けれども、その密かな鳴き声をじっと聞いてくれる人がいることはなんて嬉しいことなのだろう。

    私はこの厳しかった冬に、たまたま日中によく街路樹のある道を通る様になった。そうすると、今まで気がつかなかった小鳥たちが見えて来た。鶯色のまん丸い小鳥がいたので、「今年初めての鶯を見ました。まだ鳴かないようです」なんてFacebookに書いたりしたが、あとでよく調べるとメジロだったりした。雀よりも少し大きくて、茶色い羽根を持った小鳥や、橙色の嘴を持った小鳥、曇った空に溶け込んでしまいそうな大きめな小鳥、様々な小鳥が驚くほどに山にいかなくても我々のすぐそばに、住んでいるのである。名前が未だにわからない。けれども、町の片隅に彼らは生きているのである。

    でも、出来ることならば、小鳥の叔父さんの様に、生涯一羽でいいから「ことり」を救いたいな。
    2013年2月14日読了

  • 文学系出の素養なんでしょうかね。
    柔らかくスッと染み渡る文章。
    いろんな音を綺麗に表現。ある意味衝撃的でした。

     サハ民俗をちょっと思い出しました。もっとうまく歌うんでしょうか
    https://x.com/i/status/2003618002286313774

    両親の苦しみを思ったり
    いろいろちりばめられているけれどやはり印象的なのは音だ。
    その生活には切なさや侘び寂びが根底にあって、その日常の静かな環境音中で、ひときわ鳥の美しい声が響いてくる。救いのように。

     鈴虫やコオロギの声も私モ好きですが、けれどなんの日の目も見ない独り言を言うだけの虫箱は残酷だと思いました。一所懸命孤独に求愛の声を上げているのに、何故かそこに安らぎを感じるのは人間のエゴなのでしょうか

     狭い人間関係の中で訪れる出来事におじさんはおじさんの世界線で生きているのに、心を痛めて感傷的になったりしたけれど、自分自身が求愛の歌を歌ってこなかった事を少し淋しく思いながらもメジロに救われたのではと思う。
    フィナーレは冒頭からのモヤモヤしたメジロの件も伏線を回収しつつ。
    自然と野鳥のあるべき美しさで満ちる。それでも私基準では物淋しさが残る。


    響きのよいホールにいるような文章が紡ぐ音が心地よく
    自分の心や時間にゆとりがある時、読みたい本。


     そろそろ春の気配もする中、耳を澄ましたくなります

  • 孤独な中の静寂さに、暖かな鼓動がいつまでも小さく語りかける、奥深く心に余韻を残す。
    見事な結末に小川さんマジックを感じる作品。

  • 小川洋子さんの描く世界が大好きです。
    本書も小川さんの小説らしい遠慮深さと慎ましさを存分に堪能できます。

    主人公は「小鳥の小父さん」と呼ばれている老人です。
    鳥籠をかかえた小鳥の小父さんの遺体が見つかったところから、物語は始まります。
    小鳥のさえずりのようなポーポー語を話す兄との生活、儀式のような幼稚園の鳥小屋掃除、図書館で芽生えた淡い想い・・・。
    この物語は小鳥の小父さんの生涯そのものなのです。

    読んでいる途中に思い出したのは、小川洋子さんと岡ノ谷一夫先生との対談が収録された『言葉の誕生を科学する』です。
    さえずり起源論などの興味深いお話が種となり、『ことり』で美しく開花したように感じました。

    ひっそりとひっそりと生きた命を、小川さんがそうっと掬い上げ、大切に大切に織り上げた。
    そんな祈りのような物語なのです。

  • 小鳥をこよなく愛し、鳥たちからも愛された兄弟。「ボーボー語」(←鳥と会話が出来るらしい)しか話せない兄との二人だけの暮らし、その兄が他界してからは、ゲストハウスの管理人の傍ら、幼稚園の鳥小屋の世話に勤しみ、あらゆる小鳥関係の書物を読むために図書館に通い、ほとんどの日常必要品を調達できる子供の頃からの一商店に通う。これが彼のテリトリー、生きている世界だった。
    「鳥籠は小鳥を閉じ込めるための籠ではありません。小鳥に相応しい小さい自由を与えるための籠です」鳥かごの定義が、彼が愛読する本の中ででてくるのだが、思えば、小父さんの暮らしそのものを象徴しているかのようだと気づく。司書によせた淡い感情も、鈴虫の老人との交流も、入れ替わる園長先生や子供達も、皆、彼の前を横切っていくだけ。彼の生活は乱されることなく、ある秩序をもって密やかに繰り返されてきた。
    すくい取った「孤独の中の安らぎ」を見事に表現した作品だと思った。終盤、傷ついためじろのヒナを看病し、美しい鳴き声を奏でられるように小父さんが繰り返し鳴き声を教え導いていき、それが実っていったくだりは、濃密で、何とも言えない心地よさに包まれる箇所だった。
    小鳥とお兄さんと、小父さん。慎ましやかな静かな生涯を通して、自分らしく「生きる」ことの意味を考えさせられる作品。

  • その人の人生の幸福度や充実度はその人にしか判断できないものなのだろう。

    惹かれ合い、家庭を持ち、家族や友人に恵まれて一生を終えることを分かりやすい「幸せ」と呼ぶのであれば、小鳥の小父さんの一生は「不幸」だ。
    自分の殻に閉じこもり家族と関わろうとしない父、突然「ポーポー語」を喋り出し小鳥に異常な執着を見せる兄、けして子供を否定せず優しいが最後まで「ポーポー語」を理解できなかった母。ポーポー語の唯一の理解者として、いつも兄の傍らにいた彼は両親の死後もひっそりと兄に寄り添い続けた。

    無粋を承知で言うならお兄さんはきっとサヴァン症候群であろうし、他者との交流を避け鳥籠のような狭い世界に閉じこもり、ただ小鳥の世話に明け暮れる小鳥の小父さんも変わり者だろう。ポーポーや湿布薬を買いに青空薬局へ通い、図書館司書の女性に淡い想いを抱き、虫箱の老人に引き込まれ・・・出会いはあるものの、孤独なまま鳥籠を抱いて死んでいく。でも彼の人生を哀れむことはない。小鳥のように小さく脆く危うく、それでもしっかりとあたたかな時間がそこには流れていたし、彼はきっと幸せだったから。

    並行して読み進めていたのが村上由佳さんの「星々の舟」で、家族を扱ったという意味では同ジャンルなのだけれど、あちらが濃密な血の重さと危うさを感じさせるのに対し、こちらは淡々と穏やかなのに危うさを感じるような作品だった。

  • ことり

    ことりの言葉しか話せないお兄さんとことりの小父さんと呼ばれた弟の物語。
    小川さんの物語特有の静かな中に暗くて固いものが際立つ感じがこの物語にも色濃く出ています。
    お兄さんを亡くしてからほとんど他の人と関わりを持たなかったことりの小父さんにも、虫箱の老人との交流や図書館の司書への淡い恋、めじろの鳴き声のコンテストを行う男など、好むと好まざるとに関わらず、起伏があり、それらのイベントを丁寧に追っていきます。
    「鳥かごは鳥を閉じ込めるためのものではなく、鳥に適切な自由を与えるためのものです」 ある鳥かごメーカーの社史の中のこの言葉こそが、この物語の主題の気がします。
    「鳥こそが効率性という観点から見ると一番進化した生き物だ」という主張を読んだことがありますが、そうかもしれません。

    竹蔵

  • 日常と非日常の隙間にひっそり佇む、美しい文章で綴られた、
    静かな世界観が相変わらず心地いい。

    淡々と物語は進むのだけれど、そこには悲しみや寂しさや喜びが、
    しっかり詰まっている。

    毎日決まった手順で子供達の鳥小屋を綺麗に掃除する、
    小鳥の小父さん。
    ある日、小父さんはメジロの入った鳥籠を抱えたまま、
    穏やかな顔で亡くなった。

    そんな小父さんの小さな世界を、ポーポー語を話す兄、
    図書館の司書など様々な人との関わりの中で、
    静かに少しずつ知っていく。

    最後まで読み進めたところで、冒頭のシーンが印象的によみがえる。

    あぁ良かった。
    少し温かな気持ちで読了。

  • 小さくて、静かな、静かな世界。
    そこに聞こえるのは鳥のさえずり。
    そして鳥たちと心つたえ合う兄弟の話す独特な言葉。
    日々の生活に追われている人々には、
    決してきこえはしない。
    彼らにとって、自分達の言葉が、
    世間のほとんどの人々に伝わらないことは不幸なのか。
    自分だけの、自分しかわからない、
    世界を持つことって幸せなのか。
    私には答えが見つからない。

    ミチル商会の鳥籠。
    「鳥籠は小鳥を閉じ込めるための籠ではありません。
    小鳥に相応しい小さな自由を与えるための籠です。」
    その鳥籠の中にいるように、
    自分に相応しい小さな自由の中で生きた
    小父さんの一生。

    それは幸せなものだったのか。
    世間の尺度で測ったらそうではないと
    判断されてしまうかもしれないが、
    自分は幸せでもあったと思いたい。

    せつなくて、少しだけ残酷、
    しかし美しい大人の童話。

  • 小川洋子さんの文章はやっぱり美しかったけど、このお話は私にはつらすぎた。
    でも、おじさんの最期に救いがあってよかった。

  • 他に誰も話すことのできない言葉でしか話せないお兄さんと
    世界でたった一人だけお兄さんの話す言葉が理解できる弟。
    両親を早くに亡くし、肩寄せ合って生きる二人の暮らしは
    ささやかだけれど、幸福と信頼に満ちた静かな日々でした。
    ほんの少しの大切な物たち
    (薬局で買うキャンディー、静かに流れるラジオ、毎日庭にやってくる小鳥)
    に囲まれ、訪ねて来る人もめったにいない暮らしが
    どうしてこんなにも幸せそうで満ち足りて見えるのか。。。
    たくさんの物に囲まれ、即座に世界中の情報が手に入る暮らしをしていても
    自分の本当に大切な物もわからず、心の通じ合う会話さえできない人が多い現代で
    自分たちが作り上げた小さな小さな世界の中で
    他人と比較せず、欲張らず、清らかに生きる兄弟の姿に感動さえ覚えるのです。

    日々大量に流されてくる情報をシャットアウトし
    自分に必要最小限のものと本当に大切な人だけに囲まれて暮らす。。。
    憧れるけど、俗物の塊のようなワタシには無理だろうなぁ・・・(涙)

  • 身寄りのない「小鳥の小父さん」が死に、遺体と遺品が処理される場面から物語は始まります。
    そして、なぜ、小鳥の小父さんと呼ばれるようになったのか、その生涯が綴られていきます。

    小鳥が好きで、弟にしか理解できない言語を生み出し操る兄との日々。
    兄を失ってから、いくつかのささやかな出会いと別れを経て年を取って行く日々。
    小鳥への愛情やふと蘇る思い出の温かさ、切なさ。

    この作家は、社会の片隅の、縁の方でこぼれ落ちそうな世界を描くのが本当にうまい。
    その世界はささやかで、ひっそりとしていて、壊れそうなのだけれど、実は、何者にも侵すことの出来ない強固なものなのだと教えてくれるのです。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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