ことり

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1795
レビュー : 295
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510228

作品紹介・あらすじ

小川洋子、12年ぶり、待望の書き下ろし長編小説!

親や他人とは会話ができないけれど、小鳥のさえずりはよく理解する兄、
そして彼の言葉をただ一人世の中でわかるのは弟だけだ。
小鳥たちは兄弟の前で、競って歌を披露し、息継ぎを惜しむくらいに、一所懸命歌った。
兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、人間の言葉を話せない。
青空薬局で棒つきキャンディーを買って、その包み紙で小鳥ブローチをつくって過ごす。
やがて両親は死に、兄は幼稚園の鳥小屋を見学しながら、そのさえずりを聴く。
弟は働きながら、夜はラジオに耳を傾ける。
静かで、温かな二人の生活が続いた。小さな、ひたむきな幸せ……。
そして時は過ぎゆき、兄は亡くなり、 弟は図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて持ち歩く老人、文鳥の耳飾りの少女と出会いながら、「小鳥の小父さん」になってゆく。
世の片隅で、小鳥たちの声だけに耳を澄ます兄弟のつつしみ深い一生が、やさしくせつない会心作。

感想・レビュー・書評

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  • 私にはあわない。

  • よ、よくわからない…

  • 万人に伝わらない言葉に意味はあるのか。
    ポーポー語はお兄さんと小鳥のおじさんの間でしか伝わらない。
    だけどその言葉は美しい響きを孕んでいる。
    普段使っている当たり前とされる言葉も全面的に信用されるものではない。
    だからこそ言葉を使ったコミュニケーションは苦悩が伴う。
    そして言葉を使ったからこそ言葉を超えたコミュニケーションが成立する瞬間もある。
    言葉の揺るがない美しさを感じる切ない話だった。

  • 細部の描写を頑張ろうとしてるが、どうしても村上春樹と比較して世界観の構築に乱れが見えてしまう。言葉選びひとつで静謐な世界に少し水を差すようなところが何箇所か見受けられて気になる。まあこれは感性が合わないのかもしれないけど。

    ユーモアが足りないのかしんどくなる。『博士の数式』では哀感の底に笑いがあったように思うが…

    兄に感情移入しづらいのが前半の苦しさ。兄の死以降後半は比較的健常者な小父さんが中心となるのでまだついていける。


    救われなさが基調にある。そこがハマればいい作品だと思う。小父さんが司書と距離を詰めようとする場面は切なくもあるが見苦しい。園長や司書、兄といった大切な人は去っていき、おじさんも死ぬ。
    暗い作品は得てして不健康な心に寄り添うやさしさを持つが、この本はそういうのでもなく、こころが健康な時に読んだほうがいいと思ったよ

    あらゆる描写が派手に飾ろうとしてない、地に足のついた、悪く言えば地味に描くことに終始する。魅力的な旅行計画を立てても行くこともない。ボーボーキャンディーも美味しそうには書かれていない。ことりも可愛らしさよりは糞や抜け落ちた羽毛を逃さず書き込むことに力を注いでいるように見える。決して楽しませようというサービス精神はなく、質実剛健。

    頭痛で頭のこめかみに小さく切った湿布を貼るとか、病気の描写はすごく生き生きしてた。少しずつ弱ってパタッと死ぬ感じなんかよくかけてる気がする。小川洋子自身の体調も心配になるくらい。

    父の不在という主題?崩壊する父の離れ。小父さんという表記も気になる。
    ポストモダンの大きな物語の崩壊という流れで解釈すると、大きな父ではなく小さな父が自分の生活の届く範囲で鳥小屋を掃除したり怪我したメジロの幼鳥を救ったりと小さな善を積み重ねていくことが世界をよくしていくことにつながるということかな??

  • 落ち着くというか、しっくり来るというか、時の流れを感じさせる本。誰か映画化してくれないかな。
    小川洋子の本で、外れはないような気がする、何で読みやすいのか、今度分析してみるかな。

  •  小鳥のおじさんの一生は他人から見れば、孤独で冴えない人生かもしれないけれど、兄と小鳥に寄り添った静かで満ち足りたものであったのでしょう。―あぁ「慈しむ」とはこういう事なのだ。強く、思う。

  • 2017.03.27 朝活読書サロン

  • 著者の真骨頂といえる作品ではないだろうか。

  • 兄と一緒に暮らす弟。その兄は小鳥が話すような言葉を話し始め、弟にしかその言葉は分からなかった。母が死に、父が死に、二人で暮らすようになったが、その兄も死んだ。弟はゲストハウスの管理人をして暮らしてきた。兄が大切にしてきた小鳥達を弟もまた大事にする。小鳥とことり。そんな意味を併せ持っていたのか。静かで、でも引き込まれていくような物語である。

  • 単調な日々を繊細すぎる筆遣いで描いた佳品。鳥の描写が優れ、通例小鳥に想定されるキャラクター性以上に生き生きと描かれる。
    同じくらい人間も描かれている。鳥の大きさの割に人間はキャラクターに集約しうる程度に少し小さく設計されているような印象だった。登場する人物は普通か、少し変だがどちらも大きく逸脱はしていない。例外は小鳥の小父さんのお兄さんの描写か。
    美しいものばかりで終わらせるでもなく、違法な集会や、不審者扱いされているような描写等の嫌なことも上手くオブラートにくるんで提示している。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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