戸越銀座でつかまえて

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 233
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510464

作品紹介・あらすじ

【文学/随筆】自由に生きることを追い求めてきたけれど、自由すぎることに少し疲れた……。40代、未婚、子なしの著者が、「一人暮らし」を止め、実家の戸越銀座に出戻ることを決めてからの5年間を綴った葛藤の記録。自らの来し方を振り返る正直な筆致は、女性の圧倒的な共感を呼ぶこと必至。

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい作家さん発見、私の好きなエッセイストの共通点は、女性、独身、実家住まい、ご両親と同居、そして40歳前後。まるで益田ミリさんの漫画の主人公のお姉さんみたい。そこそこ我が意見もいいながら、完全に無視するまで至らぬ世間様。そのおばはんんとお嬢の間で揺れる心、そこがおもしろい。

    この星野博美さんの「戸越銀座でつかまえて」、おもしろおます。最近に近づきながらあと二冊ほど早速読みまっせ。

  • タイトルと表紙のイメージとはだいぶかけ離れた内容だという評をどこかで読んで興味をもったがたしかにそのとおりだった。著者の感覚には非常に共感する部分と、あまり共感できないというかかなり好きじゃないところとがあった。もうちょっと戸越銀座について知ることができたらよかったなぁ。

  • 本著を書くに至った「まえがき」がすごい。このまえがきが無かったら著者の他の本を知らない人はあまり手にしないだろう。
    戸越銀座で生まれ、成人してからは中央線沿線で暮らしていたフリーランスのライターである著者が、武蔵野の地で暮らしにくくなり、ペットロスのショックから「故郷」戸越銀座の両親のもとで暮らして行く日々を綴ったある意味「リハビリ」の日々のエッセイ。
    城南・城西地区ではことさら下町度の高い品川区生まれの著者にとって、「おしゃれな街」に変貌していく武蔵野の地はだんだん「居づらい街」になって行ったのだろう。
    世田谷・目黒暮らしの長い私から見れば中央線沿線も下町度の高い街なんだけれどね。

  • 戸越銀座でつかまえて

    著者:星野博美
    発行:2013年9月30日
    朝日新聞出版

    何年か前、仕事でざっと読み流した本。昨年、同じ著者の「世界は五反田から始まった」を読んだら面白かった(なんと大佛次郎賞を受賞)ので、改めてこの本をじっくり読んでみた。週刊朝日2008年7月1日号~2009年9月11日号までの連載を大幅改稿したとなっているが、2010年の東日本大震災のことも書かれているので、改稿どころか大幅加筆も。あとがきを読むと、単行本化への改稿は、ずっと鉛筆が止まっていたが、2013年になってやっとやれる気になって連載原稿の半分を捨てたとのことだった。

    品川区の戸越銀座に生まれ育った著者は、18歳に実家を出て東京都内の何カ所かで1人暮らしをしてきたが、2007年1月に実家へ戻った。1966年生まれなので、40歳すぎぐらいの計算になる。66年は丙午(ひのえうま)で生まれた人が少なく、同年生まれは小泉今日子(誕生日も同じ)、中森明菜、吉川晃司、尾崎豊、山本昌(中日ドラゴンズ)、古田敦也(ヤクルト)などだそうだ。

    戻った翌年から連載が始まったエッセイなので、戸越銀座にまつわる内容もあるにはあるが、全体を通してそんなに多くはなく、人間関係にまつわる話、子共の頃の家族(姉妹)の話、そして、飼い猫に関する話などを中心に、楽しくて深みのあるエッセイを展開している。去年の「五反田」では、自身をはっきり左寄りの人間だと言っているが、この頃はまだそういう言い方をしていない。

    実家に戻る動機付けとなった大きな要因として、飼い猫のことをあげている。2004年に「しろ」が死んだショックが大きく、翌年には実家の「たま」が死んだ。そして、2007年に「しろ」が生んだ「ゆき」を連れて戸越銀座へと戻った。

    その飼い猫「ゆき」の話が興味深い。「ゆき」は晩年、てんかんを発症した。猫にてんかんは多いらしい。突然、症状が出て気を失うので心配になる。一番肝を冷やしたのは、ベランダで洗濯物を干していると、手摺りに飛び乗ってきたて、歩き始めた時に発作を起こした時。著者はとっさに右手を出して、地上に落ちてゆく「ゆき」の後ろ足を掴み、間一髪で難を逃れた。

    戸越商店街で最も印象に残った話は、ある惣菜屋のおばさんの話だった。著者が小学校の頃にやってきた「おばさん」だった。「新しいおばさんが入ったんだ」という印象があるので、彼女は店主ではなく、雇われとして35年ぐらい働いていることになる。途中、もっと割のいい仕事もあっただろうに、6畳にも満たない小さな店に立ち続けている。「すごい」としか言葉が見つからない。

    ********

    下記は有名な話。他の本にもよく書いている。
    日本全国「銀座」がつく場所は多いが、すべて東京の銀座を模したもの。ただし、唯一、戸越銀座だけ事情が違う。関東大震災で被災した時、銀座から戸越の人々が(瓦礫の)白レンガを譲り受けた。水はけの悪かった戸越の通りにそれを敷いた。それにちなんで戸越銀座とした。今も商店街の隅に白レンガがひっそりと展示してある。

    戸越銀座商店街と近くの武蔵小山商店街。戸越は安いものしかない。ちょっと贅沢をしたくても選択の余地がない。武蔵小山にはそれがある。しかし、戸越銀座が武蔵小山に勝てることが一つだけある。それは出身有名人の多さ。Char(開業医の息子)、星新一(星薬科大学創設者の息子)、梅宮辰夫(著者の小学校医、祖父の訪問看護医師で開業医の息子)。

  • 記録

  • ☆品川区の実家に戻って

  • 文学

  • 戸越銀座を舞台にした小説かと思ってたら、同地で生まれ育った著者が約20年ぶりに実家へ戻ってきてからの出来事や日々の雑感をつづったエッセイ集であった。最近、割とよく戸越銀座には行くので、もし著者がまだそこに住んでいるのであればどこかですれ違っているかも、と思うとちょっとだけうれしくなる感じがした。

  • とても好きな作家でも、エッセイなどでペット愛を語られるのが苦手だ。自分の子供のことを手放しでこういう風に愛を語ったら、アホかと思われる。子供ではなく、動物だからそれは構わないんだけれど、そうか〜?
    感情がダダ漏れになる。それが嫌だ。他にも思うことはあるが書かない。
    ま、ペット好きは多いから、需要も多いんだろう。

    好きな作家だから普段はその部分は我慢して読む。星野さんのものも今まではそうしてきた。
    今の私に寛容さがなくなってるのだ。私自身の問題だ。
    4章の途中で読むのをやめた。飛ばして5章に行けばいいのにね。

    読み切るつもりはないのに、この本棚に入れた2冊目

  • 「銭湯の女神」についで星野博美さん2冊目。橋口譲二さんのお弟子。読売新聞夕刊に連載していることから読んでみた。おもしろいと思う。次は「島に免許」を読んでみたい。

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著者プロフィール

1966年、戸越銀座生まれ。ノンフィクション作家、写真家。著書に『転がる香港に苔は生えない』(2000年、第32回大宅壮一ノンフィクション賞)、『コンニャク屋漂流記』(2011年、第2回いける本大賞、第63回読売文学賞随筆・紀行賞)、『戸越銀座でつかまえて』(2013年)、『みんな彗星を見ていた』(2015年)、『今日はヒョウ柄を着る日』(2017年)、『旅ごころはリュートに乗って』(2020年)など多数。

「2022年 『世界は五反田から始まった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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