悪医

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 358
レビュー : 70
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511256

感想・レビュー・書評

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  • 阪大卒の現役医師(在宅医療が専門のようです)が描き出す医療者と患者のズレ。

    がんを告知されても、抗がん剤が効かなくても、どこかに希望を見出したい患者と、せめて残された時間を心安らかに苦痛を少なく過ごして欲しい医師。

    生き延びたいがため、金儲け主義の悪質な病院に騙されたり、高額な新しい治療法にすがってみたり・・・「生」への執着のすさまじさと病気の残酷さ、エゴや僻み、異性への関心・・・

    現場で働いていると、先生方が一生懸命お仕事されていることも分かるし、ベテランであっても担当患者の死にショックを受けたり、それ以外の雑務にも追われ毎日疲弊していることも知っている。
    世間一般の人が思うほどには、医師というのは(潤っている開業医の先生のイメージが世間一般のイメージとすると)楽な仕事でもおいしいことばかりの仕事でもないと感じる。

    医療には限界がある。人にも寿命がある。
    でも、自分や大切な人がもし「告知」されてしまったら、「余命宣告」されてしまったら、、、どんな選択をするだろう。

    ちなみにこれは消化器外科の先生にお借りして読みました。

  • 怖い表紙だけど、すごくいい本でした。
    医師である久坂部さんだからこそ書ける、医師と患者の間にある深い溝。
    がんを宣告された患者はどこまでも治療を欲し、治療が最善ではないと知っている医者は治療よりも残された時間を有意義に使えという。どちらの言い分もよくわかるだけに辛く、でも希望を持てるラストだった。
    でもこうやって久坂部さんが小説にするということは、現実問題解決が難しい問題なのかもしれないな。

  • 医師の考えと患者さんの思いのすれ違いがテーマです。
    主人公は、52歳の男の患者さん。
    胃がんになり、肝臓に転移があることがわかりました。
    すでに進行がんです。
    もう一人の主人公の35歳の外科医がこの患者さんを診ていました。
    外科医は、患者さんにこれ以上治療はないと宣告しました。
    患者さんは、見捨てられたとショックをうけ、外科医をどんでもない悪医としてうらみます。
    そしてなんとか治療をしてくれるところはないかとドクターショッピング(医師を探しまわること)を繰り返します。
    これ以上は、ネタバレになり久坂部氏から怒られそうなので書きません。
    最後は、どのようになるか読みながら想像していましたが、こんな手があったのかという終わり方でした。

    さすが作家になる方は、ちょっと深いです。
    ぜひ読んでみてください。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11870874807.html

  • 末期ガンの患者小仲に「これ以上治療法がない。」と余命を申告した森川医師の両者の苦悩。患者は「俺に死ねというこたか?」医師は「苦しい治療をするより有意義な時間を・・」
    小仲は外来を飛び出し他の医療機関にかかるが、そこは診療報酬のために無駄に患者を苦しめ治療と称して実験台にされていることを看護師から知らされる。そうこうするうちに病状は進みホスピスで最期を遂げる。
    死ぬ前に小仲は森川のテレビ出演を見て、自分のことを覚えていてくれ、悪医と思い込んでいたのは本当は患者思いの医師であったのだと誤解をとく。
    もし、自分があるいは家族が末期ガンで余命を申告されたらどうするか?抗癌剤の副作用に苦しんでまで生に固執するか、素直に受け入れるか考えさせられた。

  • これ読んですっかりガンに詳しくなった気分。
    ここに出てくる患者があまりにも最後まで治療にこだわってるのが
    私的には?で、私だったら抗がん剤で苦しんでまで多少長生きしても
    うれしくないけどなぁ。
    ま、実際なってみないとわからないのかな。

    それにしても途中主人公が苦しむ描写がすごくて
    がん、コワ~ってぞっとした。
    でもお医者さんも人間でいろいろ悩んで苦しんでいるのが
    分かりなんだか救われる思いでした。

  • 治療がむしろ命を縮めるとしてこれ以上治療の余地がないと理屈で告げる医師と、死ねと言われたも同然だと反発し治療という希望に縋り請うがん患者。がんや副作用の描写が真に迫る。終盤は患者と共に穏やかになるようだった。患者は医師に人間扱いされていないと怒るけれど、患者側の医師の扱いも万能で当然みたいで苦しい。

  • 医師側の意見も頭では分かる。
    が、いざ自分の周りであれば、患者側のように考えてしまいそうである。
    重たいが最後のお陰で読了後辛くない。
    延命治療を望まないと宣言している家族に読まされたので、余計に重たい。

  • 読み終わってすぐ、また読もうと思った。

  • がんが再発し転移も見つかった50代患者と、主治医だった外科医との、二人の視点が交互に行き来する形で話が進みます。

    治療の余地がない、ということを軸に、それぞれの思いが綴られており、作者が医者でもあることから、おそらくとてもリアリティーに近いことがたくさん含まれているのだろう。特に医師パートはそうなんじゃないかと思いました。

    外科医はもちろんのこと、患者の前にも様々な医師が現れます。何が悪い医者で、そうじゃないのか。

  • 3.5
    52才の印刷工・小仲は早期と言われていた胃癌の手術後、再発し肝臓への転移が見つかる。数種類の抗ガン剤を試すも効果を得られず、主治医森川にもはや治療法がない事を告げられる。
    それは死ねという事なのか?
    怒りから森川の前を走り去った小仲に、治療法を求めて、あてのない放浪が始まる。

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著者プロフィール

1955年大阪府生まれ。小説家・医師。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、『廃用身』(幻冬舎)で2003年に作家デビュー。近著に『院長選挙』(幻冬舎)、『カネと共に去りぬ』(新潮社)がある。

「2018年 『祝葬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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