悪医

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511256

感想・レビュー・書評

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  • 阪大卒の現役医師(在宅医療が専門のようです)が描き出す医療者と患者のズレ。

    がんを告知されても、抗がん剤が効かなくても、どこかに希望を見出したい患者と、せめて残された時間を心安らかに苦痛を少なく過ごして欲しい医師。

    生き延びたいがため、金儲け主義の悪質な病院に騙されたり、高額な新しい治療法にすがってみたり・・・「生」への執着のすさまじさと病気の残酷さ、エゴや僻み、異性への関心・・・

    現場で働いていると、先生方が一生懸命お仕事されていることも分かるし、ベテランであっても担当患者の死にショックを受けたり、それ以外の雑務にも追われ毎日疲弊していることも知っている。
    世間一般の人が思うほどには、医師というのは(潤っている開業医の先生のイメージが世間一般のイメージとすると)楽な仕事でもおいしいことばかりの仕事でもないと感じる。

    医療には限界がある。人にも寿命がある。
    でも、自分や大切な人がもし「告知」されてしまったら、「余命宣告」されてしまったら、、、どんな選択をするだろう。

    ちなみにこれは消化器外科の先生にお借りして読みました。

  • 怖い表紙だけど、すごくいい本でした。
    医師である久坂部さんだからこそ書ける、医師と患者の間にある深い溝。
    がんを宣告された患者はどこまでも治療を欲し、治療が最善ではないと知っている医者は治療よりも残された時間を有意義に使えという。どちらの言い分もよくわかるだけに辛く、でも希望を持てるラストだった。
    でもこうやって久坂部さんが小説にするということは、現実問題解決が難しい問題なのかもしれないな。

  • 医師の考えと患者さんの思いのすれ違いがテーマです。
    主人公は、52歳の男の患者さん。
    胃がんになり、肝臓に転移があることがわかりました。
    すでに進行がんです。
    もう一人の主人公の35歳の外科医がこの患者さんを診ていました。
    外科医は、患者さんにこれ以上治療はないと宣告しました。
    患者さんは、見捨てられたとショックをうけ、外科医をどんでもない悪医としてうらみます。
    そしてなんとか治療をしてくれるところはないかとドクターショッピング(医師を探しまわること)を繰り返します。
    これ以上は、ネタバレになり久坂部氏から怒られそうなので書きません。
    最後は、どのようになるか読みながら想像していましたが、こんな手があったのかという終わり方でした。

    さすが作家になる方は、ちょっと深いです。
    ぜひ読んでみてください。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11870874807.html

  • 末期ガンの患者小仲に「これ以上治療法がない。」と余命を申告した森川医師の両者の苦悩。患者は「俺に死ねというこたか?」医師は「苦しい治療をするより有意義な時間を・・」
    小仲は外来を飛び出し他の医療機関にかかるが、そこは診療報酬のために無駄に患者を苦しめ治療と称して実験台にされていることを看護師から知らされる。そうこうするうちに病状は進みホスピスで最期を遂げる。
    死ぬ前に小仲は森川のテレビ出演を見て、自分のことを覚えていてくれ、悪医と思い込んでいたのは本当は患者思いの医師であったのだと誤解をとく。
    もし、自分があるいは家族が末期ガンで余命を申告されたらどうするか?抗癌剤の副作用に苦しんでまで生に固執するか、素直に受け入れるか考えさせられた。

  • これ読んですっかりガンに詳しくなった気分。
    ここに出てくる患者があまりにも最後まで治療にこだわってるのが
    私的には?で、私だったら抗がん剤で苦しんでまで多少長生きしても
    うれしくないけどなぁ。
    ま、実際なってみないとわからないのかな。

    それにしても途中主人公が苦しむ描写がすごくて
    がん、コワ~ってぞっとした。
    でもお医者さんも人間でいろいろ悩んで苦しんでいるのが
    分かりなんだか救われる思いでした。

  • さすがに 現役のお医者さん
    医師としての ものの見方、考え方
    そして対象となる
    患者、それも末期の癌患者の側からの
    見方、感じ方が
    ものすごくリアルに描かれていく

    ややもすれば
    避けて通りたい
    「癌の告知」にも
    きちんととらまえて
    ーほんとうに このような場面が
     あったのだろうな
    と思わせられる説得力が物語をフィクション以上のものに
    伝わってくるものがある

    ラストの描き方に
    共感を覚える

  • 読後に「保険の窓口」の前で、がん保険のパンフレットを見てたら、店員さんに「何月までにご希望ですか?」と聞かれた。興味本位でスミマセン!

    抗がん剤の副作用、とても辛いものとは聞くけど、具体的にどういうものか考えたことがなかった。描写が生々しくて、凄まじく強烈だった。つい先日、食あたりで下痢と嘔吐を繰り返したんだけど、あれが継続的に起こるなんて、考えただけでも気が滅入る。
    ガン闘病中の方々にとって、少しでも楽な治療法が早く見つかりますように。

  • これが本当の今のがん医療の実際だと思う。致死率は100%。自分だって死ぬ。でも、死ぬまでの過程が出来るだけ良い時間であって欲しい。全ての人にとって。

  • 三鷹や埼玉、などの病院と
    消化器外科の話、
    なんだか身近でおもしろかったー。
    あるあるな話だろう。告知、患者・家族が受けるショック、医療者とのギャップ。

    どこまでも治る可能性を信じて治療を追い求めるか、
    ガンにかかるも運命と、ある程度の治療を終えたらいかに残りの寿命をまっとうするかと考えるか。

    悪医は、誰か。

    某医に言わせればきっと、西洋医学の医者なんかみんな悪医。
    利益重視、患者の健康なんかこれっぽっちも考えていやしない。

    西洋医学だけでは病気は治らないし、防げない。
    市民の食や環境や考え方が変わらなければ健康はない。

    そもそもそうだろう。

    そのうえさらに、自分の寿命を縮めようとしてくる誰かにひっかかるな!
    自分で知識を取りに行く!自分の健康は自分で守る。

    悪医は、それとわかるし、かからないから大丈夫。
    実はみんな世の医者はけっこう悪いんだと思う。

  • 「もうこれ以上は抗がん剤治療の余地はありません」と若手の医師から宣告されてしまった52歳で独身の末期の胃がん患者。その後の彼の経過と苦悩。そして宣告した医師の苦悩。医師は抗がん剤の効果と副作用を勘案し、医学的判断から最良の選択をしたが、患者にとって、医師から見放されることは、最悪の状況でもある。患者によってはたとえ副作用が酷くても最後まで治療を辞めたくない人がもいる。どこまで患者に寄り添いながら最善の判断ができるのであろうか。。。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。作家・医師。2003年、小説『廃用身』でデビュー。小説に、『破裂』『無痛』『悪意』『芥川症』『いつか、あなたも』『介護士K』、エッセイに『大学病院のウラは墓場』『日本人の死に時』など、医療分野を中心に執筆。

「2019年 『黒医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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