街場の五輪論

  • 朝日新聞出版
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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511485

作品紹介・あらすじ

【文学/その他】東京招致で3兆円の経済効果が喧伝されるが、「被災地はそれどころじゃない」など違和感を感じる人は多い。「汚染水は完全にコントロールされている」といった発言は思考停止そのものではないのか。7年後を見据えつつ今を直視する五輪鼎談。

感想・レビュー・書評

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    請求記号:780.69||Ma 16
    資料ID:W0189655

  • まずは私が2013年9月11日付で朝日新聞に投書した没の原稿

    私はオリンピックの開催地が東京に決まってからの世間の熱狂振りに一抹の不安を感じた。
    まず一つはオリンピックを体裁よく成功させたいと願う国や自治体が、この熱狂に便乗して町の景観や自然環境を蔑ろにしてでも施設や交通網の建設を強引に進めようとする不安である。実際に私達には国の記念碑的価値がある日本橋の頭上に高速道路の高架橋を平然と掛けた経歴がある。恐らく当時も反対意見はあっただろうが、大多数の賛成意見と今回のような世論の勢いに屈したのではなかろうか。そんな二の舞だけは繰り返してはならない。
    もう一つは私達がお祭りムードに酔いしれる間に、私達には不利となる様々な法律や政策の改正が密やかに推し進められて行くかもしれない不安である。私はこれほどまでに安倍さんのシナリオ通りに物事が進行している現状が怖くて仕方がない。まるでミヒャエル・エンデの童話の世界に迷い込んだような気分だ。大抵その後は知らぬ間に相手の術中にハマっていくのが物語の流れである。ならばそうならないためにはどうするか。それには相手の動きを注意深く観察し、国の繁栄などと引き換えに私達のもっと大事な何か、例えば良心を決して相手に譲り渡してはならない。それだけはどうか皆さんも忘れないで戴きたい。私は切にそう祈る。

    表題の本を読み、その当時は五輪に異を唱えるだけで非国民と罵られるような風潮にあるとは思わなかった。
    ※その当時は佐渡が終わったばかりでその余韻に浸りきりとなり、世間の空気なんてどうでも良かった。

    上の投稿も、文章力云々はさておきそれ以前に論旨で採用されることはなかったのだと思うと何となく安堵した。

    しかし、それにしても…

    三氏のような意見がなぜもっと一般意思にならないのかが、私はどうしても理解できない…。
    それとも、絶対に主流にはなれない(なってはならない)、しかし大変動が起こった時にはレミングの群れとは逆方向に逃げて生き残り、結果的に種の保存に役立つだけの発想なのだろうか…

  • 読んでいて、古代ローマ帝国が、占領した各地にコロッセオを建てたことを思い出した。

  • 反対意見を押しつぶして、最後には何が残るんだろう。

  • よかった、自分だけじゃない。オリンピック嫌いな人間は。

  • スポーツの祭典として、開催できるならオリンピックはいい機会だよねー
    出る方も見る方も。

    いろんな思惑が入ってくるからなんかまずいことになるんだよね。

  • 東京五輪決定後に反対派の人達が集まってウダウダ話してるって内容。
    サクサク読めました。
    今回の東京五輪はいろいろきな臭いものがあったので最初から反対なのですが、
    これからも反対の姿勢を貫き通そうと思います。
    一番最後の平川さんの発言を引用
    「実際のところ、目上の人間には逆らわず、あまり深くはものを考えず、素直で、人情に厚く、涙もろくて、熱しやすい、ちょいワルな若者たちは最も利用しやすいんですよ。
    (中略)
    体育会系を企業が好むのも同じだけれど、政権党というのも、いつもそういった若者に照準を合わせて分り易くて、シンプルなテーマをぶつけてくるわけですね。」
    ほんと、気をつけようと思いました。

  • メモ:62pくらいまで読了

  • オリンピック開催に異議をとなえることが憚られるような雰囲気、お国のために一丸となっているのになんで水をさすようなことを言うのかという雰囲気を感じて、よくよく必要性を考えることを自分自身が放棄しないよう気をつけないとと気付かせる本でした。

  • 東京オリンピックに異議を唱えるお三方による鼎談本。大変に面白かった。

    正直、私も今の東京でオリンピックを開催することには反対である。
    「それどころではないだろう?福島や東北に対してやるべきことがあるだろう?」と思うからである。福島や東北が復興した際に、復興した場所で開催するならば、諸手を挙げて賛成する。なぜ東京なのか?それが未だによく分からない。

    しかし、開催が決定してしまった以上、国民として、スポーツに関わるものとして、できれば成功してもらいたいと思っているし、協力できることがあるならしたいとも思っている。

    だけど、「他にやることがあるだろう?」という気持ちだけはずっと持ち続けていこうと思う。


    お三方の鼎談は、実に面白かった。コラムも。

    しかし、一番ズシっときたのは、平川克美さんの書かれた「エピローグ なぜわたしたちは、国民的祝祭に異を唱えるのか」だった。

    p184〜
    「オリンピックなんか、東京にいらない。
    わたしたちは、こう言ってきた。
    それでも、オリンピックが東京で開催されるのであれば、最低でも、それを戦争のプロパガンダや経済浮揚の道具ではない、スポーツの大会にしてほしいと思う。

    (中略)

    この老人の国の首都で行われるオリンピックは、発展途上で人口増大局面にある国で行われるオリンピックと同じというわけにはいかない。
    わたしの希望を言えば、2020年の東京オリンピックは、成熟国日本らしい、落ち着いた成熟都市のモデルケースになるようなオリンピックにしてもらいたいと思う。新しい競技場はいらない。使えるものは、補修し、基準に合わないものはその部分だけ補正して使えばいい。
    派手なセレモニーもいらない。
    そんな大会ならば、遂行する意味を認めても良い。
    でも、そうはならないんだろうな。
    そんな見識があれば、もともと今の東京にオリンピックなんか呼ばなかったわけだし。」

    まさしく、そのような、慎ましいオリンピックであってほしいと思う。少なくとも、東京以外の人が「東京でなにかやってるみたいだね」となってしまうような、東京だけのオリンピックにはなってもらいたくないし、オリンピック後の東京が廃墟のようになってしまうことも避けてもらいたい。

    将来の日本にとって、価値のあるものとなることを、願うしかない。

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プロフィール

東京大学フランス文学科卒業。武道家。凱風館館長。専門はフランス現代思想、ユダヤ文化論、映画論。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞。第三回伊丹十三賞受賞。

「2018年 『待場の読書論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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