ことり屋おけい探鳥双紙

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 159
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511812

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】幻の青いサギを追って行方知れずになった夫を待ちながら、小鳥を商う店「ことり屋」を切り盛りする女主人おけい。店に持ち込まれる奇妙な事件の数々と、江戸の四季の移ろい、人間模様を丁寧に描きだす。新進気鋭の女流作家による、最新連作時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 青く光る鷺を探しに出たまま音信不通になった夫を待ちながら、飼鳥屋を営むおけい。
    夫の声色を真似る九官鳥・月丸とともに「ことり屋」を守り続けて三年になる。
    鳥にまつわる不思議な出来事をおけいさんが解きほどく連作短編集。
    自殺か他殺かなんていう事件も出てくるので、日常系とはいえないのかもしれないけど、おけいさんの人柄や周りの人たちの優しさでほっこりしたトーンになっている。

    江戸時代に、鳥専門のペットショップのような飼鳥屋というお店や、鳥カフェといった趣の花鳥茶屋などがあったことに驚いた。飼鳥屋には白バタンと呼ばれる大型のオウムなどの洋鳥を扱うお店もあったり、茶屋の方は真鶴や孔雀までいたらしい。
    曲亭馬琴が鳥好きで、おけいさんのお店の常連客という役どころで出てくるのもおもしろかった。
    いつもむっとした顔をしている頑固爺なのに、実は一人になったおけいさんを気遣ってお店を覗きに来てくれるなんだか可愛らしい先生。
    そしてもう一人、おけいさんを気にして店を訪れるのが、北町奉行所の定町廻り同心の永瀬。

    おけいさんは強い女性という描かれ方ではなく、淋しさ弱さ、女一人の心細さを持ちながら必死に店を守る姿で描かれている。
    夫への熱い恋情を思い出したり、永瀬の穏やかさに安らぎを覚えたり、揺れる心模様にこちらもゆらゆら。

    六羽(六話)で、夫・羽吉の身に起こったことが判明し、同時に新たな謎が浮上。
    最終話の七羽へと続く。
    おけいさんの切なすぎる決断に「強えな、おめえは。」と応えるひと。
    淋しさ弱さを押し込めてきたおけいさんがどんな気持ちでその言葉を聞いたかを思い、胸が締め付けられる。
    九官鳥の月丸の「イマカエッタヨ」
    おけいさんが一番聞きたかった言葉。だけど聞けなかった言葉。
    その声色は……というところで切なさMAX。泣きました。
    「イマカエッタヨ」に込められた3年間の思いは、羽吉にもきっと届いたはず。
    新しい一歩を踏み出そうとしているおけいさんが幸せになりますように。

  • 朝顔、薬草と植物が続いたので、今度の作品が「鳥」がメインとはやられた。

    九官鳥の月丸、なにげにいい味だしているね。
    あと、途中ででてきたダルマインコの太助が、女の子の名前をいいだしたせいで、とんでもない事件に発展して、飼い主が太助に別の言葉を必死で教えているという、話には思わず笑ってしまった。

    最後の永瀬さんとおけいさんの恋模様と、羽吉の行方が
    あかされるあたり、なんかせつない。

  • 失踪した夫を待ちながら飼鳥屋を守るおけいの元に持ち込まれる「謎」
    九官鳥の月丸が◎

  • 飼鳥屋を営みながら行方知れずの夫の帰りを待つ女性が主人公の7編の連作短編集。鳥を巡る大小様々な出来事の謎を解き明かしていく。
    全編通して、寂しさと優しさが溢れている。切なく胸が締め付けられても、ふわり優しく包まれる感じがする。
    主人公おけいを気遣う馬琴や同心など脇を固める人たちが固い。
    おけいが幸せになりますように。

  • しっかり者のおけいのところにちょっとした事件がもちこまれる、短編集。行方知れずの夫とのことは切ないけれど、実生活でカナリアの繁殖をしていたといわれる馬琴や、同心が力を貸して、物語を盛り上げています。
    江戸時代、飼い鳥を商う商売があることは知っていたけれど、こういうふうなのかと思いながら読みました。

  • 江戸時代の日本橋を舞台に、飼い鳥屋を営む若女将のおけいが主人公の人情ミステリの連作集だ。

    今でこそ鳥を飼っている人の数は少ないように思えるが、昔は当たり前のように庶民は飼っていたのだろう。慎ましく日常を生きている人々が行き交う飼い鳥屋の光景を思い浮かべると、なんだか気持ちがなごむ。

    そして鳥にまつわるエピソードを毎回盛り込んで、ちょっとだけ詳しくなる。知識が増えていくことも読書の楽しみの一つだ。

    3年前に失踪した夫の羽吉の行方は? 
    独り身のおけいを気遣う心優しい同心の永瀬との恋の行方は?
    淡いラブストーリーと、おけいのまわりで起こる大小様々な事件をからめて、読者を飽きさせない。
    そして羽吉の失踪がやがて大きなうねりとなって、最後まで推進力を失わない。

    これからの作品をもっと読んでみたいと思わせる作家だった。

  • 【内容】「飼鳥屋(かいどりや)」とは江戸期にあった小鳥専門のペットショップのようなものらしい。鳥を探しに行ったまま行方不明になった夫を待ちながら店を営んでいるおけいの周辺で起きる鳥にまつわるできごと。親しくなった同心や町医者たちに支えられたり、アドバイザーとして滝沢馬琴も登場。
    【感想】行方不明の夫に関するできごとには決着をつけなくてもよかったかも。そのくだりだけちょっと月並みな展開やったんで。まあ作者的には必要なことやったのかもしんない。あとは楽しめました。わりと珍しいモチーフやったんで江戸期の小鳥事情の蘊蓄とかもっと詳細に描かれてもよかったかな。ただ、今ていどやったから冗長にならず読みやすかったとも思えるし、そのへんは良し悪しかなあ。

  • 表紙がかわいくて読んでみました。
    小鳥たちがかわいい、良い連作だった。続くのかとおもったが、綺麗に纏まってた。

  • 小鳥売り。
    強がっている女主人。
    信州で失踪した旦那が空気。
    商売道具を介して事件を解決。
    それほどの儲けがあるとも思えない。
    夫婦ともに新しい伴侶を見つけたのか。お互いが良ければいいのかな。役人との仲は進むのか。

  • 江戸の日本橋 ことり屋を営むおけいの主人は行方しれず。
    人づてにしか情報が入らないころ ただ待つしかない辛い日々を九官鳥の月丸が放つ声色に助けられる。
    おけいの心も変わり始めたころ 主人の行方がわかったり 淡い気持ちが芽生えたり・・・
    ラストは おけいさんらしく芯のあるビシッ!と締まってて嬉しかった。
    本当は 時と場所を選ばず 大泣きしたいはずだと思う。

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著者プロフィール

東京都生まれ。05年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。08年「一朝の夢」で松本清張賞を受賞し、同作で単行本デビューを果たす。’15年、幕末に浮世絵を守り抜こうとした絵師たちの姿を描いた『ヨイ豊』で第154回直木賞候補になり、歴史小説家として大いに注目さる。その他の著書に『花しぐれ 御薬園同心 水上草介』『連鶴』『墨の香』『父子ゆえ 摺師安次郎人情暦』『赤い風』『はしからはしまで みとや・お瑛仕入帖』『番付屋新次郎世直し綴り』『お茶壺道中』『とむらい屋颯太』などがある。

「2019年 『北斎まんだら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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