- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022512055
作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学小説】宮部みゆきの朝日新聞連載小説『荒神』の挿絵全点を、掲載時はかなわなかったオールカラーで完全収録。挿絵を担当した漫画家こうの史代が独自に書き下ろした文章を添えた、”もう一つの『荒神』の世界”がたっぷり楽しめるストーリーブック。
感想・レビュー・書評
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宮部みゆき原作、こうの史代のカラーイラストが満載。怪談のような展開から、ちょっと切ない場面や、権力者の圧力に憤りを感じたり。ラストは、さみしい気持ち。
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私は新聞小説を毎日読んで一作を読み通したことはない。もしも毎日新聞をきちんと読む習慣を持てば、新聞小説もその張りになって普通の小説を読むだけではなく毎日挿絵と共に味わう新聞小説読み手だけに与えられた愉しみを堪能出来たのかもしれない。私はまだその域に達していない。ただ、小説が本になった時に、あの膨大な挿絵がそのまま本に付随することはなく、ほほ全てが闇に葬られることは残念に思っていた。
この「荒神」は、なんと「この世界の片隅に」を描いたこうの史代が挿絵を描いていたという。それが闇に葬られるのは、こうのファンにとってはあまりにも残念なことだったことだろう。その意を受けて、異例の一冊になった。よくある絵のみを並べたものではなく、原作をこうの史代自身が換骨奪胎して絶妙に縮めて文と絵を同時に鑑賞出来るようになっている。原作のあらすじとしては長過ぎ、原作そのものからは、微妙な味わいは無くなっているが、原作を読んだものにとっては、いったい何処を削ったらここまで短く出来るのか不思議なほどの、セリフ含めてほぼ全てが網羅された要約をしている。これを読んで、原作を読んだ気になるのも困るが、原作を読んだ者があの複雑な政治的・怪奇物語を丁寧に反芻理解するには、格好の一冊になっていると思う。
何より、こうのファンにとっては、挿絵ほとんどと、描き下ろし挿絵が載っている。しかも、新聞連載時にはわかるはずもない、全てがカラーで載っているのである。
原作を読んだだけでは、ハッキリわからなかった「怪物(荒神)」の具体的な姿、まるでその後に登場したゴジラの如く次々と変化していくその様が、初めて納得するように我々の目の前に現れたのも嬉しかった。
全編カラーなのに、定価1200円でお求め易いのも嬉しいところ。
2017年10月21日読了 -
こうのさんが感じた荒神の世界を絵と文で表現されている。宮部さんの原作を読みながら思い描いたイメージと重なるところも有り違うところも有り。最後はやっぱり泣けました。
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昨日読了した宮部みゆき『荒神』を原作に、こうのさんが絵を付けてくれた。まるで映像化する際の絵コンテのようだ。やはり原作を先に読んで良かった。荒ぶる神は、その残虐な行動とは裏腹に鱗がパステル調で表現されていたのも、こうのさんらしい。本書の結末は朱音が、残された皆に語り掛ける。永津野領の溜家での、短いが幸せな日々のスナップショットがエンディングに配されたのも良かった。
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『朝日新聞』で連載された宮部みゆきの小説「荒神」の挿絵403点全点と描き下ろしの絵を、書き下ろしの文章と共にオールカラーで収録する。もうひとつの「荒神」の世界が楽しめるストーリーブック。
(2014年)
— 目次 —
一 雪間
二 達之助
三 朱音
四 由良
五 奈津
六 圓秀
七 秤屋
八 朧影
九 やじ
十 蓑吉
十一 半之丈
十二 化身
十三 宋栄
十四 直弥
十五 太一郎
十六 源一
十七 土御門
十八 明念和尚
十九 弾正
二十 百足
二十一 霞の底
二十二 荒神
二十三 風光る -
神的な組み合わせ