物語のおわり

著者 : 湊かなえ
  • 朝日新聞出版 (2014年10月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512215

作品紹介

妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、
父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性……
様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで受けとるのはひとつの紙の束。
それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった。
山間の田舎町にあるパン屋の娘、絵美は、学生時代から小説を書くのが好きで周りからも実力を認められていた。
ある時、客としてきていた青年と付き合い婚約することになるのだが、憧れていた作家の元で修業をしないかと誘いを受ける。
婚約を破棄して東京へ行くか、それとも作家の夢をあきらめるのか……
ここで途切れている「空の彼方」という物語を受け取った人々は、その結末に思いを巡らせ、自分の人生の決断へと一歩を踏み出す。
湊かなえが描く、人生の救い。

物語のおわりの感想・レビュー・書評

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  • ミステリー作家から脱却しようとしているのか、新たな境地を開拓しようとしているのか分からないが一味違う作品になっている。
    序章に投げかけられた一つの物語。
    その物語の結末は一体どうなったのか。
    物語を読んだそれぞれの人達が自分の人生と照らし合わせて新たな一歩を踏みこんでいく。

    湊かなえ作品らしく構成ありきか。
    独白形式の序章は見事でグッと引き込まれる。
    この序章がバトンのように見知らぬ人の手へ渡っていく構成も面白いし、悪くない。
    しかしいかんせんくどい。
    二人、三人ならまだしもこれだけの人達にうまいことリレーされるって、ないよね(^_^;)
    ちょっと残念だな。
    あとは最後のオチ、これもなくても良かったんじゃないかな。
    読者にゆだねてくれればよかったのに・・・。

    なんだかんだといいいつつ、「告白」の衝撃を忘れられずついつい手に取ってしまう湊かなえ作品。
    デビュー作が衝撃的だと逆に大変だなぁ。
    でもまだまだ期待していますよ!

  • いつからそうなったかはっきり覚えていないが、
    1冊の本を読み終わるといつも思うことがある。

    私はなぜ、この本に引き寄せられたのか。
    私が受け取らなければいけないメッセージがあるのか。
    だとしたら、ちゃんと汲み取って
    自分に沁みこませることができたのだろうか、と。

    この物語を読んで、やはりと確信する。
    自分が選んでいるようで、実は読まされているんだと。
    物語の方が、必要な読者を引き寄せているのだと。

    「空の彼方」という題の、誰が書いたともわからない
    原稿のコピーの束を不思議な縁で受け取る、
    それぞれの事情で北海道を旅する人々の物語。

    「空の彼方」には結末が書かれていない。
    小説なのか、本当の話なのかもわからない。

    「空の彼方」を受け取った人々は、
    登場人物の誰かに感情移入し、
    結末を自分なりに考えることで
    自分自身の気持ちを整理し、
    次に進むべきものをはっきりと捉えていく。

    私はどんな結末にするのか…。
    考えてみたけれども、ぼんやりとしか思いつかなかったです。

    それは、今選択しなければいけない重要なことや
    強い苦悩がないということなのでしょうか…。

    何かに思い悩んで立ち止まった時に
    再読したい一冊です。

    湊さんは『望郷』以来のご無沙汰でした。
    最初に読んだのが『夜行観覧車』で、
    何年も敬遠してしまい、
    ふと読んだ『望郷』で心を動かされ、
    何か他にも読もうと思ってのこの3冊目でした。

    ますます好きになっていきます。
    やっぱり私は後味の悪いものより、
    救いがある、光がさしている湊さんの方が断然好きですね。

    北海道の風景がとてもいいです。
    札幌・函館・小樽しか行ったことのない私。
    死ぬまでに絶対に行きたいと思っていた
    三浦綾子記念文学館が出てきたのが嬉しかったです。

    やはり、行きなさいというメッセージだな、これは。

  • 冒頭───
     あの山の向こうにはなにがあるのだろう。物心ついた頃にはすでに、わたしはぼんやりと遠い景色を眺めながら、そんなことばかり考えていました。深い山間の盆地にある、小さな町で生まれたわたしの目に映るのは、町を取り囲む大きな壁のような山とその上に広がる青い空ばかりです。両親は夫婦二人で小さなパン屋を営んでおり、午前二時に起きてパンを作り、午前六時から午後六時まで店を開け、仕込みを終わらせて午後九時には床に就くという毎日を過ごしていました。店の名前は<ベーカリー・ラベンダー>。しかし、父も母も生まれたときからこの町で過ごし、旅行に出たこともなく、紫色の花が絨毯のように広がっているという北海道のラベンダー畑など見たこともありません。
    ───

    湊かなえの一人称独白形式“ですます調”の語りを読み出すと、まだ物語の伏線も語られていないのに、何故か背筋がぞわぞわしてくる。
    まるで、パブロフの犬の条件反射みたいに。
    初めて読んだ『告白』の印象が強烈に残っているからだろう。

    イヤミスの女王、湊かなえ。
    その女王の作風がここ最近変わってきている。

    この前作の「山女日記」も嫌な読後感とは程遠く、爽やかな物語だったし、最新作のこの作品も、心がほのぼのするような物語だった。
    別にぼくは、これまで彼女のイヤミス作品を特に期待して読んできたわけではなかったから、作風が変わったからといって何の不満もない。
    それどころか、どんな作品でも書ける才能を持った湊かなえという作家に憧憬の念を抱くだけだ。

    誰が書いたのか分からない男女のささやかな恋愛『物語』。
    何故かその話は肝心の結末まで書かれておらず、『物語』は途切れている。
    女性は夢を叶えるために東京に旅立つのか?
    彼女を駅前の停留所で待っていた恋人の思いとは?
    はたして、本当の結末はどうなったのか?
    そんな序章のもとに、この小説は始まる。

    舞鶴からフェリーに乗っての北海道の旅。
    その旅の途中で手渡されるのが、この一つの『物語』。
    少女から、妊婦に。
    妊婦から、写真家志望だった若者に。
    若者から、テレビ番組制作会社に就職が決まった女子大生に。
    女子大生から、進路問題で娘と喧嘩をした父親に。
    父親から、今の自分の姿に疑問を抱く四十代の女性管理職に。
    そして、女性から『物語』を手渡された最後の人物は───。

    いろいろな別れや後悔を伴った思い出を胸に北海道の旅を続ける人々の手によって、その『物語』は次から次へと受け継がれていく。
    この未完の『物語』を手にして読んだ人たちは、その人なりのエンディングを思い描くことで、自らの旅の目的に対する答えを見出す。
    それは、未来に希望に満ちた暖かな光が射し込むようなものだった。

    人生の曲がり角にはいろいろな選択肢がある。
    夢を抱きながら、その度々、誰もが迷い悩む。
    どちらが正解かなんて誰にも分かりはしない。
    でも、自分が本当に求めているのは何かを真剣に考えれば、それが結果的には正しい選択だったということになるはずだ。
    もちろん人間だから、後悔しない人生なんてありえないだろうけれど。

    闇の中に一筋の美しい光が射し込んでくるような物語。
    ありきたりな言葉で締めくくりたくはないけれど、感動しました。

  • やっぱり湊さんの小説はおもしろいな~
    ある田舎町の夢を諦めた女性の未完の小説がキーになってるんだけど、
    それを手にする人達も自分の人生と照らし合わせていくし、
    きっと人っていろんな挫折というか、諦めを抱えながら生きていくもんなんだろうなって思える。
    多分、誰でも当てはめられる。

    そして、最後この小説は未完じゃなかった。
    北海道を舞台に素敵なお話しを読めて満足です。

  • 未完の小説が繋いでいく物語。
    湊かなえにしては意地悪度が少なく、読後感がいいです☆

    深い山合いの盆地で、小さなパン屋を営む両親のもとで育った少女・絵美。
    小さな頃から空想好きで、小説家になるのが夢でした。
    年上の男の子・ハムさんと知り合い、年月がたって婚約することに。
    そんなとき、作家デビューのチャンスが訪れますが‥?

    「空の彼方」という短編小説はこういった内容で、結末が描かれていないもの。
    この原稿が北海道旅行をしている人の手から手へ渡り、それぞれの立場で違う結末を思い描くのです。

    夫より一足早く旅行先に来ている、ある悩みを抱えた女性。
    フェリーで出会った二人連れに、原稿を渡されて‥?
    家を継ぐために、プロのカメラマンになることを諦めようとしている男性。
    そして、不登校になっていた少女は‥

    昔の話から始まるせいか、全体的には古風で真面目な雰囲気。
    小説家を目指す少女に思い入れがあるのでしょうか。ちょっとした捻りがきいていて、展開に意外さもあり、面白く読めました☆

  • 読後ホッとする湊かなえ作品はもしかしたらはじめてかもしれない。
    おわりのないひとつの物語が人から人へ渡り、読む人によってその人のおわりができる。
    人それぞれ、でも素敵なおわりの数々にホッとした。
    そして最後におわりのないひとつの物語の本当のおわりがわかる…。
    一気に読まされた物語。

  • ある田舎町で、とある女性が小説家になる夢をつかみかけ、東京に出ようとするところを婚約者に待ちかまえられ…というところで終わる未完成の物語が書かれた原稿が、北海道を舞台に様々な人の手にバトンリレーされる。それを受け取った各登場人物も様々な思いを抱いており、その物語を自分の人生に照らし合わせたり、物語のおわりをそれぞれに想像したりするという連結短編小説。最終話でしっかりと物語は収束され、さわやかな読後感を与える。湊かなえといえば、毒気のあるイメージが強いが、こういう作品でも面白く読ませてくれる。とてもいい作品、さすがである。

  • 湊さんの作品を二冊続けて読んだ。最初に『絶唱』次にこちらを。
    『山女日記』を読んだ感想と通じるものがある。
    読後感は爽やか、ふんわり優しい。それから人との絆、心の繋がりを描いているという共通点。
    読んでいて、分かりやすく、情景も浮かべやすく、自分ならば…とあれこれ対峙しながらたのしく読み進められた作品です。

    ある夢を抱きながらも自由に羽ばたけない女性が主人公の一つの物語ー
    が、北海道の大地を背景にたまたまのご縁繋がりで人から人へと渡り、それを読んだ人が自分と重ね合わせながら、物語の続きを思い巡らす。。夢と現実のギャップに行き詰まりかけている人達です。そうこうして、この物語の本当の主人公と深い繋がりのある人のもとへ辿り着き…⁈
    読み手は、本当の続きをラストに来て知ることが出来る安堵感もプレゼントしてもらえて(笑)

    色んな世代の人たちに受容されるはず…この物語は人の話しであって何処かに私が居るのだから。

  • デビュー作「告白」などに見られる特有のドロドロ感がなく、爽やかで希望に満ちた温かみのある読後感で良かった。それも新鮮味があって良い。山女日記も読んでみたい。
    ある私小説が旅人たちによるリレー形式で物語の続きを考えていくストーリー。物語の続きはその人の状況と重ね合わせ、結末を考えていくのは、嫌なモヤモヤ感を感じさせず、未来へ向かっていくという感じがして、良かった。
    旅で出会った人達の暖かさが伝わってきて、一人旅をしてみたいと思った。
    馴染みのある地名が多く出てきて、その景色などを思い浮かべながら読みすすめていったので、感情移入もしやすかったのである。作中で出てくる場所で、行ったことがないところもあるので行く機会があれば行ってみたい。拓真館など。
    自転車旅の女子大生の話で、自転車と読書は自分の世界を広げるという共通点があるのに共感。

  • 二十歳前の女の子が書いた結末のない私小説がいろんな人の手に渡り、
    それを読んだ人たちが、主人公と自分を重ね合わせながら結末を想像するというお話。

    素人が書いた設定だからだろうが、基本となる話が稚拙で
    面白みが感じられなかった。
    なのにそれを読んだ人たちがこの話に興味を抱き、
    結末を想像するということに違和感を感じ、3章でリタイア。
    最終章のオチもいまいちだった。
    「山女日記」は面白かったんだけどな。
    私にとっての湊さんは、当たり外れが大きい作家です。

    途中リタイアなのでマイルールに則り、評価は星ひとつです。
    辛口でごめんなさい。

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