- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022512291
感想・レビュー・書評
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幼稚園児の拓人が話す平仮名だけの部分は、耐え切れず、全部飛ばしました。読了とは言えないかなσ^_^;
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あー、なんかこの話、この世界観、好きだなぁ、としみじみと思う。
ひらがなだけで表現される、たくとの清らかで感覚の鋭い世界。虫の声や風にそよぐ草や木の声、その場が発している息づかい―― 私たち大人が、成長するにつれて鈍感になってしまったものたちがそばにいるだけでいいと思えるたくとに、なんともいえない愛着を感じる。
そこにあるだけで、いてくれるだけでよかったのに、どうして私たちは次々とそれ以上を相手に望んでしまうのか。執着や憎しみ、やりきれない想い―― そういうものをぜんぶ捨てたら、もっと生きるのが楽になるんだろうな。
そして拓人の独白はひらがなだけではなくなり、育美はピュアな魂をのみ込み、二人は大人に向かって突き進んでいく。
さまざまなしがらみのなかで、周りと折り合いをつけ、時には自分の感情を殺し、心の声が聞こえない大人に、成長していく。 -
うーん。よくわからなかったが、いろいろ大変そうだわー。
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しっかりものの姉育実と、言葉の発達の遅い拓人の幼い姉弟の周囲をとりまく群像劇、といえばいいのか。
群像の中には、タイトル通り、ヤモリやカエル、シジミチョウなどの小さな生き物も含まれる、というところが良いです。
言葉の発達がやや遅れている拓人は、周囲の人間や生き物達の心や、無意識の声を聞くことが出来るというストーリーなのですが、小さな生き物達の言葉にならない生への賛歌の描写が、もう悲しいほど美しく、はかなく、なぜか読んでいてちょっと泣きそうになりました。
幼い姉弟の周囲の、ちょっと入り組んだ大人達のエピソードも対比するかのように描かれています。
小さな生き物はこんなにもシンプルにただひたすらに生きているのに、人間は感情が絡み合って生きているのだと改めて思いました。
ラストの成人してからの二人のエピソードが、一見唐突に思えるかもしれませんが、なおさら、幼少時の二人の、生き物たちとのちょっと不思議な関わりを、はかなく美しく、そして少し物悲しく感じさせる読後感です。 -
ひらがなが読みにくかった。
読みおわって、何も残らなかった。 -
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虫と話をする幼稚園児の拓人、そんな弟を懸命に庇護しようとする姉、ためらいなく恋人との時間を優先させる父、その帰りを思い煩いながら待ちつづける母―。危ういバランスにある家族にいて、拓人が両親と姉のほかにちかしさを覚えるのは、ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。彼らは言葉を発さなくとも、拓人と意思の疎通ができる世界の住人だ。近隣の自然とふれあいながら、ゆるやかに成長する拓人。一方で、家族をはじめ、近くに住まう大人たちの生活は刻々と変化していく。静かな、しかし決して穏やかではいられない日常を精緻な文章で描きながら、小さな子どもが世界を感受する一瞬を、ふかい企みによって鮮やかに捉えた野心的長篇小説。
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大人の世界の中での子どもの存在とその世界が瑞々しく描かれていて胸を突かれる。平然と浮気を続けながら、平然と家にも帰って来る夫と、鬱屈しながらもその状態を崩そうとはしない妻。そんな大人を父と母として、郁美と拓人は日々を過ごしている。幼稚園児の拓人は、心の中で虫と話ができ、それは特殊能力でもあるのだろうが、子どもの本質のようにも思われる。大人から声をかけられた時の反応や、他人の認知の仕方が、おそらくどんな子どももある程度こうなのだろうと、さまざまなことが腑に落ちもするのである。ある意味欲に駆られた大人の事情とは全くかけ離れたところにある子どもの世界のみずみずしさに溺れそうになる一冊である。 -
ひとの気配を音や色で感じ、生き物や一部の人間と心の中で会話できる幼稚園児、拓人。彼は自分がいまここに"いない"、つまり、誰かと同じ空間にいても周りから切り離されていると感じる。そういう人物に、わたしはいつも共感する。ここでは、拓人の家族を始め、たくさんの語り手が登場するけれども、わたしは、拓人と拓人の母親の視点から見る世界が好き。これは、何かを手に入れた代わりに何かを失う拓人と、手に入れたものを結局は失わない拓人の母親の話だと思うから。
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拓人の語りの部分が読みにくいが、次第に慣れる。
育美と拓人がお互いをとても好きで、その関係がすごく穏やかで良かった。