丁先生、漢方って、おもしろいです。

著者 :
  • 朝日新聞出版
4.17
  • (15)
  • (14)
  • (6)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 170
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512321

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】南伸坊さんは大病院でがんの疑いをかけられてから、漢方医の丁先生の診察をうけた。患者で生徒の南さんが質問して、丁先生は縦横無尽に答える。漢方が西洋医学に敗けたワケ/東と西の薬談議/梅毒文化論など、面白くてためになる、22の漢方個人授業。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 西洋医学で「よく効く薬」は「いい薬」ですね。
    でも漢方ではこういう薬は「下品(げほん)」といってレベルが一番低い部類なんです。
    なぜか?それは漢方の考え方では薬理作用は二の次で、
    副作用の有無が最も重要視されるのです。
    病気を治す力が強い薬には、副作用が伴いがちですよね。
    このことからも病の症状だけ見る西洋医学と違い、
    漢方は体全体を見るということがわかります。

    何千年も前から使われていた漢方薬は、
    どうして効くのかという理論は分かりませんでしたが、
    とにかく「効く」ということは分かっていました。
    そのメカニズムが近年西洋医学によって解明されてきていて、
    現代の医療にけっこう取り入れられています。
    そこらへんを分かりやすく、雑学を交えながら教えて下さる丁先生。
    南伸坊さんのようなユニークな聞き手だから、
    先生のお話がいろんな所に転がっていくんでしょうね。

  • 病になるもならないも、その軽重も、生き方次第とする漢方の世界観を本当〜に本当〜にわかりやすく解きおこしてくださる本!気ままに脱線する先の雑学に笑い、豊かな知識に唸り、そして人という生き物の神秘を尊重する丁先生の愛情に深くひれ伏す。こんな方が生きてる限り日本はまだすくわれるので、まずは自分の健康を救いましょう!

  • 漢方というと、ちょっと怪しげ......?
    いやいや近年はかなり見直されてきているようで、その学問の体系が証明されてきているそうだ。
    確かによく考えてみれば、「薬」とはそこらへんに生えている草から作られていたのであって、その効果的な部分を抽出、精製したものが現代の「薬」である。
    だから、もうとにかく怪しげ、胡散臭い!というのは誤ったイメージなのだ。

    それにしても色々な話が出てくること出てくること!
    興味深かったのは、医療費が国の財政を圧迫していること、癌の特効薬、糖尿病の透析の話など。
    確かに、実際はいくら医療費がかかっているのかわからないし、セルフメディケーションを実行している人は無駄金を支払っている(つまり不平等に感じる、ということ)ように思えることなどはあまりおおっぴらに話せることではなく、反発も多そうだ。
    しかし言えることは、超高齢社会、少子化の進む社会において、医療費の抑制は急務だということ。
    これは他人事ではないのだ。

    不妊の話、妊娠の話については、人による、というのが体感だが.....。
    私はつわりがほとんどなかった。
    痩せている母は、私の妊娠中はそれはそれはつわりがひどく、入院したそうだから、太っている、痩せているだけが問題ではないように思う。
    そもそもなぜつわりが起きて、なぜごく軽い人もいるのか明らかになっていないそうだから、この辺りは、参考程度に。

    漢方とは体のバランスを整える、つまり中庸にするものだそうだ。
    だから冷え性の私はぜひ飲みたいと思っている。
    養命酒も結構良かった(しかも腹巻きまで当たった)が、あれは一応酒なので、会社では飲んではダメ、とのこと。
    ごもっとも。
    何はともあれ、漢方って、面白い。

  • 以下引用&まとめ
    ・電車による長距離通勤で酸欠になり十年すると若年性認知症が大量に出現する恐れあり
    ・実は長生きする人には若いころは虚証タイプが多く・・・中年を過ぎたころから中庸になり長生きできる
    ・自律神経の異常は特にノドに現れやすくなります
    ・パニック障害の患者さんは、お腹にガスがたまっていることが多い
    ・副交感系神経は免疫系を活発にして、血管の損傷を回復させる
    ・下痢症の人は体力に予備力の少ない虚証の人が多く、そのため薬にも弱く、副作用が出やすい。ですから、漢方薬による治療が適しています。
    ・過敏性腸症候群の人は外国に行かない。(リズム狂う、トイレットペーパーの紙質が非常によくない)
    ・脳で作用するセロトニンやアセチルコリンなどの神経伝達物質は、脳で作られているのではなく、腸で作られていることが、明らかになりました。実際、腸には脳の数倍の神経伝達物質がストックされているのです。
    ・腸に来たものが消化しづらいものだったら蠕動運動して消化する。消化しやすいものだとあまり動かない。
    ・医学が発展すればするほど患者が増えていくという問題もあります。

  • 漢方という時事ネタを取り上げた気楽に読める本かと油断していたら、トンデモない?丁(テイ)説があちこち地雷のように埋め込まれた漢方に限らずに医療全般を論じたマジメな対談だった。とりわけて現代のガン治療の裏の事情を明かすくだりなどは身につまされる。

  • 長い時間たってしまったけどようやく読み終えた。漢方について、東洋医学についての考えはさることながら、とにかく丁先生の広い知識とお話のうまさで読み終えたあと少し賢くなった気がする。
    特に免疫貯蔵の考え方が興味深く、私は若いときに結構免疫を燃焼してしまったのではとヒヤリとする。「免疫力は限りある資源」と意識し、子どものときから免疫力を無駄にしない健康観を育てることがとても大事と言われている。
    正直、医療って善意あっての仕事だと思っているが同時にビジネス臭もプンプンしてて、自分の身体に異変が起こった時に、その仕掛け罠にはまらぬように正しくあるべく処方を求め探す行為ってほんと難しくなっていると思う。

    いつも思い出すのは高校生の時あまりに体調不良が続き病院を転々として行き着く先で血液検査してもらったんだけど、その時に異常なしと言われ、親が、いやでもこういう可能性はありませんか?と言うと、「は?だから異常なしってなってるんですよ」って女医にキレられた経験を思い出す。虚しさと悲しさが、常にある体調不良に加わり子どもながらにあの医者は最低だな思いながら涙流した。

    最後のあとがきで、東洋医学は「人間と人間とのふれあい」という西洋医学が忘れてしまったことを尊ぶという基本を大事にしているというのを読んで、本来の医者ってこういう人のことを言うんじゃないかなと思った。

  • 漢方医の丁先生と南伸坊氏との対談。
    漢方に関する雑学が主で、面白かった。
    虚証、実証の考え方なんか教育の上でも為になるものだと思う。
    漢方って中国のものだと思ってたけど、日本が発展させたのも大きいなんて知らなかった。

  • 東洋医学は治療法ではなく哲学

  • 漢方のことが、わかりやく解説されています。
    漢方が、人間の免疫力と関係がるとか
    実証、虚証による病気のかかり方など 参考になりました。

  • 2015.8.1市立図書館
    朝日新聞出版PR誌『一冊の本』に連載されていた対談を中心とした文章「テイ先生の診療日」のまとまったもの。連載はとびとびにしか読めなかったのでうれしい。
    専門家からかみくだいた話を聞き出した個人授業シリーズでおなじみの南伸坊&かかりつけの丁先生による漢方と医療に関わるよもやま話(から大いに脱線した雑談がまた楽しいのだけど)。
    私自身出産して母親になった頃から漢方のお世話になりながら暮らしていて知識はそこそこあるほうのはずだけれど、それでもこちらのイメージや思い込みを覆す興味深い話題満載。多少は眉に唾をつけつつもふむふむと引き込まれて読了。日々からだとの対話をしながら養生第一で、中庸を維持できるような日常を心がけるのが大切だとあらためて納得。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

日本薬科大学学長

「2022年 『長生きショウガ新健康法大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

丁宗鐵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×