天使はここに

  • 朝日新聞出版 (2015年4月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512390

作品紹介

【文学/日本文学小説】ファミレスの契約社員として働きづめの毎日を送る真由子23歳。常連の老紳士や信頼するスタッフとの交流が心の拠り所だったが──。楽ではない職場での人間関係と日々起こる事件の数々から、主人公の心理的成長と働くことの喜びをみずみずしく描いた長編小説。

天使はここにの感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んだ朝比奈あすかさんの作品の中では、
    一番 ソフトなかんじでしたね。

    高校時代からアルバイトをしていたファミレスで、
    契約社員として働く真由子。

    正社員にもしてもらえず、責任だけ負わされ、
    仕事量は増えているのに、お給料には反映されない。
    最近よく聞く、ブラック企業のような…。

    この真由子が、とにかく生真面目でね。
    いい子すぎて、心配になるくらい。
    ”おシャケさま”(いつも鮭定食を注文するから)との関わりにしても、
    「どうしてそこまで?」と不思議に思ってしまう。

    それなのに家族や恋人、友人にはいまひとつ心を開かない。
    そうなってしまったわけが、切なかったです。
    実の母親のことで傷つき、誰かに期待し、望んだりすることが怖くなってしまったのかも…。

    でも「この仕事が好き」と素直に言える真由子だから、
    きっとこの先も大丈夫。
    必ず見ていてくれる人はいる。

    真面目にコツコツ努力し続けた人が、いつか報われる。
    やっぱり、そんな希望をもてる話が好きです。

  • ファミレスや"働くこと"の厳しい現実を描きつつも、不思議と不快にならないというか、雰囲気の明るい作品。
    前向きな気持ちになれる。
    根底に主人公の人柄の良さがあるから。
    仕事への真っすぐさはすがすがしく、人に対するあたたかさにもほっこり。
    特に、常連の"おシャケさま"とのエピソードがいい。

  • 高校卒業以来ずっとファミレスで働き続ける真由子。アルバイトから契約社員にはしてもらったものの、無理解な上司やクセのある大学生バイトたちがたくさんの職場は、なかなか良いようにばかりは回らない。そして朝食をよく食べにくるお爺さんの様子が変わり出してから、彼女も少し、変わり出すことになる…

    普通に真面目でテキパキしている真由子だけれど、そのうちには大きな虚がある…というとありがちなようなのですが、そのぽっかりとした「抜けている」感じが少し心配になるような危ういバランスを感じさせます。

    そんな彼女がファミレスで起こった事件や人とのつながりを経て少しずつ変わっていく様子には、ほっとするものがありました。ありがとう、という言葉は何度行っても言い足りないことはない。そういうふうに何かで聞いたことがありますが、そうだなあと。相手を思い遣ることって、さりげなくて結局は「ありがとう」に集約されるなあ、と思ったりしました。

    ただほっこりしていたお爺さんが、変わっていく様子は、なんとも切なくありましたが…
    嫌味な上司がそれなりの報い(というかなんというか)を受けたのだけはちょっと胸がすっとしました…。

    読み込めば真由子の境遇の辛さとか、重い側面もありますが、基本的には明るいトーンのお話で、楽しんで読むことができました。「自画像」からつづいてこちらを読みましたので、ずいぶんほっとしたのでした…。

  • 15歳でファミレスのバイトから始まり契約社員となり現在は正社員を目指している女子のお仕事小説。
    仕事に対する情熱が半端ない。
    ちょっと怖いくらい。余りにも真摯に顧客と向かい合っているので物語の前半は感情移入出来ない。正直言って、こんなやつおらんで!という世界だ。
    大学生のアルバイトって接客業は基本有り、だろう。私もした。テキトーにやっていた。何より社員もサボっていた。
    真由子ちゃんみたいな社員はいるのだろうか。会ってみたい。私の人生も変わったかも。
    物語の後半、懇意にしていたお客が痴呆症になり、店長がストーカーで逮捕され、新店長が全然頼りなくて、バイト・パート管理を任される辺りから物語も動き始める。真由子ちゃんも人間的に成長していく。終盤急速に話を纏めに掛かっている感はある。正社員にもなっていないし、恋愛も実っていない。でもこれから何かいい事ありそう!そんなラストだ。爽やかです。

  • 朝比奈作品の中では明るい気がする。いつものヒリヒリ感は鳴りを潜め、頑張るお仕事小説になっている。多少薄暗さを感じさせる描写もあるが元気のでる小説だ。

  • 痛快
    はっきりし過ぎた??
    前を見てる人は強い

  • ファミレスチェーンで15歳からバイトをはじめて7年、ただ真面目に誠実に、自分の働くお店が好きで仕事を続ける真由子。大学生バイトから見たら何でそこまで?といわれるような働き方ですが、彼女にとってファミレスで働くことは、大切なことでただ生活のために働いてるんじゃないことがわかります。

    今のお店での店長やバイト仲間との関係、仕事場での自分の立場。幼いころ、祖母と育ての親代わりの叔母と楽しみに訪れたファミレスの思い出。ファミレスという場所で働く真由子の感情と日常が書かれています。

    誠実に一生懸命働くことや、自分の目で人を見ることや、何かを大切にすること、淡々としたストーリーですが読後感良しです。

  • 真摯に働く非正規労働者の話。働くことの意義や心持ちをかんがえさせられる。正しいことがすべてではないと思うし、清濁併せのむことを悪だとは思えない。だが、真摯にとりくむ志はもっていたい。インテグリティ、よい言葉を知った。

  • ファミレス「エンジェルズ」で働く契約社員の真由子。

    お客様に楽しい食事のひとときを過ごしてもらいたいという
    精神で毎日一生懸命に働く真由子。

    新しく入ってきた店長の十亀の傲慢さと幼稚ぶりに辟易しながらも

    バイトの子たちとの交流、幼少期に蒸発してしまった母、
    プロポーズしてきた売れない放送作家の太田、
    働く息がぴったりだったトキちゃん
    常連客だったおしゃけさまの切ない未来。

    十亀の性格の悪さ=やっぱり癖のあるヤバイ奴
    そのまんま!!笑

    P159で面白いことが書いてあった。
    善か悪で判断するのではなくて
    守るものが増えてくると、だんだんと
    楽か面倒かで物事を判断してしまう。

    楽っていうのはサボるんじゃなくて
    いかに一生懸命に楽をするのか。
    いかに目をつぶって過ごせるか。

    だけどそれじゃあ、信じるべきものの為に戦えなくなる。

    すらすら読める。)^o^(

  • これが日本の現状なのかと思うと虚しくなる。アメリカの最低賃金が日本の倍はあるらしいので、それだけの経済格差があるということか。いや、経済格差というより日本の労働者全体が搾取されているように思える。あまりこの作品の感想ではないけど。

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