天使はここに

  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 186
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512390

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】ファミレスの契約社員として働きづめの毎日を送る真由子23歳。常連の老紳士や信頼するスタッフとの交流が心の拠り所だったが──。楽ではない職場での人間関係と日々起こる事件の数々から、主人公の心理的成長と働くことの喜びをみずみずしく描いた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んだ朝比奈あすかさんの作品の中では、
    一番 ソフトなかんじでしたね。

    高校時代からアルバイトをしていたファミレスで、
    契約社員として働く真由子。

    正社員にもしてもらえず、責任だけ負わされ、
    仕事量は増えているのに、お給料には反映されない。
    最近よく聞く、ブラック企業のような…。

    この真由子が、とにかく生真面目でね。
    いい子すぎて、心配になるくらい。
    ”おシャケさま”(いつも鮭定食を注文するから)との関わりにしても、
    「どうしてそこまで?」と不思議に思ってしまう。

    それなのに家族や恋人、友人にはいまひとつ心を開かない。
    そうなってしまったわけが、切なかったです。
    実の母親のことで傷つき、誰かに期待し、望んだりすることが怖くなってしまったのかも…。

    でも「この仕事が好き」と素直に言える真由子だから、
    きっとこの先も大丈夫。
    必ず見ていてくれる人はいる。

    真面目にコツコツ努力し続けた人が、いつか報われる。
    やっぱり、そんな希望をもてる話が好きです。

  • ファミレスを舞台にしたお仕事小説。
    表紙のイメージとは違う、常にザワザワした気持ちで読み続けたストーリーでした。
    真面目に一生懸命に仕事に向かう真由子。
    そのせいで、貧乏くじを引くことも多く、周りからも都合のいい存在として扱われてしまう。
    ファミレスの同僚の中には、少しの悪意を持つ人達もいて、明るい雰囲気の場所が舞台のはずなのに、何故かドロドロしたイメージが付きまといます。
    真由子の生育環境、同僚バイトのトキの母娘の確執など、気になることが次々明るみになり、ページめくる手が止まりませんでした。
    最後は明るい兆しの見える終わり方で読後感は良好。橋輝が気になります。

  • ファミレスや"働くこと"の厳しい現実を描きつつも、不思議と不快にならないというか、雰囲気の明るい作品。
    前向きな気持ちになれる。
    根底に主人公の人柄の良さがあるから。
    仕事への真っすぐさはすがすがしく、人に対するあたたかさにもほっこり。
    特に、常連の"おシャケさま"とのエピソードがいい。

  • 高校卒業以来ずっとファミレスで働き続ける真由子。アルバイトから契約社員にはしてもらったものの、無理解な上司やクセのある大学生バイトたちがたくさんの職場は、なかなか良いようにばかりは回らない。そして朝食をよく食べにくるお爺さんの様子が変わり出してから、彼女も少し、変わり出すことになる…

    普通に真面目でテキパキしている真由子だけれど、そのうちには大きな虚がある…というとありがちなようなのですが、そのぽっかりとした「抜けている」感じが少し心配になるような危ういバランスを感じさせます。

    そんな彼女がファミレスで起こった事件や人とのつながりを経て少しずつ変わっていく様子には、ほっとするものがありました。ありがとう、という言葉は何度行っても言い足りないことはない。そういうふうに何かで聞いたことがありますが、そうだなあと。相手を思い遣ることって、さりげなくて結局は「ありがとう」に集約されるなあ、と思ったりしました。

    ただほっこりしていたお爺さんが、変わっていく様子は、なんとも切なくありましたが…
    嫌味な上司がそれなりの報い(というかなんというか)を受けたのだけはちょっと胸がすっとしました…。

    読み込めば真由子の境遇の辛さとか、重い側面もありますが、基本的には明るいトーンのお話で、楽しんで読むことができました。「自画像」からつづいてこちらを読みましたので、ずいぶんほっとしたのでした…。

  • 15歳でファミレスのバイトから始まり契約社員となり現在は正社員を目指している女子のお仕事小説。
    仕事に対する情熱が半端ない。
    ちょっと怖いくらい。余りにも真摯に顧客と向かい合っているので物語の前半は感情移入出来ない。正直言って、こんなやつおらんで!という世界だ。
    大学生のアルバイトって接客業は基本有り、だろう。私もした。テキトーにやっていた。何より社員もサボっていた。
    真由子ちゃんみたいな社員はいるのだろうか。会ってみたい。私の人生も変わったかも。
    物語の後半、懇意にしていたお客が痴呆症になり、店長がストーカーで逮捕され、新店長が全然頼りなくて、バイト・パート管理を任される辺りから物語も動き始める。真由子ちゃんも人間的に成長していく。終盤急速に話を纏めに掛かっている感はある。正社員にもなっていないし、恋愛も実っていない。でもこれから何かいい事ありそう!そんなラストだ。爽やかです。

  • 朝比奈作品の中では明るい気がする。いつものヒリヒリ感は鳴りを潜め、頑張るお仕事小説になっている。多少薄暗さを感じさせる描写もあるが元気のでる小説だ。

  • がんばって働いていてえらいなあ。

  • 痛快
    はっきりし過ぎた??
    前を見てる人は強い

  • ファミレスチェーンで15歳からバイトをはじめて7年、ただ真面目に誠実に、自分の働くお店が好きで仕事を続ける真由子。大学生バイトから見たら何でそこまで?といわれるような働き方ですが、彼女にとってファミレスで働くことは、大切なことでただ生活のために働いてるんじゃないことがわかります。

    今のお店での店長やバイト仲間との関係、仕事場での自分の立場。幼いころ、祖母と育ての親代わりの叔母と楽しみに訪れたファミレスの思い出。ファミレスという場所で働く真由子の感情と日常が書かれています。

    誠実に一生懸命働くことや、自分の目で人を見ることや、何かを大切にすること、淡々としたストーリーですが読後感良しです。

  • 真摯に働く非正規労働者の話。働くことの意義や心持ちをかんがえさせられる。正しいことがすべてではないと思うし、清濁併せのむことを悪だとは思えない。だが、真摯にとりくむ志はもっていたい。インテグリティ、よい言葉を知った。

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プロフィール

1976年生まれ。2000年、大伯母の戦争経験を記録したノンフィクション『光さす故郷へ』を発表。06年「憂鬱なハスビーン」で群像新人文学賞を受賞。著書に『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『天使はここに』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人間タワー』などがある。

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