悪い恋人

著者 :
  • 朝日新聞出版
2.82
  • (2)
  • (15)
  • (34)
  • (19)
  • (7)
本棚登録 : 182
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512406

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】同級生の勲が開発業者として住民説明会に現れた日、抗うこともないままに肉体関係をもってしまったからだろうか──。裏の森を伐採する開発工事を機に、沙知たちの一家はゆがみはじめる。日常に潜む正常と異常のあわいを描いた傑作長篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 井上さん王道の不倫もの。
    安心して読める(笑)

    夫の家族と二世帯同居する沙知が自宅裏の森が造成されるのを機に開発業者として現れた中学時代の同級生、阿守と不倫関係に陥る。

    井上さんの不倫ものらしく相変わらず唐突な始まり。
    なぜそうなってしまうのか主人公にさえ考えることを許さない。
    そうなることが必然のように展開する。
    不倫する二人の関係も家族の関係も徹底してドライ。

    不倫したことがないから良く分からないけど実際はこんな感じなのだろうか。
    夜中に帰ってくる主婦ってどう考えても変だと思うんだけど。
    それを全く追求しない家族も家族だし。

    まあ、いいか。
    リアルにドロドロの不倫関係で八方塞がりの小説読んでも辛いだけかも。
    この位ドライな方がいいのかも。

    それにしても女は怖い。
    阿守は最後の最後で保身に回ったけれど、沙知は取りみだすことなく。
    最後はまるでなかったことのように・・・。
    「悪い恋人」って男のことじゃなくて女のことなのかも。

  • 人は他人の異常性には敏感なくせに、
    自分のそれには全く気づかないものだ。
    他人の不倫は不潔だが自分はそれとは違う、というのも同じこと。

    登場人物は全て何らかの異常性を抱えているが、
    表向き平々凡々な主人公の主婦が一番気持ち悪かった。
    不倫相手に執着しているかと思いきや、
    捨てられると、特に何ということもなくまた日常へ戻るだけ。
    何を考えているのか、何も考えていないのか、
    何事も無かったかのように今まで通りの生活を続けるであろう主婦は
    とんでもなく気持ち悪い。

  • とても好きな作家さん、って改めて思う。

    主人公に共感とか、そういう感じではなく、このなんかちょっと変、なところが良い。

    ちょっとズレてる。ゆがんでる。

    だけど、人はみんなちょっとズレててゆがんでるんだと思う。

    はー、寒い日曜日。温めた部屋の中で一気読み。

  • 井上荒野はよく読む作家の1人ですが独特の世界観というか空虚感が漂っていて面白いとかそういう言葉では言い表されないものがあるなぁといつも思っています。

    この作品もそんな感じです。

  • キャッチフレーズを付けるなら(?)「良くも悪くも井上荒野」かな。
    (一見)普通(に見える)の生活にぴったりと張り付いている薄気味の悪さ。人の思いのままならなさ、分かり合えなさ、薄暗さ。どこからが正しい異常なのか?には頷いた。

  • 結婚願望が強く、願望を叶えてくれる男と結婚して息子と舅姑と一緒に暮らしている沙知は、家の裏側に広がっている森が開発によって伐採されることを知る。
    過剰に反応し反対運動をする夫、舅、姑。
    開発担当者にはかつての中学校の同級生だった男がおり、沙知はずるずると沼のような深みにはまっていく。
    井上荒野の描く、うずくまるようにして怠惰に坂道を転がり落ちていく女の姿って薄気味悪くて怖い。
    でもそれよりもぞっとするのは最後に沙知が抱く感情だ。空しく、寂しい。

  • 夫に不満があるわけでもなさそうなのに、同級生と偶然会っただけでそんな関係になるものなのか。
    不満がなさそうで、実は満たされていなかったとか。
    ま、確かに義父母との同居のようなので、その点はわからなくもないが。
    そう考えると、夫婦間での夢の話も実は作り話をしていたんだもんなぁ。多少の嘘は許容範囲じゃないのかな?
    それでも、どうにかして自分で心のバランスを取ろうとするものなのかも、それが同級生との逢瀬。
    しかし、悪い恋人だ。
    それならそれで、もっとまともな人を選ばないと……。

  • 牧生沙知と同級生の阿守勲の不倫関係を軸に話が展開するが,夫の新太と息子の隼との家庭は問題ないものの,義父のかわった行動に戸惑う場面が多かった.土地開発に絡んで勲が登場するが,沙知から最後には離れてしまうのが,やや理解できなかった.

  • 2017/12/03読了
    33冊目(2017)
    悪い男だな。
    こういうイヤな男って魅力的なんだよね。
    なかなか面白かった!

  • 徹底的に、結局人間はみな孤独だなぁと実感させられる読後感。悪い恋人とはこの男ではなく、この主人公のような気がする。いずれにしろ少なくとも二人は恋人ではないから矛盾を含んではいるのだ。ここではないどこかへ行きたい気持ち。この人ではない誰かを愛したい気持ち。理解できないこともないがとても共感できるということもない。平和でのどかな日常に住む人間のどろっとした内側の物語だ。この作家の魅力はまだはっきりは見えてこないのでさらに他の作品も読みたくなった。

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

井上荒野(いのうえ・あれの)
'61年東京都生まれ。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。'08年『切羽へ』で直木賞受賞。他の著書に『つやの夜』『結婚』など多数。

「2015年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上荒野の作品

悪い恋人を本棚に登録しているひと

ツイートする