アンダーグラウンド・マーケット

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 146
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512437

作品紹介・あらすじ

二〇一八年、日本は二つの経済構造を持つ国になっていた。移民の流入とともに浸透したデジタル仮想通貨「N円」での取引は、税務当局に捕捉されない無税の地下経済圏を生み、表の社会が無視できなくなる規模に成長していたのだ。その一方、「公平な税制」の名目で引き上げられた税金は社会を二つの階級に引き裂き、企業の正社員にならなければ地下経済に生きるしかない状況を生んでいた。木谷巧は、そんな企業の外で働いて生きる「フリービー」と呼ばれる存在。ITエンジニアとしての技能を活かして、中小企業の商売をN円の無税取引に改造する仕事で報酬を得ていた。ある日、巧はとあるWebの改造を引き受けるが、それは表と地下、二つの巨大経済圏を揺るがす事件の始まりだった-。日本SF大賞受賞作家が描く、驚愕の近未来。

感想・レビュー・書評

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  • ビットコインにTポイントを付けてみないかみたいなお話に若干陰謀チックなものが、絡んでくる。いままで、読んだことない話でした。もう少し明るく未来を描いて欲しかった。

  • 大量移民と仮想通貨をテーマに日本を舞台とした近未来SF
    サクサクよめて、スリル感も味わえたのはよかった

    けど、SFとしてみるとちょっと物足りない

    大量移民が独自の地下経済を形成、日本人の若者も急速な貧困化、貧困層の住居は私物を置けないほどの盗難多発。しかし、テロや暴動の脅威を感じさせるものが全くない。治安のあり方がアンバランス。

    都心に一棟で数千人規模の貧困者向け住宅ができる。でも、エレベーターの設置義務を回避するため5階建て。いや首都の一等地でエレベータケチるほど土地に価値がないってことはないでしょ。

    事件発生時でトレースされたのは、二つの口座間で金が動いただけ。なのに直ちに税務署は売上金だと認識し、さらに記帳されていないことを把握。超優秀。しかし泳がせておけば地下経済の多くを把握できるのに、たった数万円をすべて是正させて手の内をばらす無能という矛盾。さらにそもそも申告納税で決算前での記帳漏れの指摘とか何の意味があるんだ。

    などなど。細かいとはいえ多数の設定内の整合性のなさを感じてしまうと、SFとしてはちょっと物足りなさを感じた。もっとも、移民と仮想通貨にテーマを絞るために、あえてそれ以外の点の不整合は切り捨てたのかもしれないけど。

  • 仮想通貨のことは全く分からないので,こんな世の中になりつつあるのは本当に困る.でもこの本はwebエンジニア達3人を主人公にしてトラブルに巻き込まれながらたくましく切り抜けていくハラハラドキドキのエンタメで,とても楽しめました.そして,デザイナーの鎌田くん,真っ当な性格と写真のセンスと推理力に惚れちゃいました.

  • 舞台は2018年の東京。
    「近未来」といえば近未来すぎるほどの設定だが、TPPによる移民自由化により東京には外国人によるコミュニティが根を張り、他方、日本人の若年層では正規雇用からあぶれた者たちが「フリー・ビー」としてエスニックコミュニティと地下経済に関わりながら生きている。

    キーになるのが「N円」と呼ばれる仮想通貨。
    貧しくも厳しい外国人とフリー・ビーの社会では、高率の消費税を負担せずに簡易に決済できるN円が普及し、N円による地下取引によるアンダーグラウンドマーケットの存在が肥大しつつある。
    ECサイトの構築支援を生業とする主人公のフリー・ビーたちは、N円決済にまつわるトラブルに巻き込まれ、やがて巨大勢力の陰謀渦巻く危険な領域へと足を踏み入れていく。

    仮想通貨「N円」は、否が応でもBitcoinを連想させるが、(名指しこそされないものの)Bitcoinが失敗した後にアジア発で侵入してきた通貨として描かれる。
    EC、移民、税制、雇用環境…今日的な社会の課題が背景として設定され(TPPのほかマイナンバーにも言及される)、しかもその課題の捉え方が適切でリアリティがある。
    フリーのクラウド型会計システムがデファクトスダンタードになっており、そこにN円による決済を組み込むスキルが重宝される、なんてかなりマニアックだが実に「ありそう」な話だ。
    一方で、電車賃にも窮する主人公たちの移動手段が、高速で走ることのできる自転車である点が、小説に文字通りの疾走感を与えてくれる。

    とにかく設定が魅力的だ。
    が、本作では設定の魅力ばかりが勝って、お話自体はわりと淡白に終始してしまった印象。
    この設定で様々なエピソードが読みたくなる。

  • SF

  • 移民などアンダーグラウンドで税なしで流通する仮想通貨の話.むづかしかった.

  • 貧富の2極化が極端になった2018年の東京で、高額の税金に耐えられなくなった低所得層と移民が仮想通貨N円を基盤にした地下経済で生きているお話。

    短編ひとつ、短編集ひとつ、長編ひとつ読んだ藤井太洋。現代日本SF界注目の1人って感じ。

    ちょっと違えばそうなってそう、という絶妙に現実的な世界設定の中で地道な仕事や生き方を見せてくれるのが作風かな。
    ちょっと閉塞感がある舞台が多い気がする。
    未来予想図SF好きだ。
    語り口の雰囲気も好きだな〜。

    小川一水のお仕事SFに似てる感じ。
    さて次はどれを読むか。

  • デジタル仮想通貨「N¥」

  • もっとスピード感が欲しかった 場面がいちいち長い。

  • 良かった。仮想通貨で仕入れも売上も完結できて脱税できるのはわかる。でも裏帳簿を表に付け替えるとか1店摘発されると芋づる式で取引先に査察が及ぶとかまではあまりわかっていない。会計に明るくないからか。
    表のクレジットカード同様の信用の大事な口座になってて大変そう

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著者プロフィール

藤井太洋(ふじい たいよう)
1971年、鹿児島県奄美大島生まれの作家。国際基督教大学中退。ソフトウェア開発会社に勤務しながら小説を執筆し、2012年電子書籍『Gene Mapper』をセルフパブリッシングして話題になる。翌年、増補改訂版『Gene Mapper - full build-』を早川書房より刊行、単行本デビュー。2014年には『オービタル・クラウド』(早川書房)を発表、「ベストSF2014[国内篇]」1位、第46回星雲賞(日本部門)、そして第35回日本SF大賞をそれぞれ受賞。2018年『ハロー・ワールド』を刊行し、同作が2019年に第40回吉川英治文学新人賞を受賞。
2015年には日本SF作家クラブ第18代会長に就任している。

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