EPITAPH東京

  • 朝日新聞出版 (2015年3月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784022512673

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】東日本大震災から東京五輪へ。変貌していく東京。この街を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている"筆者"は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、「東京の秘密を探るための鍵は、死者です」と筆者に囁きかけるのだが。

みんなの感想まとめ

物語は、東京を舞台にした独特の体験を提供します。エッセイのような随筆部分と、筆者が執筆中の戯曲、さらに吸血鬼と名乗る人物の語りが交錯し、現実と架空の境界が曖昧になっています。読者は、東京の街を一緒に旅...

感想・レビュー・書評

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  • 物語というより、旅行記、日記的な感じ。
    なので、読んでいると自分も一緒に移動しているような気になり、東京のその場所へ行ってみたくなる。
    本当にそうなっているのか確認しに。
    そして、ところどころ物語、戯曲が挟み込まれている。
    1冊で色々なことをいっぺんに体験した感覚。
    他人の日常ってこんな感じ!?

  • エッセイのような小説のような現実と架空の話が混ざりあっていて不思議な感覚になる。それが心地よい。世代を超えて長生きすることと、お気に入りの酢を探す日常が同じ重さで書いてある。また、読んでいくうちに東京という街がどんどん無機質に思えてくる。

  • 筆者・Kは、小説を書くかたわら、今、戯曲を構想中である。
    作者・恩田陸を思わせる筆者は、行きつけのバーで、吉屋と名乗る男と出会う。
    彼は自らを吸血鬼だというが、現代の吸血鬼は血を吸わず、人のもつ情報を吸うのだという。

    都内のあちこちを舞台に筆者が書くエッセイのような文章がメインで、他に吉屋を語り手とした話と、筆者の書く戯曲から抜粋された「エピタフ東京」、3つの話が織りなすこの作品は、ファンタジーのようなSFのような、民俗学のようでもあり、日記でもあるという複雑な造り。

    よく考えれば東京に限らず大都市は多くの死者を抱えている。
    死者にまつわる話は多いはずだ。
    けれどそれを東京という年に無理なく落とし込んだところに恩田陸の上手さがある。
    さらに、東京を描いておきながらその背後には地下鉄サリン事件や、阪神淡路大震災、東日本大震災の存在がしっかりと根付いている。

    事程左様に一筋縄ではいかない作品なのだけど、面白かったのはやっぱり筆者視点のエッセイのような部分。
    うんうんなるほど、そうだよね、と頷きながら読んでいた。

  • エピタフ。墓碑銘。 
    恩田陸版「東京日記」。

    3つの要素から成る作品。
    筆者Kによる、東京をテーマにした随筆部分と、
    Kが現在地執筆中の長編戯曲「エピタフ東京」、
    吸血鬼と称する男の語り部分。


    天災や戦争、信仰や祭典(時に巨大生物の襲来)などを理由に、人々は東京を造り変えてきた。
    人の手により造られる都市は、一つの巨大な生き物のように恩田さんには見えている。
    無数の死者たちの記憶と、現在の我々と、そして未来に生きるものたちを乗せて、形を変えて在り続ける。
    それは有機的に増殖し続けた九龍城のようであり、「オデュッセイア」(『図書室の海』所収)の意志を持った王国「ココロコ」のようでもある。



    《恩田陸を読むぞ2021⑦》 
    ルール:図書館にある恩田陸の棚の、左側にある本から先入観無しで読んでいく。シリーズ物に当たったら、1から順に読む。

  • ものすごく恩田陸。

  • 私は、それなりに、中々の年季の入った、恩田陸ファンを自負しているものである。
    その立場から言うと。
    これは「全く同じ理由を以って、恩田ファンは大好きで、恩田さん嫌いは嫌いな本」である。
    もう、もう、もう、これはすごく好き!!!

    東京という都市にふさわしいエピタフ(墓碑銘)を探して。
    「東京という都市」に対する、恩田さんのエッセイにも思える。
    恩田さんは、東京の隅々を、こんな風に見て、考えてるのかしら。
    移り変わって行く都市の姿を。
    そこで生きて、死んでいく人間の姿を。
    そこで生きて、死んで、また生きて、再び死んで…そんな風に見ることができるなら、東京はどう見える?

    恩田さんのアイディアや思考が、何ピースにも散らばって、重なっているようで違う場面で、ぽつりと浮かび、ちょっとした波紋を残していく文章の数々。

    私は、恩田さんがキラキラと撒き散らしたピースの数々の中から、お気に入りを拾い出して、自分の視野を拡張して、私が住む都市と、私の墓標について、考えるだろう。

  • 一般的な小説が、時系列に沿って連綿と繋がっていくものだとすると、本作は無数の断片が積み重なっていくもの。
    本作中に描かれる断片だけでなく、過去の恩田陸の著作や、これまで自分自身が感じてきたこと、見てきたことなど、すべて重ねて、各断片の共通する点が混ざり合い、反する点が反発しあい、複雑な文様を作り出していくことを感じてそれを楽しむ。
    そういう小説。

  • 震災後の“東京”を多角度から描いた恩田陸さんの最新長編小説。

    始めのうちは、いったいこの話のスタンスはどこにあるの??と、あまりに取りとめのない話の進み方に戸惑ったけれど、段々にパズルがはまるように見えてくるものがあり、特に、自称「吸血鬼」の吉屋(ヨシュアと読めたりもするところがいいよね。)の不可思議さ&面白さに、新しい物語を読む楽しさを味合わせてもらった。

    恩田さんを思わせる“筆者”が、東京を主人公にした戯曲をあれこれ逡巡しながら書き進め、また、その脚本が劇中劇よろしく語られるところもよかった。(#^.^#)

    筆者とその友だちB子が東京をそぞろ歩く話、「趣味で」人相見をする“新橋の狐”さん、(たぶん)ゴジラが東京に上陸してしまうその夜の恐ろしさと同時に滑稽さ、など、SFなのか、エッセイなのか、エンタメ小説なのか、その混沌さがとても面白かった。
    今、一度読んだだけなので、これからもう一度読み直します。きっと二回目の方がずっとこの奥行ある話を楽しめるだろうから。

  • なんだろう、どーゆースタンスで読めばいいのかサッパリ。
    恩田陸、斬新すぎる。装丁もなにもかも凝っていて素敵だけども本当に待ちに待っていた長編新刊で期待値も高かかったのに、予想とはかけ離れた内容で戸惑うばかり。
    戯曲の部分みたいなあーゆーのが読みたかった。
    戯曲を作るための「筆者」の日々を描いた作品ってことなのだろうか?

    でも何はともあれ、恩田陸の長編新刊ってことですべてよし。

  • 東京を名詞でとらえるか、動詞でとらえるのか?はたまた、形容詞で掴むのか。
    東京というモノ一つで、これだけ書ける。それが恩田陸さん。
    カゴメカゴメを思わず口ずさんでしまった!死者の想いが作り上げる街を、改めて一人で味わいに行こうと思います。

  • エッセイ風味。
    サクッと手軽に読める。

  • 吸血鬼だと名乗る吉屋の視点から見る人間や東京のお話、本を書く傍ら長編戯曲「エピタフ東京」を書こうとする筆者のエッセイ風なお話、そしてエピタフ東京の断片的なストーリーが順番に描かれる1冊。
    エピタフ東京を長編でしっかり読みたい!と思わせるところと、これは恩田陸自身のエッセイ…ると思わせるところ、そして何かが解決するわけでも起承転結があるわけでもなく流れるように東京の日々が重なるところ、そしていきなり出てくる巨大生物襲来……久々恩田陸読んだなーーー!!ってなった1冊でした。どこかの短編に吉屋が出てくる話があった気がするので、探して再読します。

  • こういう話とくくれない。その不思議さが、いい。
    恩田さんの思いが出る部分には、興味、驚き、納得があることが多い。

  • エッセイだと思って読んでいくと、違うような、所々に出てくる作家に興味を持ちいつな読んでみたいと思う。
    恩田陸の世界と同じような小説何だろうな。

    先が気になり1日で読了。

  • ひとつの作品を執筆中の作家って、こんな感じなんだろうか…という、読者の覗き見的好奇心は満たされるかもしれないと思った。いろいろなピースが積み重なって、モザイク画のように物語が構築されていくのは面白いんだけども…自称”吸血鬼”の吉屋というキャラクターも面白いんだけども…突然現れた怪獣に???とさせられてしまい、あぁ恩田陸だ…といういつもの読後感でした。…いま気付いたけど、怪獣ってのは要するにあの地震+津波のことだったのか…(^-^;

  • 恩田陸独特の視点で、震災後の東京を見る。街を人を歴史を見る。そこに交差してくる吸血鬼やら戯曲やら怪獣?やら。東京にふさわしい墓碑銘とは何か。物語の種がそこらに撒き散らされ芽吹く。実に恩田陸らしい作品。

  • この本を読み始めて最初に感じたことは、ジャンルがよく分からない、というものだ。恩田陸の小説ではよくあることだが、これは全ページを読み終えた今でも、読んだ感想がまだよくまとまらないでいる。東京の様々な場所を巡る登場人物、戯曲「エピタフ東京」の内容とその構想を練る筆者、吸血鬼と名乗る吉屋の話がぐるぐる。一言で言ってしまえば、著者の東京観が垣間見得るような作品と表現できるだろう。戯曲「エピタフ東京」も、全部読んでみたいと思った。

  • 私は、東京の墓碑銘を探す。そしてepitaph東京という戯曲。吉屋からの視点。う〜む、なんとなく読み進んでしまった。

  • 現実と虚構が混ざりあっていて分けられない。「筆者」は恩田さん自身のようであり、架空の人物のようでもあり、他の登場人物もどこまでがホンモノなのか。相変わらず、本のなかで構想中の戯曲には(申し訳ないが)全くそそられないし、正直…だが、フィクションとノンフィクション、リアルとアンリアルの絶妙な混ざり具合が素晴らしい。恩田陸さんはこっちで攻めた方がいいのではないかと思うくらい。
    戯曲はあかん、戯曲は。

  • 戯曲を書こうとしている筆者が主人公。
    とはいうものの、これは小説か?エッセイか?そして作中作としての戯曲。東日本大震災の時の日記まであり。
    この作風に慣れるのに、しばし時間がかかった。
    結果としては、恩田陸らしいエッセイという感じが強いかなぁ?

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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