おひとりさまの最期

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 200
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022513250

作品紹介・あらすじ

「在宅ひとり死」のススメ。何でもあり、どんな死に方もあり!身近な友人の死を経験して「次はいよいよ私の番だ!」と切実な関心のもとに、医療・看護・介護の現場への取材から得た収穫を、惜しみなく大公開。

感想・レビュー・書評

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  • 新年最初の一冊がこれってどんなものかとは思いつつ、年末から読みかけていたもので。

    「おひとりさま」シリーズもこれで打ち止めらしい。テーマはずばり死の迎え方。「誰でも最後はおひとりさま」。言われてみればまったくそうで、さあ、自分はどこでどんなふうに死んでいくことになるんだろうか。上野先生は、自分の希望する「おひとりさまのまま在宅死」することが、今の、そしてこれからの日本で可能だろうかと、多方面にわたって調査し、考えていく。気軽に手に取れる装丁と筆致だが、「ケアの社会学」とあわせ、社会学者としての集大成と言っていい気合いの入った著作だ。(大作「ケアの社会学」は少しずつ読み進めているのだが、手に取ってから足かけ三年、まだ読了に至らない…。)

    たくさんの医療・介護関係者や施設・病院の事例が紹介されており、さまざまな終末期の迎え方が描かれている。「ケアの社会学」でも書かれているが、介護保険導入によって高齢者介護の現場は大きく変わり、今現在も変動のただ中にあるようだ。幅広く丁寧な調査から、今の時点で何ができて何が困難なのか、大体わかったように思う。医療や介護については、都会か田舎かにかかわらず、住んでいる地域によって、受けられるサービスにかなり違いがあることに嘆息する。

    上野先生の舌鋒は、当然いつものごとく鋭い。「孤独死」を撲滅すべき「悪」のように言い立てることへの異議や、見知らぬボランティアに「見守られて」死んでいくことなど誰もが望んでいるわけではないなどと書かれているあたり、実にその通りだなあと思う。「傾聴ボランティアもいりません」とあり、ほんと、なんで自分のことなど何も知らない人に向かって人生など語らにゃならん。ま、そういうのがしたい人はしたらいいけど、私は頼むから放っておいてほしいのよ。死ぬまでのことや死んでからのことにまつわるアレコレは、死んでいく当人ではなく、家族や周囲の人間の思惑で進むことばかりだなあとあらためて思う。

    うーん…と考え込んでしまう指摘も随所に。医療従事者には真面目で責任感の強い方がたくさんいて、患者から問いかけられる難問にも何とかして応えようとするが、宗教的領域に関することは専門家に任せた方がいいということ。尊厳死については、「生きるに値しない生」があるという考え方にたやすく滑り落ちていくという点で賛成しかねるということ。この二点については宿題をもらった気分だ。特に後者は、合理主義者の上野先生のこと、尊厳死には賛成なのではと思っていたので意外であった。何事もバッサバッサと斬っていくようで、その実「慈愛」としか言いようのない人間味のあるところが、上野千鶴子のすごさだと感じた。

    政府の進める在宅介護は、福祉にカネを使いたくない意図が露骨だが、上野先生は「政府の思惑はどうあれ、在宅介護自体は良いことなので利用しやすいかたちにしていけばいい」としている。私はここについては、反射的感情的に「勘弁してほしいなあ」と思ってしまう。今の情勢からして、いい方向に進むとはとても思えない。先生が繰り返し指摘されているように、「お世話する性」である女性の負担がより大きくなるのは火を見るより明らかではなかろうか。家族ではなく、いざというときに支えてくれる友人知人がたくさんいる「人持ち」の方の例がいくつかあげられているけれど、誰もがそういうキャラクターになれるわけでもない。私などどうなることやら、とため息が出る。

    ただ、上野先生がおっしゃるとおり、どう死んだかで人生の値打ちが左右されるわけではないのは確かだ。死ぬのはたった一回限り。大事なことは他にもある。

  • 上野千鶴子も迷っている。人の未来は誰にもわからない。

  • 上野千鶴子氏の「おひとりさま」シリーズの最終版となる第3弾。数多くの事例やインタビューなどを通し、「在宅ひとり死」が可能かどうかについて検証している。
    この20年の間に介護を取り巻く環境も家族関係(少子化や独身者、老老介護、別居親子など)も大きく変化し、それにともなう新たな問題や課題なども生まれてきていることも実感させられた。必読の一冊。

  • ひとりの最期はわがままなのでしょうか
    実際の現場に足を運び感じた知、データに裏付けされた知
    著者の感想や思考を述べたものはたくさんありますが、上野千鶴子の学者としての捉え方が存分に発揮されていると思います。
    なかなか読み応えのある本でした。
    つきなみですが私も彼女の最期をみてみたいです。

  • 「在宅ひとり死」
    本当にお一人様で在宅で死ねるのか、
    少しだけ希望が持てた。

  • 「在宅ひとり死」ができるか、終末期医療、介護の現状と上野先生の希望についてのレポート。
    ・カリスマ頼りでなく、普通の人でも回せるシステムの構築が必要
    ・「人持ち」となって元気な時から家族以外友人とのネットワークを幅広く持っておくこと
    ・医療者が全てを引き受けることはない、専門分野のことだけしてくれれば十分

    など、様々な指摘についてその通りだと思った。

    ただ、上野先生ほどの人でも、死についての感覚がまだ昔ながらの部分もあるんだなーと感じた。今の70代以上のおひとりさまはけっこう経済的にも豊かだからなんとかなるだろうけど、今の40代以降からはどうかな…

    最初、これからの埋葬法について「お墓なんていらない」と言い切ってくれてないか期待して手に取ったのだが、その件は言及がなかった。子どもがいる人でも子どもに迷惑かけたくないから永代供養の墓を求める、てことがちょっとだけ。

    あと30年、50年もしたら、死はシンプルになってるんじゃないかなと思う。お金ないから在宅死、お墓は作らず自然葬、散骨が当たり前と。遺骨の管理は自治体が行うのが基本、とかになるんじゃないかな…

    死に方や死んだ後のことにとらわれず、精一杯生きることが大事だと改めて思った。

  • 上野千鶴子氏は最近、終末期にフォーカスをあてて研究をしているようだがなかなか興味深い。
    生者と死者の間には乗り越えようがない断絶があり、生者の側があれこれしたところでも、死者の側の意志が反映されなければ、それは自己満足なのだろう。

    遺産目的による子どもの看護とか一旦脇において、あくまでも親も子も独立した人格。おひとりさまでも、最期を送れるようになればいいと思う。

  • <b>不明確な「おひとりさま」定義、経済試算も物足りない</b>

    すっかり定着したワード、「おひとりさま」を提唱した著者の最近作。
    おひとりさまが、理想的な死に方である「在宅死」を迎えるには。というテーマである。
    自分も、タイトル通りになる可能性は今後十分にある。

    著者は、「おひとりさま在宅死」は、政府の進める脱病院死(医療費圧縮)に合致するものの、
    アテにされている家族介護は親子どちらにも不幸であると切り捨てる。
    これは合意できる。

    想い出が蓄積された自宅での誰に気兼ねのない、おひとりさまの最期を理想としている。
    これに必要な条件は、
    ・地域の介護、看護、医療の巡回ネットワーク
    ・それを享受する資金(それなりだが、べらぼうな額でもない)
    ここまでなら、地方よりも都市部でネットワーク進展が期待できるし、金なら何とかなりそうだ。
    →ここらへんで、低所得者は切り捨てられている。(家族たくさんお持ちですよね)。

    だが、後半、著者は「ひともち」の重要性を言い出してくる。
    この方は、家族(子世代)をディスるが、友人はそうではない。
    長々と紹介されるのが、大学教授を友人縁者がチームを結成して看取るエピソードだ。
    全員女性、それぞれが優秀なスペシャリスト、おひとりさま率も高そう、なのだが、真似のできる人はまずいない。
    「看取り」期間に、友人(特に男、家族持ち)はアテにならないはず。
    純粋なおひとりさま想定で論を進めるべきで、ブレてしまっていないか。
    あと、孤独死の後処理費用、清掃費、保険、不動産売却など、負のシナリオ(転じて、民間リバースモーゲージ)も興味はあったが、
    テンプレの成人後見人制度が語られるのみで、理想論を語る本書では、そんな分岐はあり得ないようだ。

  • p148まで読了

  • P34
    選べない介護は強制労働。
    P169
    死にゆく人を一人にしたくない、死に目に立ち会いたい、というのは本人ではなく家族や周囲のこだわりでは?
    冷水浴びたような衝撃だった。
    周りは一人にしないよう、と考えても、死にゆく人の真実とは、
    「たまには、一人にしてください」
    私は身内を看取ったとき、いいバランスでできたのだろうか?

    最後まで読めず、途中挫折。
    読むの疲れてきた。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの ちづこ)
1948年富山県生まれの研究者。専攻は社会学で、女性学やジェンダー研究の第一人者として知られる。東京大学名誉教授。著書に『近代家族の成立と終焉』、『家父長制と資本』(岩波書店)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(紀伊國屋書店)、『ケアの社会学』(太田出版)、『サヨナラ、学校化社会』など多数。

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