おめかしの引力

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 508
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022513441

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】初めてのファストファッションに驚嘆し、マノロ・ブラニクで全力疾走、つい手に取ってしまう「豹柄」に大阪人を実感……6年間の流行の変遷と、それでも変わらない嗜好性。インタビューも特典収録して読みどころ満載のファッションエッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • もう本当におもしろい! 新聞連載時もとても楽しみにしていたけど、こうやってまとまったのを読むと、あらためてその文章のチカラが感じられて、自分までテンションが上がる。好きだなあ。

    「コンサバティブに用はない」と言い切る未映子姐さんが語る、「おめかし」のあれこれ。「モテ服」とか「年相応」とかのいじましい思惑なんか蹴飛ばして、自分がいいなあと思った服を着る。ハイブランドのバカ高さにパンチを食らったり、確定申告の時期にはあまりの被服費に青ざめたり、お母さんのパートの時給を思ってうなだれたり(こういうところが彼女らしい)しながら、それでも好きな服を買う。コミカルで笑える文章なんだけど、ファッションってなんだろう?って考えさせられる。ほんとにファッションってなんだろう。

    夫の「阿部ちゃん(阿部和重)」は、「サン・ローランばっかり買ってるけど迷いがない」そうだ。作品を買うと思えば値段じゃない、という考え方らしい。一方著者は、やはり服を買うことにどうしても後ろめたさを感じる、と書いていて、それ、わかるなあと思う。だって、服はあるもの、タンスからはみ出るほど。でもなぜか今日着ていく服はない。だから買いに行く。いいなと思ったのを試着して、あら似合ってるかも?と思えたときの高揚感や、お気に入りの服を着ているときの気分の良さって、ちょっと他にないもののように思う。

    でも、「たかが服」なんだよね。「心のなかにちっちゃい宮沢賢治がいるから(笑)。つねに過去の自分と、母親の時給のことを考える」という川上さんの感覚が好きだ。

    とは言うものの、かのプラダが芥川賞授賞式用ドレスの提供を申し出たというエピソードをお持ちの著者のこと、カラーページで紹介されているお洋服はどれもかっこよく、ご自身もフォトジェニックな美貌の持ち主だ。経歴も、その作品世界も一般人とは別物なんだけど、どこか「大阪のお姉ちゃん」的な親しみやすさがあるところが、また魅力的なのだな。

    連載時に読んであまりにおもしろく、よく覚えていたのが「ああ、金剛石よ!」という一文。ある撮影でつけた「ごろりとしたダイヤモンド」に魅了され、700万ほどするそれを、無責任な友人にけしかけられてもう少しで買いそうになった、という話だ。「『こ、ここで買ったらちょっと面白いのかも…』なーんて考えている自分がいるのである。恐ろしすぎるわ」とあって、笑った。この文章、本当に勢いがあっておかしく、ピカイチだ。

    あと、ハリウッドセレブのパーティメイクを真似してみたら結構いけてる気がして、そのまま買い物に行ったら、すれ違う人がみな警戒している気配がする、「?」と思いつつお店の鏡を見たら「そこにいたのはあり得ないほど濃いメイクをして、なんかものすごく強そうな、そう、まんま『デビルマン』な人」だった、というのも想像すると可笑しいです。

  • 目と目の間が短い方が何となく美しいと思われ、アイラインを目頭数ミリはみださせて描いたりしたけれど、言うまでもなく本来の目の位置が変わるわけでは決してない。で、離れていて何が悪いのと誰かにぽつり言われてみると、うまく答えられなかったりする。美に限らず、大概の事は根拠がなく、何となくのその時々の流れで決まることが多い。悩むこと自体がナンセンスということ。

  • 川上さんのエッセイって装丁が可愛いものばかりですね。
    装丁の引力で手に取りました。

    川上さんの文体はいつも思うのだけど本当に面白い。
    しゃべり言葉のようなのに何と言うか品があって、そして予想もしないところで急に格調高くなります。やぁすごいなぁ、やっぱし筋金入りの物書きだなぁと思いますね。
    気持ちよく読めます。きっとおめかしに興味のない男性でも本読みだったらすいすい読めるのではないでしょうか。
    読ませる力がある文体です。

    内容はね、それはもうタイトルがおめかしですから、ステキで可愛らしくてあらかた可笑しくてニヤニヤしてしまう。
    ところどころ力んでいる?ところでは一緒にグッと力が入ってしまったりなどして臨場感もあります。それにしても「もやは産後ではない!」って!爆笑しました。

    気になる作家さんなのにあんまり小説は手にとってないのです。文体が繊細で心を掴まれ過ぎるのでちょっと怖いのです。でも今後はこわごわ手を出してみようかな、ちょっと。

  • 多分女性向けのおしゃれに関する話題で、おっさんにはまるで役には立たないけどそれでも読んで楽しかった。女として生きることの幸せがうっすらと理解できたような気がする。

  • 一人旅をする新幹線の中で読んでしまった1冊。
    面白かった。
    「真夜中の恋人たち」が良かったので、へえーこのひとファッション詳しいんだ?と思いつつ手に取ったエッセイだったけど、タイトルが「おしゃれ」ではなく「おめかし」なのが絶妙だなと感じた。

    ちょっと値の張るネグリジェがほしくなってしまった。

  • 川上未映子さんの本を読むとき、ちょっとすました気持ちになる。女子力が上がるというか、お洒落な気持ちになる。
    それも私の中での「おめかし」なのかもしれない。

  • おしゃれ、と、おめかし、は違う。

  • 面白かった。が、ハイブランドをバンバン買っててすげーなと引いてしまう…。

  • 相変わらずの面白さ。コテコテ感もまた。
    装丁はユニちゃん。

  • 2016.5月読了。
    おめかししたい。突然来る波。
    これ系の本読んで思うのは、やっぱりいいものを、自分のほんとに気に入ったものだけあればいいんだということ。おめかしって自分自身を大切にすることだね。

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プロフィール

1976年大阪府生まれ。2006年に随筆集『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』を刊行。2007年に初の中編小説『わたくし率  イン 歯ー、または世界』が第137回芥川賞候補になる。同年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。2008年、『乳と卵』が第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞を受賞。2010年、長編小説『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞と第20回紫式部文学賞を受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞を受賞。

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