アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 435
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022513892

作品紹介・あらすじ

朝日新聞「ザ・コラム」の連載でアフロヘアにした理由や節電生活の実態を率直に綴り、その新聞らしからぬ書きぶりから大人気に。「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組にも相次ぎ出演、奇抜なヘアスタイルも相まって、大反響!そんなアフロ記者こと稲垣えみ子の退職までの3年間に朝日新聞紙上で書いたコラム記事と退職後に綴った書き下ろしエッセイをまとめた一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて新聞で著者のコラムを読んだときの「衝撃」を忘れない。何この人?朝日の編集委員がアフロヘア!しかも女の人。アフロにしたら人生初のモテ期が訪れたと書く、「人生は変えられる」と題したそのコラムの面白かったこと!

    以来、この方のコラムを楽しみに読み、ほぼすべてスクラップしてきた。徹底した節電生活に驚いたり、選挙についての意見に同感したり、およそ朝日新聞らしからぬ書きぶりが痛快だった。朝日はバッシングの渦中にあったけれど、こういう人がちゃんと出世してるんだったら、きっとだいじょうぶじゃないかなと思えた。

    だから、「退社することになりました」という最後のコラムはふたたびの衝撃だったのだが、その胸中を綴ったこの文章が、まあ実に良かった。飾らない言葉で読者と新聞への思いが述べられていて、いや私、初めて新聞に手紙を出そうかと思いました(出さなかったけど)。

    本書は、それらのコラムと、朝日が出している業界紙(?)に書かれたものに、書き下ろしを加えてまとめたもの。言葉がビンビン響いてくる。特に業界紙「Journalism」掲載の二編が渾身の迫力だ。「本当に心から、それもゲロを吐くほど心の底から言いたいことだけを書く」との言葉通り。そして、「本当に言いたいことは、その人のどうしようもない弱さやコンプレックスから出てくる」とのくだりに、深く共感した。「自分の弱さこそが光である」という言葉がすがすがしい。

    「朝日」で「女」なのだからして、あちこちからかなりバッシングを受けたことは想像に難くない。それで傷つかないわけがないのに、それでも、顔を出し、名前を名乗って、自分の思うことを正々堂々と書いていることに、敬意を抱かずにはいられない。これを支持しないでいられようか。

    • niwatokoさん
      新聞、朝日ではなく、報道ステーションも見てないので、この方のこと知らなかったのですが、すごくおもしろそうですね。コラムっていっても、ニュース...
      新聞、朝日ではなく、報道ステーションも見てないので、この方のこと知らなかったのですが、すごくおもしろそうですね。コラムっていっても、ニュース的な硬いものではないのですかね? エッセイ的な? ぜひ読んでみたいです!
      2016/07/29
    • たまもひさん
      これ、とても読みやすいです。ほんと、朝日の社説を書いていた方とは思えないですよ。とにかく読んでみてください!
      これ、とても読みやすいです。ほんと、朝日の社説を書いていた方とは思えないですよ。とにかく読んでみてください!
      2016/07/29
  • 「一人飲みで生きていく」という著作がとても愉快で面白かったので、さかのぼって読んでみました。まさに朝日新聞で書いていたコラムから辞めた直後の文章で構成されています。新聞に書いた文章なのですが大分くだけていますね。ある意味朝日新聞に書いていたとは思えないです。誉め言葉です。
    一番おもしろいのはアフロって人の心を掴むんですね。僕はもうアフロにするだけの髪もありませんが、確かに愉快な感じしますね。
    冷蔵庫の使用をやめる位に節電しているてのも凄いですが、当人が快適なのが一番です。

  • 稲垣えみ子さんの潔い暮らしぶりと、自分の実感に基づいた本質を素朴に書き出す文章にすっかりハマってしまいました。
    もうレシピ本はいらない、寂しい生活、魂の退社に続いて読んだ4冊目の稲垣さん本です。
    最後の章は書き下ろし。特に心に残ったのは、「ものを大切にしない」のは「自分を大切にしない」こと、とか、自分の欲望が他者に支配されていく、とか。
    他の本での主張ともかぶりますが(同じ人が書いているのだから当たり前だけど)、「つまり本当の自由とは(中略)必需品を増やすことではなくて、その逆、つまり必需品を減らしていくことなのだと思うのです。あれがなくても、これがなくてもやっていける自分を作っていくこと。もし、モノがなくても、そしてお金がなくても幸せに生きられるとしたら、果たしてこれ以上の自由があるでしょうか?」ここが、一番、心を打つところです。
    稲垣さんの本に影響を受けて、(私は稲垣さんとは違い、高給取りではなかったし、どちらかと言うとこれまでもケチケチ暮らしていたけれど、私は単にケチケチしていただけではないのですよ、モノが多いと苦しいし、むやみに捨てなくてはいけないのも消耗する。だから、少ないもので暮らしたいとずっと思ってきたんだよ〜!と急に胸を張れるような気持ちになりました。
    冷蔵庫も洗濯機も捨てることはできていないけど、自分にとっての必需品はなにか、他者に欲望を支配されないようにしたいな(あなたはずっとそうだったよと言われそうだけど、そうでもないんだよ)。

  • 寂しい生活やもうレシピ本はいらない、で知った著者
    文体が面白くて他の本も読んでみたいと思って借りてきた

    そうだ、この人新聞記者だったんだ
    だからこういう文体なのかも、と読んでいて思った
    橋本さんや脱原発の話は全く興味を持てず、朝日新聞が批判されたなんてことは知らないので内容が分からずじまい。
    今はマスコミではなく個人が情報発信する時代、その過渡期に退職されたんだろうなぁ。
    与党を悪者扱いしてただ叩いていれば良かった、なんて平気で書いていて、そりゃあ今何を書けばいいのか分からなくなるのは当たり前でしょ、って思った。
    誰かを悪く言うなんて簡単だし、それに決まりきったテンプレートに沿って書き続けていけば、自分の頭で何が良いのか考えなくなるからね。
    むしろ今までの新聞記者はそうだったんか、って驚いた。

  • アフロ記者として有名になった著者が
    朝日新聞に在籍していた最後3年間に紙面に掲載された
    「コラム」と、在籍中〜退職後に雑誌「Journalism」に
    寄せたコラムを集めたもの。

    著者の本は「寂しい生活」から2冊目。

    ところどころいいと思う文章はあるものの、
    一言で言えば「薄い」。

    橋下さんや、安倍さんに対して、
    今の記者が彼らの本気度に負けている、
    という部分は納得。


    しかし、世間が新聞離れしていることを
    朝日の掲げるリベラルが時代遅れなんじゃないか
    という感じで考察しているが、
    自身も書いている誤報道、結果ありきの論説、
    批判ありきの紙面から来ていることには
    ほんのりしか気付いてない。(そこですよ〜)

    多様化が進む時代で、正解なんてないのは当たり前で
    政治家=悪で批判だけしてりゃいい時代なんて
    とっくに終わってると思う。

    批判ありきだから、例えば新しい法律や条例に際して
    問題提起したとしても読む気にならない。
    そこには概要はなく悪い部分しかないからだ。
    新聞記事(テレビの報道もだけど)の中に
    読者が判断する材料がなさすぎるのだ。


    と、そこはまぁいいんだけど、(←いいんかい)
    考察するかと思うとそこまで深くは考察せずに、
    なんとなく自分が体験したことを体験した範囲内で
    語るにとどまっており、
    政治や大きい事件などに携わっていないという
    著者本人の弁明を頷ける様な深掘りのなさだった…

    最終的には、自身がやってる節電のための
    エコ生活のこと…。


    「寂しい生活」はそれがテーマなので
    面白く読めたけれど、
    これはタイトルがタイトルだし、
    浅すぎて多分この人のはもう読まなくて良いかな、
    という感じ。

  • 第4章(マスコミ希望の学生へのメッセージ)に顕著だったので気づいたのだが、私、『~は~なんだ。』という文末の文章が苦手みたい(『~と思う。』で良いところを『~と思うんだ。』みたいな)

    他の章はそうでもないのになぜだろう。

  • 本屋さんでこの帯を見て、目が止まった。これははめられたのか。だけど、どのコラムもグイグイと胸に刺さりました。とても冷静に現実を分析して文章にし、そして謙虚に受け止めている。だから痛いほど伝わったのですね。アフロの理由までも。

  • アフロ記者こと稲垣えみ子の退職までの三年間に朝日新聞紙上で書いたコラム記事と退職後に綴った書き下ろしエッセイをまとめた一冊。(表紙見返しより)
    『侘しい生活』にまとめられた節電生活関連の話と重複する部分が多い。なので、個人的には本書の読みどころは、橋下氏の動向に朝日新聞としてどう対処したかが綴られた第三章。
    また、第四章は記者としての総括といえる。
    最終章は朝日新聞を退職し、第二の人生を踏み出した感慨を書く。

    『侘しい生活』は2017年、本書は2016年の刊行であり、その後でた著作は食にまつわるもの。今後は節電生活から得たライフスタイルと思想の伝導者として暮らしていくのか? 記者という生業には決別したのか?
    食の本も読んでみようと思う。

  • 稲垣えみ子さんわー知りたくて。
    今の生活を知る前に、新聞記者時代を知りたかった。
    あと…なぜアフロになったか(笑)
    まだまだ読んでみないとつかめない人だ。

  • 謙虚な姿勢はいいけれど、当たり前のことを書いているだけにも見える。当たり前は人や年代、経験などによって変わってくるだろうけど。

    「難しいことはお上にお任せ。うまくいかなければ文句を言う。私たちはいつのまにか、そんな思考に染まっている。」という文言があった。

    「私たち」と一緒くたにされるのは心外(苦笑)
    そんな思考を植え付けたのはマスコミでもあったのでは(苦笑)

    払ってもいい金額:300円
    付けた付箋の数:3(うち批判部分1)

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著者プロフィール

一九六五年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社で大阪本社社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員を務め、二〇一六年に五〇歳で退社。以来、都内で夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしのフリーランス生活を送る。『魂の退社』『もうレシピ本はいらない』(第五回料理レシピ本大賞料理部門エッセイ賞受賞)、『一人飲みで生きていく』『老後とピアノ』など著書多数。


「2023年 『家事か地獄か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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