漂うままに島に着き

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 270
感想 : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514035

感想・レビュー・書評

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  • 「捨てる女」が面白かったので、読んでみた。
    こんな風に思い切って新天地で生活してみたいと思うが、側から見て思うほど、楽しいことばかりではないのだろう。内澤さんは、その辺も踏まえて引っ越されたが、地方に行けば天国!のような単純な地方礼賛はそこに住む人たちにも失礼な気がする。

  • 内澤さんらしく、サバサバと語られる移住の顛末。間違っても「田舎暮らし礼賛」なんてことにはならず、リアルな実態が詳しく綴られているので、実際に田舎で暮らそうかなと思っている人にはとても参考になるのではないか。

    しかしまあ、内澤さんって「都会の人」なんだなあとつくづく思う。自分自身は、地方の片田舎で生まれ育ち、今も都市近郊ではあるけれどやはり紛れもない田舎に住んでいるので、著者のお祖母さんやお母さんの「田舎への憎悪」の方が、どっちかというとよくわかる。

  • 2021/10/12

  • 内澤さんの本は3冊目か。
    『身体のいいなり』『捨てる女』の時期にもリンクする。
    東京を離れ、小豆島の空き家に移り住み、そこでの生活などをつづった本。
    文章を読んでいるとバイタリティーあふれる感じではないのだけど
    行動している内容はレベルが違うというか。
    夢物語としての田舎住まいではなく、
    考えながらひとつひとつ進んできた過程が、
    移住を考えている人にとってはどれも貴重な情報だろう。
    島専門のコンテナ引越業者のオジサンがカッコよかったなあ。
    「食べ助け」という言葉もはじめて知った。
    作ったものを無駄にしないためにお互いもらいあう。納得。
    不便な中で、丁寧に、自分のくらしを作っていくために、
    こだわりすぎると時間はいくらあっても足りず、
    仕事をする時間がなくなれば現金収入が減り、
    暮らすどころではなくなる。
    その塩梅は人それぞれだけど、
    なんにしてもエネルギーのいる日々だと思う。
    ゆるいつながりの中で、いい距離感をもって、周りとの関係が続いていくなら
    こういう暮らし方も楽しいのだろうなー。

  • 僕が知っているだけでも、世界中の屠畜現場を取材して回り、豚を3匹肥育し出荷し、乳がんを手術し、断捨理して、そして離島に移り住むという状況です。どうもここしばらく(2年位)はストーカーと戦っていたようです。盛り沢山な人生ですね。

    狭い所に住むのが耐えられなくなり、断捨理し、離婚し、引っ越してそれでも満足できずとうとう小豆島へ移住するという本です。小豆島と言えばオリーブ位しか知りませんが、なんとなく明るそうでいい場所なんじゃないかなと。この本読むとそのざっくりとした印象は間違っていないようです。
    有名な島で観光地でもあるし、移住も盛んなので住民が慣れているのが大きい。田舎暮らしで心配なのは兎にも角にも地域住民が温かく受け入れてくれるかですから。村八分になってゴミ捨てられなくなったり道通れなくなったりした話聞きますから、もし自分が移住者になるとしたら戦々恐々です。
    内澤さんもそれを心配していましたが、とてもハートフルに受け入れてくれているし、そもそも移住者が多いのでコミュニティーが既にあるのはとても心強いです。
    内澤さん猟師の免許も取ったようで、どこまで行くんですかと聞いてみたい。車の運転ろくすっぽ出来ないのに猟銃は撃てるとはかっこいいです。
    ちなみに車の運転ろくすっぽというのはどれくらいかというと、どれがアクセルでブレーキか忘れているというレベルです。年取らなくても免許返納レベルです。

  •  9年前から続けてきて、だいぶ最終段階が見えてきた断捨離。断捨離してどうなりたいのか、どうしたいから断捨離するのか、どうして身軽でいたいのか。ぼんやり考えている。
     どこかに根をおろすとか、考えられない。まだどこで生きていくのか決まってない。かと言ってどこに行きたいのかは分からない。ただ漠然と、ここではないどこかへ、今いるとこじゃない環境へ行きたい気持ちが深々と積もっている。岐路に立っているのは間違いないんだけど、自分の前に道はあるんだろうけど、どれひとつ見えていない。うえー息苦しい。
     てなところで年明けに読んだ著者の「捨てる女」。立場も住んでる場所も違うけど、捨てたい、解放されたいという気持ちは同じだった。著者は結局島へ移住したと知り、捨てた女の顛末が知りたくて本書を手に取った。著者が移住された少し後に偶然私も小豆島をひとり旅していた。小豆島が吉方どストライクだとan・anで読んで、普段ならやらないことだけど、3泊4日(はしないとだめ、とan・anが言っていた)、いきなり旅立った。当時は過労で倒れた後の職場復帰後で、以前の自分に戻れなくて前が見えなかった。短い時間だったけど、穏やかな海とゆったりした景色に癒された。でもそのあとも不調は続き、捨て続けて今に至る。
     「近いうちに脱出するという確証なくして生きていくのが、辛い」「それでも前に進みたい。未知の島に身を置いて、未知の自然、未知の人間関係を味わってみたい」。読んでいて刺さった言葉。ずっとこの会社に、この地にいるんだと思うと、つらい。家を建てたり身を固めたりしている人を見て、なぜか自分にはそんな願望がないな、と思う。故郷を持たないからだろうか。どこかへ行きたい。ここで自分の人生(特に職業)終わるの? と思うとピンとこない。たまに無性に息が苦しくなって遠くへ逃げたくなる。新鮮な空気を思い切り吸いたくなる。そんな気分をライブ遠征とかの小旅行で紛らわしては日常に帰る繰り返しもそろそろ終わりにするべきかもしれない。むくむくと、漂いたい願望が湧いてきた。
     あとがきを読んで、その後何やら事件があったと知り、ネットで検索してびっくり。これは次の本も読まねば。女ひとり自由に生きるというのも大変なんだなあ。やれやれ。

  • ううむ、私も島に移住したくなっちゃうなぁ。

  • 変わらず文章は好きだが「世界屠畜紀行」を読んでしまうと、以上のものを望むのは酷なんでしょうね。小豆島に暮らすまでと暮らしの日々がいつもの内澤タッチで描かれています。週刊文春に連載されてますがストーカーとの顛末大変だったんですね。こういう心配のない色々な環境で、変わらず好奇心旺盛な視点での作品楽しみにしています。同い年なので人一倍応援しております。

  • 筆者の行動力は尊敬に値するし、文筆家としての観察眼もユニークです。
    読後感が少ししんどいのは何故だろう。

  • 小豆島への移住の顛末。それまでの家履歴や、移住に向けてあれこれ思案する過程がおもしろい。

    <あとがきより>
    この原稿を書いている2016年6月の時点で、転居を決めた。ヤギ2匹を連れて島を出てゆく。フェリーに乗り込む自分を想像した時に、涙が止まらなくなった。島で出会った人たちと、ずっと一緒にいたいという気持ちが勝った。
    3年前の今頃、航空券の手配をしていた。あの頃に戻れるならば、自分に何を言うだろう。考えてみたけれど、何もない。住んでみなければわからないことばかりなのだから。ダメならそこで考えて、住みやすくなるようぶつかってみるか、尻をからげて出ていくか。その二択しかない。

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著者プロフィール

1967年生まれ。神奈川県出身。文筆家、イラストレーター。緻密な画風と旺盛な行動力を持つ。異文化、建築、書籍、屠畜などをテーマに、日本各地・世界各国の図書館、印刷所、トイレなどのさまざまな「現場」を取材し、イラストと文章で見せる手法に独自の観察眼が光る。2011年、『身体のいいなり』(朝日新聞出版社、のち朝日文庫)で第27回講談社エッセイ賞を受賞。他に『世界屠畜紀行』(角川文庫)、『ストーカーとの七〇〇日戦争』(文藝春秋)、『着せる女』(本の雑誌社)など多数。

「2021年 『飼い喰い 三匹の豚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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