池上彰が聞いてわかった生命のしくみ 東工大で生命科学を学ぶ

  • 朝日新聞出版
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514059

感想・レビュー・書評

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  • なるほど。そういうことだったのか、オートファジー。

  • 進化には多様性が重要。多様性は余裕から生まれる。余裕は無駄が存在する。無駄に見えるものが実は重要な役割をしていること、多々あるのかもしれません。

    タンパク質が細胞を作る
    消化酵素もDNAも。アミノ酸やビタミンは補酵素にすぎない。結局はバランス。バランスの良い食事。

    がん細胞をとっても、DNAのエラーは消えない。神経細胞だけは生まれ変わらない。
    遺伝子組み換え食品が危惧されるのは、それが遺伝子にどんな影響を与えるか不明確だから。


  • 東工大で現代史を教えている池上彰さんが、教授の岩崎博史さん田口英樹さん
    そして栄誉教授の大隅良典さんと、対談形式で生命科学を語るもの。

    すごく難しく思われそうですが、実は面白くてとてもよくわかる内容になっています。
    私は理科が超苦手で、小学生向けや漫画にしたもので学ぼうとしても挫折した人です。
    ところが池上さんの『はじめてのサイエンス』が奇跡的に面白く理解できたので
    この本も読んでみました。

    「なんでよくわかるのかなぁ?」と考えてみたら、
    池上さんは「わかりやすい例え」をだしてくれるんですね。
    いくつか例を書いておきます。

    ●「オスとメスがいるのはなぜですか」
    オスとメスに分かれて多様性を増やしていくという戦略は、
    生命全体の生存には有効である一方で、
    私たち人間は一人ひとり恋愛などで悩み、
    人生が複雑になってしまうわけですね。(池上)

    ●「細胞膜にはどんな特徴があるのですか」
    普通の物質は通さないけれども、
    ブドウ糖だけは中に入れるような穴があります(田口)
    たとえば、人間が密室の中で過ごそうとしているけれども、
    完全な密室では酸素が入ってこないから通気口を作る。
    でも、有害な微粒子が入ってくるのは避けたい。
    新鮮な空気だけを取り組むための特殊な通気口、いわばフィルターのようなものを作った、というところですか(池上)

    ●「DNA、遺伝子、ゲノム、染色体はそれぞれどう違うのですか」
    遺伝子やゲノムは生命の中の情報であり、
    DNAと染色体は物質である、
    さらに、遺伝子をまとめたものがゲノム、DNAの集まったものが染色体ということですね(池上)

    ●「生命がDNAを使うメリットは何ですか」
    まさに情報を運ぶメディアだったということですか(池上)

    ●「DNA鑑定のときにミトコンドリアを調べるのはなぜですか」
    ミトコンドリアも小部屋の一つであり、
    独自のDNAが小部屋の中にあるのですね(池上)

    ●「タンパク質は何種類あるのですか」
    人間のタンパク質2万5000種類がいつも同じ場所ではたらいているのではなく、
    必要なときに必要な場所で、必要な分だけ作られています(田口)
    人間の体をひとつの会社とすると、
    タンパク質はその社員みたいなものですね。
    適材適所に配置されているかのようです(池上)

    ●「タンパク質はレゴブロックが集まったナノマシン?」
    アミノ酸はタンパク質のパーツであり、それを細胞内で都合よく組み合わせていると。
    まるでレゴブロックのようですね。(池上)

    ●「コラーゲンを食べるとお肌がぷるぷるになるのは本当ですか」
    コラーゲンを食べても、レゴブロック一個一個にまで分解されて、
    そのままコラーゲンに再構築されるわけではないのですね。
    お肌のためにコラーゲンを食べよう、と言ってきた女性たちは、
    がっかりするかもしれませんね(池上)

    ●「タンパク質はどのようにして作られているのですか」
    大腸菌も植物も昆虫も人間も、同じ4種類の記号、同じ暗号表を使っていて
    共通の20種類のレゴブロックで体を動かしているということですか。
    よく考えると衝撃的ですね(池上)

    ●「タンパク質はどのようにして紐から立体になるのですか」
    紐が立体的に折りたたまれることで、初めてタンパク質として機能するようになるのです
    紐同士が絡み合う前に正しい形に折りたたまれる必要があります。
    その作業をサポートするのが「シャペロン」というタンパク質です。
    シャペロンというのは、もともとはヨーロッパで、
    社交界にデビューするレディが一人前になるのを助ける年上の貴婦人のことをそう呼んでいました。(田口)
    深窓の令嬢ですね。大事に育ててから社会デビューさせるわけですね(池上)

    ●「リサイクルシステムはどう使い分けされているのですか」
    細胞を一つの会社とするなら、ユビキチン・プロテアソーム系は人員の配置替えを丁寧にやっているのに対して、オートファジーは部署ごと取り壊すようなものですね。会社がつぶれそうなときに、一人ひとりどうしようか考えている暇なんてないだろう、という状況に近いと言えそうです。(池上)

    ●「細胞がいつもリニューアルしているって本当ですか」
    知り合いに10年ぶりで会ったとき、見た目に10年前の面影があっても、
    細胞は完全に生まれ変わっているわけですね。(池上)
    10年どころか、数か月でほぼ一新されるといわれています(田口)

    ●「生命には無駄や多様性が必要ですか」
    ゲノムの無駄なところが、実は多様性を作るのに重要であったわけですね。
    人間の会社の中でも、会社が危機になると、普段は何もしていない人が活躍するということもありますからね(池上)

  • メモ:生物学はバイオロジー、生命科学はライフサイエンス。生物学のほうがより大きな範囲。DNAを主体とした生命観。

  • 生きていると死んでいるの違いは何か?
    細胞の観点からわかりやすく説明がされておりさらさらと読めた。
    DNAは人間に必要なたんぱく質の設計図で、RNAにコピーするときのコピペミスによって多様性が生まれる。1回のDNA複製でだいたい12箇所ミスる。
    人間の細胞は、受精卵やその後しばらく(ES細胞)は手にも足にもなんにでもなれるが、分裂が進むと設計書にカーテンがかかり手なら手の細胞にしかならない。
    iPS細胞はすでに特定の細胞になった状態から、設計書のカーテンをあけて違う細胞になれる。
    高校のとき生物でならったような単語も出てきましたが、こうやってわかりやすく体系的に学ぶことでこんなにも面白い分野だったのかと思いました。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:460||I
    資料ID:95160917

    対談形式で文系の人でもわかるように書かれているので、特に高校で「生物」を履修してなくて、「生物学」や「生化学」などの科目が苦手な学生さんはぜひ一度読んでみて下さい!!
    暗記ばかりで面白くないと思っていた「生物学」に対する認識が変わり、生物学や生命科学に興味が持てるようになりますよ。
    (生体分子分析学研究室 山岸伸行先生推薦)

  • 東工大生命の岩崎、田口先生へ池上さんが聞き手のなって対談本。巻末にはノーベル医学生理学賞受賞の大隅先生とのスペシャル対談もあって得した気分になりました。

    僕の様な生命科学にズブな素人として、池上さんの素朴な疑問を問いかける対談形式な本書はとても読みやすかった。

    - 生命科学とはどんな学問?
    - 生きている、とはどういうこと?
    - ウイルスは生物?
    - オスとメスがいるのはなぜ?
    - 植物と動物はどうちがう?
    - 死ぬとはどういうこと?
    - がん細胞ができるのはなぜ?
    - 地球上に多くの種類の生物がいるのはなぜ?

    というような、
    素朴な疑問を第一線の専門家である先生に聞いている。

    またまた若干専門的な質問まで。

    - DNA、遺伝子、ゲノム、染色体はどうちがう?
    - クローン、ES細胞、IPS細胞とはなに?
    - DNAとタンパク質をつなげる「生命の統一原理」とは?
    - DNAとRNA両方あるのはなぜ?
    - 両親のゲノムから子どもの特徴は予測できる?

    このような疑問まで。

    生命科学の分野の人からしてみると、上澄みの疑問ばかりで物足りないかもしれないが、僕のような素人からしてみたら、ちょうど良い入門編な内容でした。
    これ以上、専門用語などが多く出てくると読破できなかったかも…。
    ノーベル医学生理学賞受賞により、普通のニュースやワイドショーでも生命の話題が当たり前に出てくるようになった昨今、最低限のリテラシとして読み始めるに最適な本だと思った。

    巻末の池上さんのまとめでこう書かれていました。

    ======
    私達の存在は、偶然に偶然を重ねた結果なのだということがよく分かる本になりました。進化はよく「環境に適応して生き延びてきた」という言い方をされます。<略>
    しかし実際はそうではありません。生物は突然変異を繰り返し、たまたま環境の変化に適応できる種が生き残ってきたのです。それはもう偶然としか言いようがありません。「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」を繰り返してきたのです。<中略>
    生命現象を学んでくると、進化には多様性が重要であることがわかります。その多様性は余裕から生まれます。余裕は、無駄が存在するから、無駄があるからこそ、生物は進化してきたのでしょうか
    ======

    偶然に偶然を重ねた結果、僕らがいる奇跡。
    生物化学的にはこうであってもどうしても更に高次元の存在と意図を考えてしまう。そしてワクワクするw

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ あきら)
1950年、長野県生まれのジャーナリスト。東京工業大学特命教授、京都造形芸術大学客員教授、名城大学教授、信州大学・愛知学院大学特任教授、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会理事を兼任する。
慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年から2005年までNHKで記者として勤める。以降、フリーランスのジャーナリストとして活動。ニュース番組で人気になった。2012年から2016年までは東京工業大学リベラルアーツセンター専任教授を勤め、定年退職後も学生教育に関わっている。

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