春に散る 下

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.89
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本棚登録 : 136
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514424

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】残された人生で何が成せるか? 夢を見るときに人は強くなる──。4人のもとに現れた、才能あふれる若きボクサー・翔吾にボクシングを教え始めた4人は、いつしか彼に世界チャンプの夢を託すようになる。著者渾身、現時点での集大成たる一冊!

感想・レビュー・書評

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  • 下巻です!

    上巻よりも面白く読めました。
    著者の意図した主題である、時の流れとの折り合いの付け方、というテーマからは離れますが、才能ある若手ボクサーの登場で、皆のボクシング熱が再燃していく様がとてもよかったです。
    お爺達が若い子に指導する姿にもわくわくしたし、戦術や練習法など、試合に至るまでの展開もリアルでよかったし、実際の試合も手に汗握る感じでドキドキしました。

    面白かったんだけど、佳菜子の存在の意味だけは最後まで見出せませんでした。
    登場早々主人公のおじいちゃんに接近してくるところから違和感があり、その後明らかにされた彼女の過去にも鼻白んだし、結局怪我治せないし・・・
    この小説にあの子必要?
    彼女の存在しない、もっと男臭い世界でよかったんじゃないかなーと、沢木さんに言ってみたい(ウソ・笑)。
    (紅一点玲子さんがいればいいと思います!)

  • 古い読者なもので、沢木耕太郎といえばノンフィクション作家のイメージが強いのだが、そうか、こんな小説も書くようになってるんだなぁ。

    元日本チャンピオンクラスの老人(還暦すぎて古希近い)4人のシェアハウスで世界チャンピオンを育成するというのがおおあらざっくりのストーリー。確かにボクシングにまつわる記載が多いのだが、この小説の主題は「定年後男子の理想郷」を描いたものなんじゃないかと俺は思う。

    若いころ共同生活しともに世界を目指した男たちが、別々に生きた年月を経て再開し、それぞれの個性を侵すことなくほどほどの距離を保ちつつ、もう一度共同生活を行い、それぞれの若かりし頃の必殺技を伝授しつつ、一人の青年に世界チャンプの夢を託す。

    彼らにとって、なんてすばらしい生活だろうか。しかも彼らの周りには美人(彼らの歳相当の人と若い人と両方)を含め、力強くて温かい協力者がたくさんいるのである。当然、小説らしい様々なドラマが起こって読ませるのだが、ひょっとするとそういう紆余曲折の描写はこの物語においては些末な話なのかもしれない。それくらいに日常生活の記述がいい、うらやましい。

    ご都合主義でおめでたい非現実的な設定も多々出てくる。人の夢を聞いて「のんきなやっちゃ」と小ばかにするタイプの人は楽しめない作風だと思うが、俺なんかは「ええなぁ、こういう風に歳取りたいなぁ」と幸せな読書時間を過ごせた。

  • 黒木を育てることで,みんなが纏まって行くところが,夢に向かって進むことの大切さを教えてくれる,佳菜子の生い立ちもなかなかにドラマチックだが,それも含めてタイトルマッチになだれ込んでストーリーは盛り上がり,,,そしてここにタイトルの意味がわかる結末.ぐっと胸にくるものがありました..

  • 後は読者の想像にお任せします系

  • 2017.5/24 一気読み。出会った青年翔吾のあまりの能力の高さに出来過ぎ感はいなめないが、読んでいて気持ちがよい。上巻で見えなかった広岡の来し方や、佳菜子の過去もはっきりしてスッキリ(;^_^)でもあの終わり方は悲しすぎて。。。

  • 上巻に続き、とても良い気持ちで読了。あざとい仕掛けや特殊なことは何も起こらず、本当に身近に起こりそうなストーリーにとても親近感が湧くし主人公たちに深く同情できる。最後はやはりという感じだが、それでも読後感は爽快。

  • スポーツ選手の引退後
    老い

    新聞連載初めてワクワクしながら読めた。
    主人公だけでなく、元ボクサーの味のある会話や表情など感情移入しやすい。
    若干ではあるが、超能力のくだりがどうかと思ったが、黒木との出会いの場面がかっこよかった。その出会いによって、元ボクサー達がそれぞれ気持ちを変えていく過程もしっくりきた。結末はショックだったが、最後まで仲間を思う気持ちに感動した。

  • 少し現実離れしていたが、読ませる。

  • 感動のラストなのに最後まで物語に入って行けなかった。何が不味い?いや何かが私に合わないんだろう。物語が一々後追い説明調なのが最後まで気になった。映像にしたら面白いかも。

  • 「世界チャンピオンへ」の合言葉に四人のかつてのボクサーが、自分の必殺技を伝授しながら一人の青年を育て目標に向かって、五人六脚で邁進する日々を描く。リングの臨場感そして選手の心理描写は、骨太で明快な切り口の文章によって心にビシリ伝わる。老い、夢、そして人生において貴重なものが、主人公広岡の口調で語られると妙に納得する。蛇足的な章もあるが「テロルの決算」「敗れざる者たち」「深夜特急」と共通した沢木さんの筆致を味わえる作品。今の季節に相応しい終章もまた味わい深い。

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著者プロフィール

沢木 耕太郎(さわき こうたろう)
1947年東京生まれのノンフィクション作家、小説家。横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、ルポライターとして活動、注目を集める。
浅沼稲次郎暗殺事件で刺殺された浅沼と、その犯人である少年を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、バックパッカーのバイブル『深夜特急』をはじめ、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説などを発表。2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し話題となる。
2003年これまでの作家活動で第51回菊池寛賞、2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞、2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。

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