クラウドガール

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 262
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514448

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】姉妹にしか分かりえない、濃密な共感と狂おしいほどの反感。刹那にリアルを感じる美しい妹・杏と、規律正しく行動する聡明な姉の理有。二人が「共有」する家族をめぐる「秘密」とは? スピード感と才気あふれる筆致がもたらす衝撃のラスト! 初の新聞連載。

感想・レビュー・書評

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  • 自分が見ている世界が、どうやら他の人にはまったく違う様に見えているらしいと気づいたのは
    いつの頃だったか・・・
    世の中に正しいことは一つで
    白いものは白いし黒いものは黒い。
    そんなシンプルな世界は、それと同時に
    あっけなく崩壊してしまった。
    同じものを見たって、ある人は美しいといい
    ある人は残酷だという。
    それはたとえ仲良く育った姉妹であっても同じこと。
    同じ母親に育てられながら、全く違う母の姿を見ていた姉妹は母の死因すら共有できず憎しみと混乱に陥ってしまう。
    だけど、人はどうしたって自分の見たいものだけを見て信じたいものしか信じられないようにできている。
    自分の取捨選択だけを頼りに生きていこうとする姉妹の姿は、逞しさという一点でそっくりだと思った。

  • 「気持ち悪いぬいぐるみ持ってるだけで、同調を求められないんですよ。列に並ばなくても、奇声あげても、ああなんだ変な人か、で終わるんです。変であることって、日本では武器なんですよ」

    『人は何のために恋愛をしているんだろう。決して不完全性を克服できないなら、全ての人にとって恋愛は暇つぶし、逃避でしかないんじゃないだろうか。でも、私にとって人生がそれ以上の意味を持ったことがあっただろうか。』

    『自殺したママ。自殺を許さない晴臣。自殺を隠蔽した祖父母。自殺を幇助した姉。自殺なんてなかったように振る舞う自分。きっと、皆それぞれの切実な思いの中で、最善と思われる選択をし続けてきた結果が、この今なのだ。』

    『関係ないと言ってもらいたい気持ちと、関係あると言ってもらいたい気持ちと両方あって、関係ないと言われてショックを受けている部分と、ほら見ろやっぱり関係ないと思っている部分と両方あった。』

    「いいよ。そんなの自分でできる」
    「自分でできることを人にしてもらうことに意味があるんじゃねえの?」

    『文字、画像、映像、あらゆるデータを無制限に保存できるようになった私たちは、それらがどれも加工修正可能な、不確かなものでしかないと思い知らされた。私たちにできるのは、どの情報を採用するかという選択だけだ。』

    『何が正しく、何が間違っているか話し合い、二人にとっての真実の基準を作り上げていけるのではないだろうか。そしてその価値判断の連なりこそが、血の繋がりや性別、年齢や出生などよりも強固で必然的な繋がりを作る要素になり得るのではないだろうか。』

  • 女の人の書く小説は人を見る目が容赦ないなあ人間のいろんなところを見逃してくれないなあと思いました

  • よくわからない。
    こんなんでお金もらえるんだ。
    詐欺みたい。

  • 読みやすいけど鬱になりそう。

  • 金原さんの小説の描写は、一見、不純、不道徳、不潔、背徳、堕落。
    でもそれのみを見て作品を否定するのは筋が違う。逆にそれって日本文学の正統な流れをくむものだと思う。川端康成しかり、谷崎潤一郎しかり。中上健次しかり。
    だから、現在の「清潔志向」の日本で、金原さんの作品を、さも下品で汚れたものを見るように嫌悪するのは真っ当ではない。
    言ってしまえば、文学とはそういうものなのだ。
    人間の奥底に潜む汚れて澱んで私たちのような一般人の目に見えなくなっている人間存在の核となるものを取り出すために、あえて汚れて腐臭を放つ泥のなかに手を突っ込み、その「何か」を取り出し、誰にでも見えるように作業をするのが作家の本分だ。

    金原作品を読むのは「蛇にピアス」に続き2作目。
    相変わらず登場人物の感情の起伏が尋常でなく、また、酒、セックス、夜遊びが女子の日常生活として明確に描かれるさまは彼女の独擅場だろう。

    でもしかし、私は「蛇に~」を読んだとき、彼女に日本文学の正統な承継者になってほしかったが、本作品ではそこまでに到達しているとは思えなかったため、あえて苦言を以下に連ねる。
    1 女性の綿々たる感情の吐露や行動は、姉の理有、妹の杏ともに突飛な場面もあるものの破綻せずに描き切っているように思う。
    しかし、男性の心理や行動の描写が、女性に比べると格段に劣る。どこかから取ってつけたかのような「切り貼り」の人物描写であり、男性の会話が入ると、途端に物語のテンションが下がるように感じる。つまり、男性の描写が力不足。

    2 比喩などの使用が自分なりに咀嚼できていないのではないか?
    『選んだのが地獄へと続く道であったとしても、「地獄に行くか行かないか決められない地獄」から脱出できたということはある種の解放だ。戦争がいつ起きるかいつ起きるか、と怯えている人が、実際に戦争が始まった時ある種のカタルシスを得るように、私は今、自分が何らかの興奮状態にあるのに気づいていた』(P25)
    でも金原さんって戦争を体験したことないでしょ?戦争が起きそうな状況に身を置かれたこともなければ、外国生活でも臨場感をもって見聞きしたわけでないはず。だとすると幾多の表現の可能性からなんで戦争の比喩を選択したの?その必然性は?

    3 帯に「衝撃のラスト」と書いてるけど、全然衝撃を受けなかった。(なお、このラスト自体を否定しないけど)。
    金原さんは日常と非日常をうまく織り交ぜて描くのがうまいものの、描写の革新性というか、オリジナリティーを獲得しているとはいまだ言い切れないような気がする。
    言わば金原さんの現状満足というか自己保身でラストが“落ち着いている”としか思えない。「最新作のラストが前作を超えた」というカタルシスが欠けている。

    以上、厳しいことを並べて書いたけど、冒頭に言ったように、金原さん自身には作家としての「まじめさ」「清純さ」が存在するという、ある意味の矛盾が、彼女の作品を面白くしていることは間違いないので、次回作に期待する意味で星4つ。

    しかし気になることが1つある。金原さんはこのまま40代、50代になっても、この作風を続けるのだろうか?
    いや、大きなお世話なんだけど、作中人物がこのままどんどん自分の実年齢と乖離していくのに自己撞着しないのかと思って。
    生きるうえで避けえない苦しみを金原さんは書くという行為によって切除していこうとしているのならば、いつまでも女子大生や女子高生を描いているだけでは、人生の歩みを進める自分自身の靄を晴らすのにしんどくなるはず。
    西原理恵子さんみたいにやんちゃさを保ちながら自分と作品とを同時に年齢相応に成長させている作家もいるので、そういう作風の変化(進化)も期待したいのだけど。

  • 亡くなった母の呪縛から逃れられない姉妹のお話でした。

    評判はよいみたいですが、私には正直よく理解が出来なくて・・・つまらない、というわけではないんですけどね。

    沢山の情報の中からどの情報を選択し、どう受け取るのかは各人によって異なるんだ、ということを再認識しただけ、かな。

  • 話が回収されぬままというか、開放して終わるというか。ミステリ風なせいかいつもほどのキレや悪意が少なかった気がする。ただただ若い主人公たちについていけなくなっただけかな。

  • 性格が正反対の姉妹。それぞれが恋人を作りますが、相手に求めるものも、自分が与えるものも全く異なっています。そして、すでに亡くなった母親の存在は二人の人生を激しく揺さぶります。姉妹というつながりは絡み合い、激流となります。底知れぬ余韻が残りました。

  • 雲をつかむような話なの?

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