私をくいとめて

著者 : 綿矢りさ
  • 朝日新聞出版 (2017年1月6日発売)
3.43
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  • 本棚登録 :530
  • レビュー :103
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514455

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】黒田みつ子、もうすぐ33歳。男性にも家庭にも縁遠く、一人で生きていくことに、なんの抵抗もないと思っている。ただ時々、迷ってしまうことも。そんな時は、もう一人の自分「A」に脳内で相談をするのだが……。著者初の新聞連載小説。

私をくいとめての感想・レビュー・書評

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  • 黒田みつ子。もうすぐ33歳。
    「おひとりさま」を満喫している。
    楽しんでいるというか、誰にも邪魔されない生活が楽ちん。
    一人で生きていくことに、何の抵抗もなさそうにみえますが、
    ただ時々、もう一人の自分「A」に脳内で相談している…。

    脳内にいるもう人の自分と会話してるっていったら、
    ヤバイ!多重人格…って思ってしまいそうですが、
    自分の投げかけた問いに冷静に答えてくれる自分の中の自分の様なイメージです。
    自問自答は誰しもがいつもやってる事だけどみつ子のAは他の人みたいだった。
    Aが男性だと判明した時にはスッゴク驚いた~(笑)
    みつ子とAの会話?がとっても楽しいし、
    うんうん、そうだよねって共感出来るから凄くサラサラと読めました。
    みつ子もそうだけど、登場人物達も身近に居そうな人ばかりで
    親しみも凄く感じました。
    そして、文体…文章もとっても好きです。読み易い!

    それなのに、読後暫くして何故かとっても孤独感が増してしまいました(*T^T)
    だから★3つにしちゃった

  • 小学生の頃初めてこの人の本を読んだけど、綿矢りさも私も大人になったんだ〜という感じ

  • 生涯「おひとりさま」を自覚しつつある地味なアラサー女性みつ子。
    脳内でいつも会話をし孤独をまぎらわせてくれるのは、もう一人の自分であるA。
    特に恋愛において、消極的なみつ子のお尻をいつもたたいて励ましてアドバイスをくれるかけがえのない存在だ。
    もう一人の存在と会話、なんていうと統合失調症?みたいに思われがちだけど、まぁ実際脳内なら誰しもそういう経験あるかもしれない。
    小説を通してみつ子の成長がひしひしと感じられます。
    良くも悪くもふつうだった。ふつうのハッピーエンド。
    綿矢りさはもうこういう路線でしか書かないのかなぁ。がつんと殴られて心をわしづかみにされて震わされる、かつての綿矢りさのそういう瑞々しい獰猛さが好きだった。

  • 自分の中にいるもう一人の自分が、時に離反し、時におもねってくる。同じ自分なのに違った世界を作っている。おひとりさまの総本山として他人の目も気にせず平然としていたのに少しずつ崩れてくる。いい悪いは別としていつの間にか本当の意味での一人を獲得し、他者を獲得していく。なんでもない純粋に楽しい日常生活がそこにはある。

  • 面白かった!最後は意外にもほとんど泣きながら読んだ。全編毒まみれなのに下手なロマコメよりよっぽど幸せな気分になれた。主人公の独身OLみつ子は33歳だけど、私の時代なら25歳前後がこんな感じだったんじゃないかな。迷走していた自分の20代とみつ子の今が奇跡のように重なって自分のことかと思うほど。イタリアじゃないけど、行ったよ南仏ひとり旅…。そして、行きの飛行機のBGMが大瀧詠一とか、その感覚めっちゃわかる。そして災害のときにはとりあえず一瞬で先に死にたいよね?それもわかる。
    ノゾミさん、カーター、多田くんなど、脇役も楽しいし、「A、おまえは●●だったのか!!」というあの展開は神がかっていた。
    そして素敵なラスト。綿矢さんはこんな気持ちでお嫁に行ったのかな。だとしたら、本当におめでとう。
    (注:主人公は最後に結婚するわけではありません、ネタバレじゃないよ)

  • ミツ子はココア。どの年齢にも似合う飲み物があるという会社の先輩のノゾミさんの見立てだ。彼女は赤ワインらしい。ミツ子はゴボウ。大学の美術サークルで一緒だったサツキの、野菜として相手の顔を描きあう課題のときのイメージだ。ミツ子は白菜を描いた。トマトが多かったという中異色の二人。そんな彼女には”脳内コンシェルジュ”のAくんがいていつからか良き恋の相談相手となっている。そして、ノゾミさんが好意を寄せるイケメンのカーター組と、ミツ子が距離を縮められないでいる多田くん組でTDRにダブルデートへ。先輩の恋の作法とカーターの振る舞いにへーっ。つらい恋をする女性から香るというヤギの匂いは彼女からはしないのだろう。ミツ子たちもスペシャルカップルとファンタジープレイスに多少刺激されながらも、君たちどうするんだという流れは続く。彼女をくいとめるのはだれだ。

  • ★3.5
    脳内に存在する“A”と会話する、もうすぐ33歳のOL・黒田みつ子。その会話は突飛なものの、「勝手にふるえてろ」のヨシカに比べると、まだまだ地に足が着いた印象。そして、こじらせた感が少しはあるものの、みつ子の心に嘘はなく常に真っ直ぐ。環境の変化を望みながらも恐怖を覚え、他人を求めながらも一人でいることを求める、相反する感情は誰の中にもある。まだまだ手探りかもしれないけれど、みつ子と多田くんはお似合いだと思う。それはそうと、みつ子が整体院で施術を受ける場面で、私も猛烈に凝りを解しに行きたくなった!

  • ぱっとしない主人公のようですが、しあわせになれそうでよかったです。

  • Aの言葉が素直にしみ込んでゆく。完全な他人の言葉ではなく、私の分身であるAが諭してくれたことがうれしい。
    (黒田みつ子)

    Aが男性だった時ビックリした!
    読みやすく設定も面白かった。

  •  おひとりさま女子の日常。保守的で変化を好まない、趣味だって子供の頃から変わらない、そんな女の子。独りでいるときは頭の中のAと会話をする。そんな彼女に久しぶりの恋が訪れて…

    「根本的に人を必要としていないことがショックだったの。人と一緒にいるのは楽しい。気の合う人だったり、好きな人ならなおさら。でも私にとっての自然体は、あくまで独りで行動しているときで、なのに孤独に心はゆっくり蝕まれていって。その矛盾が情けなくて」

     わからなくもない。人といるとしんどい、1人でいるのは寂しい。その間を行ったり来たり、ちょうどいい塩梅が30年以上生きててもわからない。

     1人ぽっちで脳内の誰かと会話する系(どんなジャンルや)の中では、直近の芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも(若竹千佐子)」が最高すぎて、本書は遠く及ばない感。しかし、綿矢りさの巧みな比喩には感服する。

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