ガッカリした。
この作者の本を読むのは2冊目。
先に読んだ本が良かったので、ある程度期待して読んでいたら、前に読んだ本とは全く違う雰囲気だし、同じ作者が書いたものなのか?くらいに文章に特徴が感じられなかった。
この本の内容をざっくり書くと、
主人公は小学生の頃に殺し屋に両親と弟を殺され、自身も殺し屋になり、家族を殺した殺し屋に復讐するというもの。
身よりのなくなった彼女はアルゼンチンに住む祖父の元に引き取られ、元殺し屋の祖父より暗殺方法を学ぶ。
そして、殺し屋の所属する組織をつきとめ、自身もその組織の殺し屋として働き、信用を得て復讐を果たすべく動く。
というもの。
これだけでも全く現実感のない設定だと思う。
海外に住む祖父がたまたま殺し屋だった。
そうでなければ、プロの殺し屋をどうやって殺すつもりだったのか。
この話ではタンゴについて色々と書かれているが、それが書きたいためのアルゼンチンという設定か?とも感じた。
かなりご都合主義なストーリー展開だと思う。
また、前半何故か両親を殺した殺し屋と彼が連れ去った飼猫の交流の様子がくわしく丁寧に書かれているが、後から考えてあれは必要だったのか?という気がする。
その辺の文章を読んで、殺し屋業をしているものの、人間味のある男性だという印象を受け、どうしても彼が憎めない、そういうのが後々の展開で生きてくるんだろうと思いきやそうでもなし。
前半に登場した女刑事が結末にも登場するのかと思いきやそれもなし。
大体、家族を殺されたからと言って、自分も殺し屋になり、組織の信頼を得るためだけに何の関係もない人々を殺すというのは本末転倒だと思うし、そういう事をする人間に嫌悪感を感じた。
最初に読んだこの人の本は女性の同性愛を描いた話で美しく繊細な文章に酔わされたが、この本ではそういうのはなく、何だか誰が書いたのか分からない特徴のない文章だと感じた。
ジャンルもハードボイルドというほどでもなく、ミステリーでもなく、恋愛小説でもなく・・・とにかく、どこも特徴がない。
主人公の女性にも特に思い入れを感じず、中に入って読む事ができず、度々中断したり、後半は斜め読みで何とか読み切った。