星の子

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.26
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本棚登録 : 1834
レビュー : 282
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514745

感想・レビュー・書評

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  • しあわせって、普通ってなんだろう、と思わず考えてしまった。ちひろの家族は外から見てまともじゃなくて、そのことをちひろも大きくなるにつれてぼんやりと理解はしていて。でもその家庭が当たり前で育った子は、周りから何を言われても気付く、ということが出来ないんじゃないか。ちひろから見た世界が語られるせいか、普通の日常のように読めて、でもどこかおかしくて、すんなり読み終えてしまった。けれど、読み終わった今の方が息苦しくてしんどい。家出をした姉 まーちゃん、目を覚まさせようと「お水入れかえ事件」を起こした雄三おじさん、ホームルーム中大声で怒鳴ってちひろを注意した南先生、普通の友だちのように接してくれるなべちゃん、全員がどうしようもなくて、他にできることもなくて、どうしたら良かったのかもわからなくて。こわい。救いがない。苦しい。

  • 今村さんの小説は独特なものがある。読んでいて心地よいかというと、そうではない。でも引き込まれる。心の奥で波風が立つ。胸がざわつく。こういう小説も、文学には必要なのだ、と思わせる。

  • ★3.0
    耐え難いことや藁にも縋りたくなることがあって、何らかの宗教に嵌ってしまうのは分からなくもない。主人公・ちひろの両親も、家庭を蔑ろにしているわけではなく、むしろ娘たちへの愛情は豊か。が、徐々に狭くなっていく家、不審人物に間違えられる両親、全てを当たり前に受け入れるちひろに、違和感と言いようのない不安が付き纏う。そして、「大切な人が信じるものを一緒に信じたい」という気持ちは尊いけれど、果たして何の疑いもなく信じるだけで良いのか、と疑問が過ぎる。何となく、3人が同じものを見るのはこれが最後な気がする。

  • 親の目線では宗教に傾倒するあまり、
    娘を修学旅行さえ行かせられないほどの経済状態って
    どうなの?と思う。
    けれど
    白いタオルを頭にのせて水をかけあう、
    この両親はなんか幸せそうに見えた。
    その姿は異常に見えても。

    しかし、長女は家を出て行き
    次女の主人公であるちひろは自我に目覚めつつある。
    ちひろはこれから、両親の信じるものに対して
    どんな行動をとるのだろう。

    親戚のおじさんの存在は大きいと思うのだけれど
    どの着地点も予想できる
    不思議な感覚だった.

  • 自身が幼少期に体が弱く、そこから信仰宗教?マルチ?にハマった両親の元育った少女が主人公。
    「親が変」「この集団には何か後ろ暗いところがあるのかも」と薄々思いながらもどうしていいのかわからず、どうしようとも思ってないのか、ある意味すごく純粋な女の子。中にいる人ってこんなのかもなーと。
    全然面白くなかったわけじゃないけど、それはきちんとしたラストがあってこそ。このラストじゃだから何?結局は何?と疑問だらけ。

  • 幼いちひろの湿疹が水の力で治ったことから宗教へのめり込んでいった両親。

    ちひろの目に映るのは、ちょっと風変わりだけれど優しい父と母、読んでいると最初はそんな風に見える。でもだんだんと、ちひろの周りの人々の反応や、家族の暮らしぶりがわかってくると、それらが少しずつ狂気を帯びて迫ってくる。

    私が一番どきっとしたのは、ひちろが冷蔵庫を開けると豆腐と蒸したじゃがいもが入っていて、好物だと普通に食べた時だ。なんとも言えないやるせない、そして恐ろしい気持ちになった。

    ちひろは幸せなのか?本当は全部気づいているのか…?

  • うわー、なんかこの自然体っていうか、内容の割には凄くいい人もすごくわるいひとも出てこなくて、ゆるゆるって中に「え、ここゆるゆる過ごしていいのか?」と思いつつも、だからって雄三おじさんみたいに熱くなっても結局難しい訳だし…。とゆるゆるしながら色々考えてもどかしくなる。でもそこが結構リアルなのかな?

  • 「ぼくは、ぼくの好きな人が信じているものが一体なんなのか知りたくて、今日ここに来ました」

    純度の高いキラッとした一節だった
    わかろうとする気持ち

    それにしても今村夏子は、不穏な空気の滲ませ方が本当にうまいと思う。読んでいてザワザワする

  • ちょっと期待しすぎていたかな。
    悪くはないけれど、普通だった。
    生まれ育った環境が、親の行動が、子どもに影響することの怖さ。
    コミュニティの中で生きていれば、それが常識になる。
    それでも、成長とともに、見える世界が変わる瞬間は、誰にでも訪れる。そして、それでもそこで生きていく。
    そういう点で、これは特殊なことではないということなのかなあ。

  • 特に異様ではない日常の様子や、人と人との関わりの中に、怪しさが紛れ込んでいる。
    病弱な子が元気になったり、周囲とかわらなかった子が明るく変化したりすることに、何が影響を与えたかなんてわからないのに。
    信じるものがあると、肉親との断絶さえもいとわなくなるのか。
    静かにコワイ話だ、と思った。

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著者プロフィール

今村夏子(いまむら なつこ)
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。2016年、文芸誌『たべるのがおそい』で2年ぶりの作品「あひる」を発表、同作が第155回芥川龍之介賞候補にノミネート。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞。2017年、「星の子」で第157回芥川龍之介賞候補ノミネート、第39回野間文芸新人賞受賞。 2019年、「むらさきのスカートの女」が第161回芥川龍之介賞を受賞した。

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